磨きをかけたオーソドックスなメカが、ならではの個性になってきました!【新型スズキスイフトスポーツのすべて/メカニズム編】


新型スイスポは、欧州流行りの「ダウンサイジング・ターボエンジン」や日本のお家芸「ハイブリッド」等は使っていません。ところが逆にオーソドックスなNAエンジンを採用している点が、新型スイスポの際立った個性になりつつあるようです。

またリーズナブルな価格と素直でリニアな走りを両立するために、スズキでは基本設計を徹底的に煮詰めてきました。特にボディは、スイフト標準車の骨格をそのまま採用しています。もちろん、手を抜いているのではありません。もともと標準ボディ性能が、飛び切り高いことの証だと言えるでしょう。

とは言うものの、高い次元を極めるべく手を入れたくなるのがエンジニアの本能で、スイスポではボディに組み付けるパーツ側を強化してきました。
まず後輪のスタビリティを上げるために、リアサスのユニットを強化。またリニアなステアリングフィールを実現するために、サスペンションサブフレームの取付部分をV字型ブレースで補強しています。


またNAテンロクエンジンも、先代をベースにしながら、可変吸気システムを導入して全域トルクアップを果たしました。また贅沢なデュアルマフラーとの組み合わせが、高回転への吹け上がりと心地よいエギゾーストノートをもたらしてくれます。

先代と同じ1.6ℓの排気量のエンジンは、可変吸気システムの採用で低中速トルクを増しながら、バルブリフト量を拡大。最高出力をついに100kW(136ps)の大台に到達させた。


ミッションは、マニュアルが5MTから6MTへ、またオートマも4ATからCVTに進化しました。共にスイスポ専用設計品ではありませんが、スポーツ走行に相応しく大幅にチューンされています。

2速から5速をクロスレシオ化し、6速を高速巡航用のハイギヤとした6速MTを新採用。スイフトスポーツへの搭載に合わせて小型軽量化された、新開発のミッションだ。
先代は4速ATだったが、今回は副変速機構を持つCVTに変更された。7速マニュアルモードとパドルシフトも備え、スポーツドライビングに対応。軽量化された、新開発のミッションだ。

スイスポには派手な「飛び道具」はありませんが、ボディもエンジンもミッションも基本に立ち返って、走りのために徹底して磨きをかけてきました。
「温故知新」(過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと)ではありませんが、今こそあらためて「NAエンジンならではの走りの楽しさ」を、実感させてくれるクルマだと思います。

(拓波幸としひろ)