FT86IIコンセプトの写真が追加されていることで、ふたたび注目度が増していますが、いまのところジュネーブショー以降の進化は認められません。ここでは、FT86誕生の経緯を追ってみましょう。
ライトウェイト・スポーツにつながるコンセプトが発表されたのは、2007年のデトロイトショーでした。FT-HSと名乗るモデルは、3.5リットルV6をベースとしたFRハイブリッドを前提としたモデル。デザインはトヨタのカリフォルニアのデザインオフィス、CALTY(キャルティ)が担当しました。特にAE86を意識したという印象はなく、むしろ次世代のセリカをイメージさせてくれました。
FT-HS, 2007 デトロイトショー
エクステリア上のポイントは、ライトウェイトに見えること。そこでボディを必要最小限のサイズで作り、そのうえからフェンダーなどをかぶせていく考え方を提案したようです。そこから生まれたのがフローティングCピラーで、別体のリアフェンダーが延長するイメージで、Cピラーが浮いている造形となっています。
FT86 Concept, 2009 東京ショー
そして2009年の東京モーターショーで登場したのがFT86コンセプトです。リヤランプなどの造形にFT-HSとの関連性を感じさせます。(FT-HSではリヤランプは可変スポイラーの役割もありました)とはいえ、FT-HSとの関連性は非常にわかりにくいのですが、86らしさをある程度表現するためにはCピラーまわりの造形を革新することは難しかったのかもしれません。機能面での注目はAピラーで、FT-HS同様にブラックアウトされグラスエリアで覆われたヒドゥンピラーとなっていますが、そのピラーの間が空いていて、外が見えることがわかるでしょうか? Aピラーの死角を最大限に減らすためのアイデアで、ヒドゥンピラーだからこそ表現できたものでもあります。
FT86コンセプトのAピラー
さて、これがFT86IIコンセプトではどんなふうに変わったのでしょうか? それはちょっと長くなるので、次の “FT86考2” で。(つづく)
(MATSUNAGA, Hironobu)