車のスペックと分類とは? サイズやボディ形状、ボディタイプなどについて解説【自動車用語辞典】

■車のスペックと分類とは

車の車格や性格を決定づけるのは、車を形作るボディの基本構成です。車は、その大きさによって、あるいはボディ要素(ボックス)やドア、シートの数などによって分類されます。

スペックに基づく法規上の分類のほかサイズ、ボディ形状など、さまざまな分類の仕方について、解説していきます。

乗用車における3つの分類

道路運送車両法では、乗用車は「普通乗用自動車」と「小型乗用自動車」、「軽自動車」の3つに分類され、車の登録や車検などで使われます。

・小型乗用自動車
通常ナンバープレートが5で始まる「5ナンバー」の小型車です。サイズは、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以下で、ガソリン車の場合は排気量が2000cc以下です。

・普通乗用自動車
定員10人以下の普通自動車、3で始まる「3ナンバー車」です。サイズは、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以下でガソリン車の場合は排気量が2000cc以下という、小型乗用車の基準を1項目でも上回ると、普通乗用自動車に分類されます。

・軽自動車
軽自動車は、黄色のナンバープレートで区別されます。サイズは、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下で、排気量が660cc以下です。

ボディに関わる主要スペック

車の仕様や性能など基本的な情報は、主要諸元表にまとめてカタログやホームページに掲載されます。諸元はスペックとも呼ばれ、おおよその車の車格や性格が分かるので、車を選ぶ際には参考になります。

・外形寸法としては、全長と全幅、全高の3要素と最低地上高があります。

・室内寸法の室内長と室内幅、室内高は、居住性の目安になります。

・車両性能に関わるスペックとしては、ホイールベースやトレッド、最小回転半径などがあります。

クルマのスペック
車のスペック

ボディ形状の種類

車の形状を「1ボックス」、「2ボックス」、「3ボックス」と呼んで分類することがあります。これは、エンジンルームと乗員が乗る車室、荷物を載せるトランクルームの3要素が、いくつの箱(ボックス)で形成されているかを意味します。

形状による分類
形状による分類

6つのボディタイプ

代表的な6つのボディタイプは、「セダン」、「ハッチバック」、「クーペ」、「ステーションワゴン」、「SUV」、「ミニバン」です。

・セダン
最もポピュラーで長い歴史をもつ車の基本形です。エンジンルームと車室、トランクルームの3つのボックスで構成される3ボックスカーです。

・ハッチバック
車室から独立したトランクルームを持たず、リアシートの後方にラゲッジスペースを確保しています。したがって、荷物の出し入れは後方背面のハッチ(扉)で行うため、ハッチバックと呼ばれます。

・クーペ
クーペは、一般的には3ボックスの2ドアでルーフが低いスポーティなボディスタイルです。典型的なクーペは、走行性能とデザイン性を重視したスポーツカーと呼ばれるリアシートのない2シーターです。

・ステーションワゴン
ステーションワゴンは、セダンをベースにしてルーフをボディの後端まで伸ばして、トランクスペースの部分まで居住空間とした2ボックスカーです。

・SUV
オフロード走行が前提ですが、シティユースにもアレンジされた車がSUVで、スポーツ多目的車と呼ばれます。2ボックスの5ドアが一般的で、ミニバンと曖昧な車種もあります。

・ミニバン
限られた室内スペースを、徹底的に居住空間として利用するミニバンは、ラゲッジスペースをなくして多くの人を乗せることを最優先にしています。

ライフスタイルの多様化によって、時代とともに車のスタイルおよびボディ構成が進化しています。2023年現在は日本に限らず世界的に、シティユースに対応できるSUVのシェアが伸びています。

