ホンダDio110は¥20万切りの激安だけじゃない驚きのグローバルモデルだった!

近年珍しく、新車を注文しても数カ月待ちという大ヒットとなったホンダPCX(125ccスクーター)。その理由はいくつかあり、1リットルあたり50km以上という燃費性能や、それを支えるアイドリングストップ装置が秀逸な出来であること、大きな車体が2人乗りもラクにこなす点、タイ生産のグローバルモデルというステイタスなど、いくつも挙げられますが、7月18日(月)発売となるDio110も、驚きの19万9500円という価格だけではなく、注目すべきポイントがいくつも込められているんです。

PCXはタイ生産のグローバルモデルと書きましたが、Dio110は4カ国に生産拠点が設けられており、部品の製造国も様々。日本へ出荷する中国、PCXも生産するタイ、とんでもない販売台数のインドネシア、そしてベトナムです。部品調達のシクミはゼロから考えて構築したと言いますし、例えば、中国の通貨が高くなった場合は、それ以外の国での生産に変更できるなども強みだそうです。ちなみにこのDio110、名称は各国で様々ですが、生産国はもちろん、日本をはじめマレーシアや欧州、フィリピンなどでも販売されるとのこと。

じつは東南アジア地区のアンダーボーン車では、フルフェイスヘルメットが収納できるシート下スペースは初だとか。この点もホンダのチャレンジとなった部分だそうです。

また、このようなグローバルモデルでは、国によって法規が違うため、随所に不思議ポイントも盛り込まれます。まずはハンドル右側のスイッチボックスの「フタ」。これはヘッドライトの昼間点灯が禁止されているマレーシアなどで発売される車両に、ライトのON、OFFスイッチを付ける場所です。また、中国仕様では燃料キャップにヒモを付けなくてはならない決まりがあり、燃料キャップの前にナゾの突起が設けられています。

インドネシア仕様では、パンク修理がしやすいように、またコストが下げられるよう、スポーク式のホイールが採用され、コスト面で有利となるキャブレター仕様(日本仕様はフューエルインジェクションです)が採用されているようです。

リヤブレーキを握ると、フロントブレーキも少しだけかかる「コンビブレーキ」はPCX同様搭載されており、フロントのブレーキキャリパーとブレーキディスクローターはPCX同様と思われます。あ、コンビブレーキって、前ブレーキをかけるのが怖いという人向けに開発されたものなんです。ブレーキ周りが共通で、さらに14インチというホイールサイズまで同じなのに、PCXのホイールを流用しないところもホンダのこだわりです。

PCXより細身のホイールを新設計してるんですが、これは車重や排気量の少しの違いが、車体全体の乗り味に影響してくることを考慮し、最適なホイールサイズ(幅)に設定し、若干の軽量化も実現しているというのです。19万円チョイで、ここまで熟成されたスクーターに乗れるのは幸せでもあります。ちなみにフロントフォークのインナーパイプもPCX(31Φ)に対して29Φと、これまた流用ではないところがニクいです。

「クルマ通勤より電車通勤より安上がり」「2~3年通勤で使うと車体代が浮く!」などと大人気の原付2種スクーター。さらなる詳細は7月6日発売のモトチャンプ8月号を見ていただくとして、PCX同様に大量の注文が入ることが予測されますので、気になる方はお早目にど~ぞ。

(千輪 毅)