トヨタ自動車がプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の充電をサポートするツールH2V Manager(エイチツーブイ・マネージャー)」を開発し、2012年1月よりトヨタホームから販売すると発表しました。
発表の概要を見ると、スマートフォンやパソコンからPHVやEVへの充電を管理できる機能があるということですが、これは日産リーフなどでも似たような機能があるので特に目新しさは感じません。
しかし、もう一つの機能には目が釘付けになりました。
いろいろな家電製品を一度に使っているような場合に消費電力が契約電力を超えそうになると、一時的にPHV・EVへの充電を止めて、契約電力を超えないようにするという機能。その後消費電力に余裕が出来ると充電を再開するというので、かなり使える機能になっています。
この機能があると、どういうことになるのか?
一般的に言われているのは、PHVやEVを充電するためには、充電の際にブレーカーが落ちてしまうので、今ある契約電力に30Aを上乗せして契約しなおさないといけない。しかしこのサポートツールを使えば消費電力の余裕を感知して充電制御を行うので30Aも上乗せして契約する必要が無くなるわけです。
60A契約の家庭であれば、もしかすると契約変更などいらないかもしれない場合すら出てきます。
電気料金の計算は基本料金と従量料金の合算で行われます。いくら節電をしても契約電力が大きいと基本料金は高いままで無駄に電気料金を支払うことになります。一般的には夏場のエアコンが必要な時期に一番電力を消費しますが、その一番消費している電力量を基準に契約電力を契約します。
例えば、エアコン20A、電子レンジ12A、炊飯器12A、テレビ8A、照明3Aを同時使用すると55Aになります。契約電力は10A単位なので上記で60A契約となります。東京電力の基本料金にして1638円。ここにEVやPHVの充電として30Aを上乗せして契約すると90Aで 2457円にもなります。基本料金の差額が年間で1万円近く。これは大きい。そして契約電力の設定は一度決められると、ほとんどそこに到達しないような時期でもこの金額を払い続けなくてはいけません。
しかし、これを同時に使わなければ契約電力は低く出来ます。PHVやEVの充電は夜間が基本ですから、たとえ寝苦しい真夏の夜にエアコンをかけて眠り、PHVやEVを充電していたとしても50Aで済むわけで、90A契約など必要なくなります。このように消費電力を分散させることをピークシフトといいます。
このサポートツールはPHVやEVに対してピークシフトを行うので無駄な電力契約をカットできる可能性が高いのです。このサポートツールと、他の消費電力の見直しで電力契約を低く保てば余計な基本料金はカットできると断言できます。
それほどのポテンシャルを持ったサポートツールは東京モーターショーに展示されます。必見です。
関連リンク
トヨタ自動車、プラグインハイブリッド車・電気自動車向け、充電サポートツール「H2V Manager」を開発
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/11/11/nt11_1101.html