スタイル・機能による分類
スタイル・機能による分類

本章では、車のサイズやボディ形状、用途によるボディタイプなど、車の分類全般について、詳細に解説していきます。

■車の分類とは

車の分類には、登録や車検、届出、強制保険で使われる道路運送車両法による分類と、運転免許や交通取り締まりで使われる道路交通法による分類があります。

車の分類とその定義について、解説していきます。

道路運送車両法による分類

何気なく使っている自動車という呼び方ですが、自動車とは乗用車や貨物自動車(トラックなど)、バスなどを含んだ総称です。乗用車とは、自動車のうち人が乗ることを目的とした自動車のことです。したがって、自動車=乗用車+貨物車+バスになります。

道路運送車両法では、乗用車は「普通乗用自動車」と「小型乗用自動車」、「軽自動車」の3つに分類され、車の登録や車検などで使われます。

・小型乗用自動車:人の乗用に使われる小型車
ナンバープレートは、通常5で始まる5ナンバー車です。車のサイズは、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以下で、ガソリン車の場合は排気量が2000cc以下です。

・普通乗用自動車:人の乗用に用いられる定員10人以下の普通自動車
ナンバープレートは、3で始まる3ナンバー車です。車のサイズは、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以下で、ガソリン車の場合は排気量が2000cc以下という小型乗用車の基準を1項目でも上回ると、普通乗用自動車に分類されます。

・軽自動車:人の乗用に用いられる軽自動車
黄色のナンバープレートで区別されます。車のサイズは、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下で、排気量が660cc以下です。

3つの分類は、以上のように車のサイズ(長さ・幅・高さ)と排気量によって区別され、ナンバープレートで差別化されています。ただし、軽油や天然ガスを燃料とする場合は排気量の基準が適用されません。

道路交通法による分類

運転免許制度上では、車両総重量5000kg未満、最大積載量3000kg未満、乗員定員10人以下の4輪車が「普通自動車」に分類されます。軽自動車も含まれ、運転には普通運転免許証が必要です。また、普通免許にはAT車専用のAT限定免許もあります。

道路運送車両法による分類
道路運送車両法による分類

普通自動車より、車両総重量や最大積載量、乗員が大きいと「中型自動車」や「大型自動車」に分類され、それぞれ中型免許および大型免許が必要です。

道路交通法による分類
道路交通法による分類

セグメント

欧州では、主として車の車格を表すセグメントという分類があります。統一された基準や法的効力がある訳ではありませんが、大まかには以下のようにAセグメント~Fセグメントまで分けられます。

・Aセグメント
「ミニカー」と呼ばれる小さ目のコンパクトカーで、フォルクスワーゲン・up、日産・マーチ、三菱・ミラージュなどが相当します。

・Bセグメント
「スモールカー」と呼ばれる大き目のコンパクトカーで、フォルクスワーゲン・ポロ、ホンダ・フィット、マツダ・デミオなどが相当します。

・Cセグメント
「ミディアムカー」で、フォルクスワーゲン・ゴルフ、スバル・インプレッサ、ホンダ・シビックなどが相当します。

・Dセグメント
「ラージカー」で、メルセデス・ベンツ・Cクラス、ホンダ・アコード、トヨタ・カムリなどが相当します。

・Eセグメント
「エグゼクティブカー」で、サイズが大きいだけでなく、プレミアムカーであることが条件です。メルセデス・ベンツ・Eクラス、BMW・5シリーズ、日産・フーガ、レクサスGSなどが相当します。

・Fセグメント
「ラグジュアリーカー」として、ハイエンドサルーンが対象です。メルセデス・ベンツ・Sクラス、BMW・7シリーズ、レクサスLSなどが相当します。

セグメントは、車の大きさの目安ですが、実際はユーザーが車を選ぶ際に比較しやすいように車格を表現しているのです。

車を購入するときには、通常、同格の車の価格や性能、サイズなどを比べて決定します。日本でも、欧州のセグメントのような分類の仕方が一般的になれば、より車が比較評価しやすくなると思います。

