昨シーズン限りでF1タイヤ供給を終了したブリヂストンにかわって、2011年からはピレリが全チームにタイヤを供給し、F1を足元から支えることになったわけだが、このピレリが「レースをよりおもしろく」してくれそうな気配が漂ってきている。
2月からスペイン各地で合同テストが開催されており、F1各チームは新車とピレリとのマッチングなどを進めているが、現地からのニュースや噂を総合すると、どうやらピレリは、昨年までのブリヂストンに比べると“もたない”特性らしいのだ。
誤解していただきたくないのだが、ピレリの技術力に疑問を呈したいわけではない。言い方が難しいが、ピレリはF1のレース内容を活性化させるために、あえてそういう特性のタイヤを用意してきているのだ。タイヤ交換の回数が増え、ラップタイムの変動幅も広がることで、ともすると単調な展開に終始する場面も少なくないF1の決勝レースを、積極的に“動かそう”というわけだ。これはFIA(国際自動車連盟)などの意を受けてのタイヤ開発方針でもあると言われている。
タイヤメーカーとしては、実に勇気ある決断だと思う。「タイヤがもたない」などと表現されることは嫌って当然なのに、レースをおもしろくするために、あえてリスクを冒そうというのだから。まさに英断である。
もちろん、実際にシーズンが開幕してみないことには正確な状況はわからないが、まずはピレリの姿勢に拍手を贈りつつ、3月27日決勝の開幕戦オーストラリアGPを楽しみに待ちたい。
(えんとし)