スズキの低価格プラグインハイブリッド戦略

先週、2013年のプラグインハイブリッド発売と報じられ、週明けの株式市場での動きが注目されていたスズキ。結果的に期待されるような上方への動きはなかったようですが、それほどプラグインハイブリッドを出す出さないというニュースが市場に影響を与えるようになってきた昨今というわけです。

 

さて、そのスズキのプラグインハイブリッドとは何物か?

 

2013年デビューということですが、システムとしてのカタチは見えていて、2009年の東京モーターショーに出品されたほか、すでに国土交通省の型式指定も取得しているのでありました。

 

それが、こちら。

 

一見すると旧型スイフトにしか見えませんが、中身は別物。

現時点で型式指定を受けているのは旧型スイフトのボディをプラグインハイブリッド車で、仕組みとしては家庭などで充電したリチウムイオンバッテリーでモーターを動かし、電池を使い切ったらエンジンで発電機を回すシリーズ型のプラグイン(充電)仕様ハイブリッドカー。

 

現在、実験走行中というスイフトプラグインハイブリッドはエンジンが軽自動車用のK6A型で、モーター出力は55kW、サンヨー製リチウムイオンバッテリーにより15km程度は電気自動車として走ることが可能というスペック。

 

2013年に発売予定と噂されているのは、このプラグインハイブリッド車の発展型なのは間違いなし。

 

もちろん、そのときにはボディは正常進化した現行スイフトになっているでしょうし、発電用エンジンも最新のR06A型に変わっているはず。さらにコストダウン&パフォーマンスアップの著しいバッテリーは電力量アップしていることを期待。

 

より走りが楽しく、燃費に優れ、EV走行距離も伸びた仕様になると予想されるのです。

 

それでいて、噂通りに200万円程度の価格で市販されれば、大ヒットは約束されたようなもの。

 

こうした低価格が可能になるのはプラグインハイブリッドだから。メカニズムでいえばエンジンを持たない純粋な電気自動車のほうがシンプルですが、そうしたピュアEVでそこそこの航続距離を実現しようとするとバッテリー搭載量を増やさなくてはならず、そこがコストアップにつながってしまいます。

 

しかし、エンジンで発電機を回すシリーズハイブリッドをベースとすれば現時点ではバッテリーを多量に搭載するよりもコストダウンにつながるというわけで、より身近な存在といえそう。それでいて、日常的には家庭で充電できるので走行コストも抑えられるわけ。

 

まさに近未来車の決定版といえるのがプラグインハイブリッド。身近なスモールカーを提供し続けているスズキが、そこを狙っているのは至極当然かもしれません。

 

 

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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