車いすを自動車のルーフにラクラク収納する画期的な装置が登場【国際福祉機器展2012】

自操式運転補助装置を使われる方のほとんどが、日常生活に車いすを利用しているそうですが、国際福祉機器展には車いすを簡単にクルマに搭載できる装置も展示されていました。

ニッシン自動車工業のブースではオートボックスと呼ばれる車いす収納装置が展示されていました。
こちらの装置はルーフに搭載されたボックスが、ボタン一つで90度回転し、ボックス内部から、車いすを引き上げる為のフックとステーが降りてきます。
車いすをセットした後は運転席にあるボタン又は標準装備のリモコン操作で車いすを収納し元の位置に戻ります。外観もルーフボックスにしか見えず、とてもスタイリッシュ。車内やラゲッジルームのスペースを犠牲にする事も無いので、日常の買い物などでは重宝されそうです。

展示されていたのは右側搭載タイプですが、輸入車等にも対応できる左側搭載タイプもラインナップされているそうです。

またトヨタのブースでもルーフに車いすを簡単に搭載する事の出来るウェルキャリーを搭載したアクア ウェルキャブフレンドマチック取付用専用車“タイプⅣ”が展示されていました。

 
こちらのアクアは、車いす搭載装置だけでなく、ベース車両よりも50%も軽い力で操作できる専用パワーステアリングや、車いすに乗ったままバックドアを閉める事の出来るバックドアストラップ、リモコン式専用運転席パワーシートも装備され、車いすの積載から、乗り込むところまで非常に楽に行える機能が沢山装備されている他、パワーステアリングのセッティングを専用とする等、自動車メーカーならではのきめ細かい配慮がされていました。

また、ウェルキャリーを搭載しないタイプでは、一般的な後部座席への車いすの搭載をフォローする為、運転席からワンタッチで助手席シートバックを倒す事の 出来るストラップが装着されているタイプもあり、その際にはフジオート製の室内クレーンなどを使って積載する事が可能です。


これらの装置は運転補助装置とセットで装着される場合が多く、運転に直接必要な物だけでなく、車いすの搭載装置も体の不自由な方には必需品である事を痛感させられました。

ニッシン自動車のオートボックスはあらゆる車種に取り付け可能であり、クルマを選ぶ幅を広げてくれる一方で、トヨタのウェルキャブでは専用車とする事で、専用パワーステアリングや専用パワーシートなどの細かい配慮が行き届いている所にとても感心しました。

自動車メーカーの福祉車両は車種が限定されているものの、それぞれを専用とする事で使い勝手を最優先し作られており、搭載機器などの製造メーカーは幅広い車種に対応させたラインナップでクルマを選ばず機器を搭載できる所がそれぞれのメリットと言えそうです。

 車いすを使う体の不自由な方でも、より多くのクルマを選べるように、自動車メーカーには幅広く福祉車両の車種設定を広げて欲しいと感じました。

(井元 貴幸)