トヨタ自動車の4月27日発表プレスリリースによると、非接触充電技術の開発を行うワイトリシティ・コーポレーション*(以下、ワイトリシティ 最高経営責任者:エリック・ガイラー 本社:米国マサチューセッツ州ウォータータウン市)との、車両向け非接触充電の実用化および普及促進に向けた技術提携に合意し、同社の増資の一部を引き受ける、とあります。
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/11/04/nt11_0420.html
最近ではgoogle社がEV向け非接触充電の実証実験を始めるなど、充電ケーブルを繋がずにEVに充電できる方法の研究が活発化していますが、ケーブルを繋がずにどうやって充電するというのでしょうか?
非接触充電にはいくつかの方式があります。
現在、一般的といわれる電磁誘導式から説明しましょう。
細かい内容は数式などが出てくるので端折りますが、非接触充電は変圧器(トランス)の原理からの応用になります。上の図をご覧下さい。ご覧いただく内容は電源側の電線と負荷側の電線が接続されていないというところ、だけを確認いただければ十分です。
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00134/contents/0017.htm
電磁誘導式非接触充電では上図の鉄心という部分を、電源側と負荷側に分離して電源側は充電器に、負荷側は機器にあると思っていただければいいのです。
高校の物理の授業でフレミング右手の法則や左手の法則というのを勉強した記憶があると思いますが、この中で電流、磁界、力というのが出てきます。変圧器や非接触充電ではこの磁界というものを使って電気を移動させているのです。日産やgoogleなどが採用しているのはこの磁界を使った電磁誘導式です。
http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/charging.html
電磁誘導式はASTEL時代のPHSやミリタリーウォッチMTMなどでも使われる、非接触充電の方式としては割とポピュラーな存在です。
電線の扱いや、接点などの電気が流れる部分を露出しなくていいという安全面で、大きな電流を扱うEVでの普及がこれからますます進む分野となります。
しかし漏れ磁束というかたちで電力を概ね20%の損失してしまい、送電効率が悪いという面は否めません。また、お互いの位置を厳密に合わせなくてはいけないという手間もあります。
トヨタが今回提携した非接触充電技術は共鳴式といって、電磁誘導式とは電気の流し方が違います。これを真剣に解説すると多分電話帳一冊分の書籍が出来上がってしまうので詳しいことは避けますが、トヨタの発表による言葉を借りれば「共鳴方式は、送電側(充電器)と受電側(車両)の距離がある程度離れていても高い効率で電力を送れ、位置ずれに対する許容度が高いという特徴がある。日常生活での利用を考えると、最も適した方式だと考えている」とのこと。
簡単に解説すれば「電源側コイルと同じ周波数の振動を発生させるコンデンサーのついた負荷側コイルで空間に電磁界を発生させる」ということですが、これだけだと何のことやらわかりませんよね。
2006年にマサチューセッツ工科大学で発明された技術ですから、すごく新しい技術だ、ということがお分かりただければ幸いです。
(北森涼介)