トヨタ86に思わぬ盲点が発覚 このままだとモータースポーツユースに障害が!?

先日の東京オートサロンその他において鳴り物入りで発表された、トヨタの新型FRスポーツ「86」。

豊田章男社長が自らステアリングを握って、テスト走行を行っている動画が公開されるなど、このクルマに対するトヨタの本気度はかなりのものである様子。
また、競技ベースグレードの設定やラリータイヤが装着できる15インチブレーキのラインナップなど、トヨタとしてはこの86を今後モータースポーツのベースマシンとして、相当な熱意を持って推進していく考えのようです。

 

ところが、ここにきて気になる情報がもたらされました。なんと現状のままのデザインでは、一部のモータースポーツではベース車両として使うのに大きな壁が存在するというのです。

その情報が書かれているのは、競技系を中心としたアフターパーツを開発・販売しているショップ「ALPHA」のページ。
こちらのショップでは、86の兄弟車「BRZ」を使った競技車両の製作を計画しているとのことで、今回の問題点はその検討中に某ジムカーナ関係者からもたらされた情報なのだそう。

その詳細は、以下のリンクから。
「トヨタ86のアキレス腱」というタイトルで掲載されています。

http://www.ms-alpha.co.jp/PageBRZ.html

かいつまんで説明すると、86のウインカーはバンパー両サイドの低い位置についているため、例えばラリーやダートトライアル、ジムカーナ、それにナンバー付レースといった保安基準適合が条件となるカテゴリーへ参加する際に、他の車種にくらべて車高をそれほど落とすことができない、ということ。

道路運送車両の保安基準第41条第2項、その細目第104条の「方向指示器」の項によれば、その取り付け位置は

指示部の上縁の高さが2.1m(側面は2.3m)以下、下縁の高さが0.35m以上

となっています。
これに86の方向指示部から地面までの高さを当てはめて考えるなら、標準位置から25mmダウン程度、最低地上高105mm程度までしか車高を落とせないことになってしまうのです。
なお、ウインカーがヘッドライト一体型で高い位置についているBRZでは、車高を限界まで落としても上記の法規をクリアできるので大丈夫。

ちなみに、これはモータースポーツ独自の車両規則ではなく、れっきとした道路運送車両法の記述。
なので一般ドライバーでも、25mm以上車高を落としてしまうと保安基準に違反してしまうことになるので注意が必要です。

車高をほかの車種より落とせないということは、とりもなおさずセッティングの幅がそれだけ狭まる上に、モータースポーツにおける限界走行時の運動性に大きなハンディを背負ってしまうということと同義。
サスペンションに大きなストローク量が必要となるダートトライアル、それにグラベルラリーでは問題無いかもしれませんが、レースやジムカーナ、ターマックラリーで車高を落とせないことは、きわめて大きな問題であると言わざるを得ません。

おそらくはトヨタ本社でも盲点だったと思われる、今回の問題点。
こちらのHPによると、すでに一部のジムカーナ選手が86をキャンセルしてBRZへと変更する動きがあるとのこと。

トヨタ本社の対応が待たれるところです。

【角須 穣】