■車のスペックとは

車の仕様や性能など基本的な情報は、主要諸元表にまとめてカタログやホームページに掲載されます。諸元はスペックとも呼ばれ、おおよその車の車格や性格が分かるので、車を選ぶ際には参考になります。

車の基本的な仕様「スペック」の内容について、解説していきます。

外形寸法および車両重量

外形寸法としては、全長と全幅、全高の3要素と、最低地上高があります。

・全長
通常は、フロントバンパーからリアバンパーまでの長さ

・全幅
ドアミラーを含まない、あくまでボディ自体の車幅

・全高
路面からルーフ最高点まで高さ

・最低地上高
平坦な路面に止めた時、地上から車体の最も低い部分までの高さ、保安基準で90mm以上と規定されています。悪路の走破性が特長のSUVでは、最低地上高を大きく設定しています。

・車両重量
人が乗車していない空車状態で、規定量の冷却水とオイル、満タンの燃料を含めた重量

・車両総重量
乗用車の場合、車両重量に最大乗車乗員が乗った状態の総重量
「車両総重量=車両重量+(乗車定員×55kg)」

室内寸法

室内寸法の室内長と室内幅、室内高は、居住性の目安になります。

・室内長
車両の中央部で、インスツルメントパネルの最も出っ張った部分の先端から、後席部にあるシートバック後端までの長さ

・室内幅
客室中央部で座席上面以上の高さにおける水平な方向の室内両側壁間の長さ

・室内高
車の中心部付近で平坦な床面から天井内張りまでの最大垂直長さ

車室内の広さは、実際に乗車して確認することが重要です。例えば、シートに座った時の頭上の余裕(へッドクリアランス)や膝の前の余裕(ニークリアランス)は居住性に大きな影響を与えます。また、前方や左右の視界が開けていると、圧迫感がなく広く感じます。

車両性能に関わるスペック

・ホイールベース
左右前輪の中心軸と、左右後輪の中心軸の距離です。ホイールベースが長いほど揺れが小さくなるので、乗り心地が良く直進安定性が向上します。逆に短いと、剛性が上がり小回りが利きます。

・フロントオーバーハングとリアオーバーハング
前輪中心から車前端までの距離はフロントオーバーハング、後輪中心から車後端までの距離はリアオーバーハングと呼びます。

・トレッド
左右輪接地面の中心距離です。ホイールベースと同様、トレッドが広いほど乗り心地と直進安定性が向上しますが、小回りは効きません。

・最小回転半径
ハンドルを最大に切った時のカーブの外側になる前輪の接地面中心が描く半径で、小回り性を示します。

その他の主要諸元

カタログには、その他の主要諸元についても表記されています。

・エンジンの主要諸元と性能
搭載エンジンの種類や仕様、エンジン性能(最高出力や最大トルクなど)を表記

・動力伝達系の主要諸元
トランスミッションの形式(AT、MT、CVTなど)と変速比、動力伝達系に関わる仕様(ステアリング方式、ブレーキ方式、サスペンション式など)を表記

安全装備や快適装備の主要諸元、インテリア装備、エクステリア装備などについても表記されています。

「自動車業における表示おける公正競争規約」の中で、主要諸元について表記するように明記されています。

車のサイズや重量などの諸元は、具体的な数値の意味は分からなくても車同士で比較できるので、車選びの際には参考になるのではないでしょうか。

■ボディ形状とは

車の技術進化によって、安全かつ快適な走行ができるようになりましたが、車の性格を決定づけるのは、ボディを形作る構造や形状などの基本的な構成です。

ボディを形作るさまざまな要素、エンジンルームや車室、トランクルームの構成、ドアの配置、ピラーの配置などについて、解説していきます。

ボディ形状の種類

車の形状を「1ボックス」、「2ボックス」、「3ボックス」と呼んで分類することがあります。これは、エンジンルームと乗員が乗る車室、荷物を載せるトランクルームの3要素が、いくつの箱(ボックス)で形成されているかを意味します。

