ドライブレコーダーのシェア国内No.1のKENWOOD。その生産拠点・タイ工場を見学してきた

●過酷なモータースポーツの現場でも使用されるKENWOODのドライブレコーダー

SUPER GTの海外戦が行われたタイの東北部にあるチャン・インターナショナルサーキットと、タイの首都であるバンコクのほぼ中間にあるナコーンラーチャシーマー市。通称コラートと言われているこの街に、JVC KENWOOD Optical Electricのタイ工場があります。

なぜバンコクではなくコラートなのでしょう。それは、バンコクは大雨が降ると洪水になりやすく、過去にも日系企業の自動車メーカーや電機メーカーが浸水して大きな被害が出たことがあります。しかしコラートは高台にある街で洪水の心配がないということで、バンコクから移ってくる企業も多いとのこと。

そんなコラートの工場で生産されるのはカメラやレンズを使った機器。身近なところではドライブレコーダーが生産されています。

アフターマーケットでのドライブレコーダーシェア国内No.1を誇るKENWOODのドライブレコーダーはこのタイのコラートで生産されているのです。

またホンダアクセスなどの純正装着タイプのドライブレコーダーもこの工場で生産されています。

ドライブレコーダーとはいっても要するにカメラ。つまり非常に精密な機械を生産するわけですから、工場内部は非常にクリーンな状態が保たれています。

クリーンな状態を保つために生産ラインのある部屋を外部の気圧より高圧に調整して生産ラインの微小なホコリは全て外部に排出されるように作られています。また写真からも分かる通り生産ラインで作業する方はほとんど女性。というよりも、このコラートの工場で働く方々およそ2000名の95%以上が地元の女性で構成されています。

地元の方々を積極採用することにより離職率が低く、長く勤務することで熟練した技能を取得し生産に活かしています。精密機械ゆえの繊細さが要求される部分も、また商品検査などできめ細やかなチェックが必要な場合も熟練した技能が発揮されるのです。

実はこのコラートの工場では世界一のシェアを誇る製品も製造されています。それはCDやDVDドライブに組み込まれる光学ピックアップユニット。カーナビやカーオーディオのDVDディスクを読み取る部分ですが、これも優れた光学技術が必要な精密部品なのです。その実力は世界中のクルマの4分の1に組み込まれているということでおわかりいただけるでしょう。

ビデオカメラやオーディオ機器として世界に誇る一流ブランドであるJVC KENWOODが特に力を入れてきた光学機器。それも超精密なミクロの世界に踏み込むような繊細な高度な技能をタイの地で実現しているのです。

お話を伺ったJVC KENWOOD Optical Electric (Thailand)Co.Ltdの佐藤秀行社長は「技能を定着させるには従業員の方々に長く勤めてもらう必要があります。そのためには社員食堂の充実や、タイの方々の宗教観などを含めたきめ細やかな福利厚生も重要と言えます」と語っています。

タイの企業には必ずある仏教の礼拝施設が、やはりこのコラートの工場にもあります。地元の文化と融合すること、働く方々を思いやることにより離職率を下げ高度な技能者を育てていくことで高品質な製品を生産する。国内シェアNo.1はあくまでも高品質の結果に過ぎないのです。

GT300クラスで躍進中の34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3。KENWOODがサポートするこのマシンのオンボードカメラはKENWOODのドライブレコーダーです。

レーシングカーの過酷な環境にも耐えられるような製品がドライバーやチームのデーター収集にも役立っています。そんな製品を作っていたのがSUPER GTが開催されるタイの工場だったのです。

(写真・文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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