BMWがターボに熱心な理由を考えてみました!

市販車のターボでは2002で先鞭を付けたBMWですが、しばらくラインナップになく、近年までは高回転型NAの「M」、そしてスーパーチャージャーの「アルピナ」と、住み分けができていたように思います。みなさんの中にもBMWのエンジンはターボというイメージを持つ方は少ないと思います。

しかし、次期M3のエンジンは?

でも紹介したように、BMWは積極的にターボ化を果たして来ました。

そこで何故今BMWがターボに熱心なのか? について考えてみたいと思います。

BMWとしては久しぶりのターボエンジンは、N55型3.0L直6ツインターボ(現在はツインスクロールターボ)で、06年に現行3シリーズに搭載されました。そしてこのエンジンは現在では1シリーズから7シリーズまで搭載され、BMWエンジンの代表格にまでなっていると感じています。

加えて欧州では最新のN20型と呼ばれる2.0L直4のターボエンジンが登場(245ps/350Nm)。3L自然吸気直6から置き換えられつつあります。ちなみに日本仕様25iは自然吸気3.0L直6で218ps/280Nmですから、排気量は小さくても性能は上ってことです。

日本車では未だ稀少なターボエンジンですが、BMWはすっかりターボ化を進めています。

そこでBMWが進めるターボ化ですが、BMWはバルブトロニック&直噴技術を持っており、これがターボと非常に相性がいい、というのが挙げられると思います。排気量ダウンで燃費を良くし、ターボでパワー&トルクを補い、直噴&バルブトロニックで燃費と排ガスを向上させているわけです。

加えてアイドリングストップやエネルギー回生システムなどもありますから、今後ますます燃料消費を低減させることに成功するでしょう。

先日、116iに長期間乗る機会があったのですが、カタログ10・15モードの14.2km/Lに対して、高速道路8割ながら満タン法で18.2km/Lという数値が出ました。116iはターボではないですし、輸入車は日本車のようにモード燃費対策をしていないことからカタログ燃費を上回ることは良くありますが、直噴および希薄燃焼だけでも相当に燃費が良くなっているのがわかります。

加えて欧州の排ガス規制も大きいと思います。欧州ではまもなくユーロ5+、そして2014年にユーロ6という新しい排ガス規制が導入され、一段と排ガス規制が厳しくなるのです。

このユーロ6で一番つらいのはディーゼルで、もちろん尿素などで規制はクリアできそうなのですが、当然コストに跳ね返り欧州でもまたガソリン車の時代が来るのではないか? という見方もあります。ディーゼルの大トルクを味わってしまうと、NAエンジンでは低回転のトルクが物足りなくなる可能性もありますから。

最後にエンジンラインナップの整理があるのではないでしょうか? とも思えます。

例えば現行E90型3シリーズですが、一時期は2L直4(320i)と2.5L直6(出力違いで323i&325i)そして3.0L直6、3.0L直6ターボと、5種類もエンジンバリエーションがありました。しかしターボ化を進めれば2.0L直4を320iに同ターボを325i、そして3.0L直6を330i、同ターボを335iとしてしまえば、直4と直6の2種でラインナップをまかなえます。

しかもBMWはラインアップを拡充しており、現在は1シリーズに加えてX1もあり、2シリーズ、そして3シリーズGT(4ドアクーペ)の登場も間違いなしといったところ。エンジンの量産性を高めてコストを抑えたいことでしょう。

鋳鉄ブロックならではのあの「ヌルッ」ともいえる柔らか滑らかなフィーリング、高回転NAの「キレキレ」のエンジンレスポンスは、環境面を考えると今後はもう出てこないでしょう。ですが企業ポリシーを「駆け抜ける歓び」から「エフィシェントダイナミクス(よりクリーンに、よりパワーを)」に代えただけに、今後もBMWのエンジンには注目ですね。

EVもトルクフルでシルキーですが、内燃機関の味わいも好きって方もたくさんいるでしょうから。

1973年登場の量産車初のターボモデル、2002ターボ。

2.0 Lの直4ターボで、170HP/24.5kgmを誇った。

3.0LターボのN55B30型エンジン。

BMWとしては久しぶりのターボとなる335i。

日本でも納車待ちのX1 Mスポーツ。

欧州ではガソリン直6がラインナップから外れつつあるだけに、NA好きは購入を急いだほうが良いかも。

(佐藤みきお)