マイナーチェンジで、新世代エンジン「SKYACTIV-G 1.3」を採用し、驚きの低燃費30km/lを実現したデミオ。すごい! と思います…が、よーくカタログを見てみると、新エンジンを採用するのは1グレードだけ。他グレード(エンジン、ミッション、駆動方式違いで8モデルもあります)は従来どおりのエンジンで、どれも燃費は20km/l前後です。あ~、なんとも残念と思ってしまいました。
ところがハンドリング担当(操安性能開発グループ)の開発者・山崎章史さんの話を聞いて、目からウロコがボロボロと落ちました。
「マイナーチェンジしたデミオは、燃費の良さが特に注目されていますけれど、それだけのクルマではありません。マツダは燃費の良さだけで勝負をするのではなく、運転する喜びを提供するメーカーです。ですから、プレマシーの好評を受けて、ハンドリングの質の向上に力を入れました。個人的には1.5リッターのSPORTは一番ですね」と言うのです。
そういえば、マツダはプレマシーからハンドリングの味付けを大きく変えました。それまで、スポーティを主張したいがゆえ、やや演出過多な部分がありましたが、それをよりナチュラルな方向に軌道修正。というかステップアップですね。よりドライバーとクルマの一体感が得られ、運転が楽しくなるハンドリングを目指すようになったのです。マツダでは「統一感」のある走りと呼んでいます。
そして、この新しい方針でデミオを躾けなおしたというのです。
そのために、ボディ剛性向上にはじまり、サスペンションのチューニング(ブッシュの取り付け角度の変更というマニアックなものまで)や専用パターンを採用したエコタイヤ、静粛性の高いフロントウインドウの採用(13-SKYACTIVのみ)まで行っています。なぜ遮音ガラスがドラインビングフィールに関係するのか? といえば、それはCVTのネガティブ面をカバーするというのです。
CVTで加速すると、車速よりも先にエンジン回転数が上がるという場面があります。その音を聞いたドライバーは「音ばかり上がって加速しない」と不満に思うものです。ところが、音を遮断するだけで、フィールに大きな違いが生まれるというのです。
いやー、これだけ熱い話を聞くと、早くハンドルを握ってみたくなるものです。
どれだけ革新的な技術があろうとも、燃費だけ良いクルマを求めるユーザーなら黙ってハイブリッド車を選んでしまうでしょう。当然の選択だと思います。それに対して、マツダは「うちは走る楽しさで勝負したい!」と考えているのですね。
マツダ公式サイトはこちら>>http://www.mazda.co.jp/
<鈴木ケンイチ>
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