ヴィンテージものを今流にアレンジした感じ【トヨタFJクルーザー】

ランクルの愛称で知られる、トヨタのオフロード4WDモデルのランドクルーザーは、日本はもとより世界的な超有名ブランドとなっています。特に高い堅牢性によって、交通環境の整わない地域での信頼を得ています。シリーズの歴史としてはかなり複雑に進化し、現在ではサイズの異なるモデルが併売されていますが、なかでもざっくり分けて3代目となる1960年に発表されたFJ40型と呼ばれるモデルがランクルの世界的知名度を決定づけました。


そのイメージをひきついで2003年のデトロイト・モーターショーで発表されたのが、FJクルーザー・コンセプトで、若者に向けたSUVの新しい価値を提案しました。その後、2005年のシカゴ・モーターショーでプロトタイプが発表され、2006年に北米で発売されたのです。


スリーサイズはL4635×W1905×H1840mmと大柄なのですが(アメリカではこれでもコンパクト)、FJ40の特徴的なボディ形態であるショートホイールベース版の2ドア&リヤのラップアラウンド・ウィンドウの印象をうまく継承しています。FJクルーザーは実際には4ドア+リヤゲートなのですが、目立たない両開きドアとして、また前寄りの太いCピラーを採用。さらにはホワイトペイントされるルーフをドア以降のリアセクションでちょっと低めの位置まで塗り分けることで、リアセクションを軽く見せています。これでショートなホイールベース感を演出できているようです。実際にはこの太いCピラーなどはFJ40の表現にはなかったものなのですが、斜め後方から見たときの独特なピラーとウィンドウの関係を、見事に取り込んだといえるでしょう。


これらのデザインはトヨタのカリフォルニアのデザインオフィスであるキャルティ(CALTY)で行なわれ、当時25歳のデザイナー、ジム・キムさんがエクステリア・デザインを担当。といっても、もう彼もアラサーの仲間入りです。日本への正式導入までには4年以上(コンセプト発表からは7年)の歳月がかかってしまったのです。というより、ファンからの強い要望が日本での市販化を踏みからせたというべきでしょう。こんな話を聞くと海外からの輸入車っぽく感じますが、実は東京(日野自動車・羽村工場)で生産しているんですよ!(MATSUNAGA, Hironobu)