【スーパー耐久2019】燃費も速さ!TEAM NOPROがディーゼルデミオで開幕戦を優勝。ダブル表彰台を飾る

3月24日に決勝レースが行われたピレリスーパー耐久シリーズ2019 開幕戦「SUZUKA 春の陣」。

ST-5クラスのTEAM NOPROデミオディーゼルの37号車・DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dが優勝、ST-2クラスのアクセラディーゼル17号車・DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-Dが3位で入賞し、ダブル表彰台を飾りました。

17号車のデミオディーゼルは、ST-5クラスのライバルであるマツダロードスターND、ガソリン車のデミオ15MB、ホンダフィットに比べると一発の速さが少ないために……と、これまでの記事では書いてきましたが、今期は合算タイム3秒以内に8台が入るという超接戦の予選での7位というポジション。鈴鹿でのスターティンググリッドは観覧車の真ん前という場所です。

決勝レースでも2分37秒台をコンスタントに守り切る走りで周回を重ねていきます。ただしライバルもアベレージの周回タイムは同程度。

順位に大きく差がついたのはピットでした。今回の開幕戦ではドライバー交代を伴う義務ピット回数が3回でしたが、ST-5クラスはタンク容量45リッターでピットでの給油量を20リッターに制限されているため、多くのライバルは4〜5回のピットインを余儀なくされます。しかしデミオディーゼルは義務ピットインの3回でレースを走り切ったのです。

給油のみでもピット作業にかかる時間は、ピットに完全停止してから20〜30秒を要します。またピットインのためにピットロードを走る時間の加算分は、ドライブスルーペナルティがレース中に消化されなかったことによるアップタイム合計への加算タイムが30秒とされることから、給油のみのピットインにかかる時間は通常のラップタイムより1分ほど余計にかかることになります。これは鈴鹿では5分の2周の距離に相当するのです。

デミオディーゼルの場合、同程度のラップタイムであったらピット回数1回だけでかなりのアドヴァンテージを持つことになり、またロングランが可能な燃費を誇ることからピットインのタイミングを柔軟にとることができることが強みとなります。つまり燃費が速さに直結するという耐久レースならではの強い特徴を持っているのです。

またST-2クラスのアクセラディーゼルは燃費のほかにも大きな特徴を持っています。ST-2クラスのライバルはスバルWRX STIやランサーEVO Xなどのハイパワー4WDターボで出力差はカタログ値でも125馬力も違います。ST-XからST-3クラスまでをスーパー耐久ではGr.1としてカテゴライズしていますが、アクセラディーゼルは予選ではGr.1の最下位となります。

しかしここでも燃費を考慮したマシンづくりが行われており、ライバルが100リッター近いタンク容量を持つのに比べアクセラディーゼルは満タンで同じ距離を走るために60リッタータンクとしています。仮に乾燥重量は同じでもスタート時には40kg弱軽い計算となります。厳密にはアクセラディーゼルの規定重量はライバルに比べて軽いため重量の差はもっと広がります。

そしてシンプルなFFのため4WDに比べて故障する箇所が少ないというのもメリットとなります。導入初年度のディーゼルターボ特有の熱問題もオリジナルエアロバンパーとエアロフェンダーで解決済み。ちなみにこのエアロ類は公道走行も可能で、実際にチームのショップでも販売されており、車高さえ変えなければ自動ブレーキ用のレーダーも装着できるというもの。

車重が軽いことからブレーキやタイヤの負荷も少なく、シンプルなFF構造で機械的なトラブルも出にくいという信頼性で125馬力差を克服し、粘りの作戦で表彰台を狙っていくのです。

ST-2クラスは全車とも規定ピット回数でレースを行う前提ですのでピットワークもより迅速に行わなくてはいけません。それらがうまくかみ合って3位表彰台を獲得できたのです。

冒頭の写真の華麗なデイトナフィニッシュからのダブル表彰台。ディーゼルという国内レースでは唯一無二の方式で戦うチームならではの作戦があったからこその晴れ舞台なのです。

(写真・文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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