・3ボックスカー
エンジンルームと車室、トランクルームがそれぞれ独立して構成されます。車室の前後に空間があるので事故時の安全について有利な一方で、車室のスペースが確保しづらいというデメリットがあります。小型車では構成できないので、比較的大型の車で採用されます。なお、トランクルームのスペースが十分でない場合は、2.5ボックスと表現することもあります。

・2ボックスカー
トランクルームが独立せず、エンジンルームと車室で構成されます。車室を広く確保できるメリットがあり、またシートレイアウトを変更することで荷室も広くできます。スペースの自由度が高いので、現在、最も人気があるスタイルです。

・1ボックスカー
エンジンが車室の下に配置された一つの空間のように見えるスタイルです。車室を広くできますが、前突時の安全確保が難しいです。1ボックスカーに近いが、小さいエンジンルームが付いている場合、1.5ボックスと呼ぶことがあります。

ボディ形状による分類
ボディ形状による分類

ドアの数

ドアの数は、乗員の乗降のしやすさやスタイルに大きな影響を与えます。ドアの数で車のスタイルを表現することがあります。

4ドアはもっとも一般的で、3ボックスカーでは前列乗降用のフロントドアと後列乗降用リアドアで構成されます。3ボックスカーでも、スポーティなハードトップには2ドアタイプもあります。2ドアで後列に乗降する際には、前列シートを倒さねばならず利便性に劣ります。

2ボックスカーや1ボックスカーでは、人の乗降の他にテールゲートが加わるので、5ドア、3ドアと呼ばれます。

ドアの数による分類
ドアの数による分類

ピラーの数と位置

車のルーフを支えるピラーは、ボディのスタイルやドライバーの視界に影響を与えます。通常は、前からAピラー、Bピラー、Cピラーと呼びます。

3ボックスカーでは、左右両側にA、B、Cピラーを配備します。1ボックスカーや2ボックスカーでは、Cピラーの後ろにDピラーを配備する場合もあります。

ルーフを支えるピラー
ルーフを支えるピラー

ノーズとバック

エンジンが収められている車の前方部分をノーズと呼びます。

ロングノーズタイプは、エンジンルームを広くでき、高級車やスポーツタイプの車に採用されます。ショートノーズは、車室が確保でき視界が良く運転しやすいメリットがあるため、最近の車の主流です。

3ボックスカーの後方のスタイルは、トランク上部にリアデッキという平坦な部分があるノッチバックが一般的です。対して、ルーフからリアエンドまでを直線的につないだものをファストバックと呼びます。

バック形状
バック形状

どんな目的で車を使うか、どんな人が何人乗るか、どんな荷物を積むかがはっきりすれば、その制約の中であとは好きなスタイルの車を探すだけです。

自分のライフスタイルに合った車を選ぶ際には、ボディスタイルの基本を知っておくことが重要です。

■セダンとは

最もポピュラーで車の基本形「セダン」の特徴を解説していきます。

セダンの特徴

セダンは、最もポピュラーで長い歴史をもつ車の基本形です。エンジンルームと車室、トランクルームの3つのボックスで構成される3ボックスカーです。

セダンは、中央の車室のみ背を高くして居住空間を確保しながら、トランクルームもバランス良くレイアウトできます。フロントシートとリアシートのそれぞれにドアが取り付けられ、通常は4ドアの構成になっています。

・代表車種
BMW・3シリーズセダン、トヨタ・クラウンロイヤル、ホンダ・シビックセダン、マツダ・アテンザセダン

セダンのメリットとデメリット

4ドアなので前席・後席とも乗降性にも優れ、ルーフ高さも確保されるので圧迫感なく居住性にも優れています。車室は、エンジンルームとトランクルームが隔壁によって完全に分離されているので、衝突安全性に優れ、またボディ剛性が高められるので走行安定性も優れています。

