市街地メインの配送バンはEVに置換できるというベンツの主張

2012年、年の始めのデトロイトショーで日産がNV200の電気自動車バージョン「e-NV200」を発表したのは記憶に新しいところ。ほぼリーフと同じバッテリー(26kWh)やモーター(80kW・280N.m)を使った小型バンで、コンセプト段階というよりは実証実験も進んでいる、市販直前モデルのお披露目といった状況でありました。

以前にも紹介したように国内向けのサイトも立ち上げていますが、北米で発表したということはグローバル市場へ向けて、この電動バンをアピールしていこう、販売していこうということでしょう。

 

 

そして、こうした動きに対抗するかのようにダイムラーも電動商用バンについてのレポートを発表しています。

World’s first van with electric drive system ex factory tested successfully on the road over one year

ダイムラーが『一年間の公道テストを行なった世界初の電動の商用バン』と呼んでいるのが、このVito E-CELL。

 

まずバンとして重要な積載能力はベースのエンジン車と同じ900kgを確保。

モーターのスペックは60kW・280N.m、バッテリーの総電力量は36kWh。市街地を中心とした使用では、消費電力的に厳しい冬場でも80kmの範囲であれば十分に使用できたといいます。

また、最高速はリミッターにより89km/hに制限されているものの、アウトバーンでトラックといっしょに走るにはまったく問題ないとのこと。

 

思えば、ルノー・日産とダイムラーは幅広い範囲での協業を発表しているわけですが、こうした電動商用バンでの、それぞれの経験値が共有され、同時にライバルとして切磋琢磨することになりそう。そうした動きがうまく噛み合えば、配送用途のバン、意外に早い段階で電動化が進みそうです。

 

そして同時に電インフラが整備されれば、電気自動車の普及に弾みがつくかもしれません。日産とダイムラーの小型電動バンの動きに注目です。

 

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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