高級車志向の中高年層には人気のあるセダンですが、長らく販売は低迷しています。多様なライフスタイルに応えられるSUVやミニバンに、主役の座を譲っています。

・セダンベースのハードトップ
センターピラーとドアサッシを待たないセダン派生のハードトップという車があります。サイドウインドウを全開にしたとき、開放感が得られてスポーティかつ高級感のあるイメージを狙ったデザインです。しかし、ピラーがなく側面衝突に不利なため、最近は見かけなくなりました。

居住性とラゲッジスペース、走行性能をバランス良くとれるのが「セダン」の魅力です。万人受けすることが最大のメリットであり、デメリットでもあります。

■ハッチバックとは

コンパクトカーとして大衆車の代表格「ハッチバック」について、その特徴を解説していきます。

ハッチバックの特徴

ハッチバックは、車室から独立したトランクルームを持たず、リアシートの後方にラゲッジスペースを確保しています。したがって、荷物の出し入れは後方背面のハッチ(扉)で行うため、ハッチバックと呼ばれます。また、ハッチを下から上に持ち上げて開くことから、リフトバックとも呼ばれます。

ラゲッジスペースの床面積は限られますが、その分ボディ全体を短く重量も軽くできます。欧州では2000ccクラスのハッチバックがありますが、日本では1500cc以下のコンパクトカーに採用されることが多く、ハッチバック=コンパクトカーと扱われることが多いです。

・代表車種
トヨタ・アクア、ホンダ・フィット、マツダ・MAZDA2

ハッチバックのメリットとデメリット

限られたボディサイズで広い居住空間を得るためには、ハッチバックは効率なボディスタイルと言えます。全長が4m程度のボディでセダンを作れば、リアシートは狭くなりますが、ハッチバックなら十分なスペースを得られます。

特に、軽自動車はハッチバックの特徴を最大限生かしており、軽自動車のサイズでも問題なく4人乗車が実現できます。

また、コンパクトでボディ後部が短いので車庫入れや縦列駐車がしやすい、運転操作が簡単というメリットがあります。ちょっとした荷物を運ぶ買い物や数名の友人と出かけるような市街地中心の走行では、ハッチバックは利便性が高く、女性にも人気のボディスタイルです。

コンパクトながら機能性を追求している「ハッチバック」は、日本の交通事情やライフスタイルを考慮すると、最も合理的な車と言えるかもしれません。

■クーペとは

スポーツカーとしてスタイル性を重視した「クーペ」について、その特徴を解説していきます。

クーペの特徴

クーペは、一般的には3ボックスの2ドアでルーフが低いスポーティなボディスタイルです。2ボックスでリアハッチを備えた3ドアクーペ、4ドアクーペや5ドアクーペも登場したため、定義が曖昧になっています。

典型的なクーペは、走行性能とデザイン性を重視したスポーツカーと呼ばれるリアシートのない2シーターです。優れた走行性能を実現するため、高性能なエンジンやサスペンションを装備しています。

・代表車種
トヨタ・86、メルセデス・ベンツ・EクラスクーペE400、BMW・2シリーズM2クーペ、日産・スカイラインGT-R(第2世代)

クーペのメリットとデメリット

走りが楽しめるスポーツタイプの車は、走り好きな人には憧れの存在です。一方で、2シーターなら問題ありませんが、リアシートがある2列シートの場合、後席は十分な居住性が得られません。

妥協策として、2ドアセダンに近いボディ形状で、後席に最低限の居住性を確保した4名乗車のセダン派生クーペがあります。ただし、その分本来のスポーティなデザイン性は、損なわれます。

車高が低く、高性能のエンジンと足回りを装備したスポーツカーに代表される「クーペ」は、車好きの憧れです。車室空間が狭くなるのは、致し方ありません。

■ステーションワゴンとは

セダンの安定性とラゲッジ収納力を持たせた「ステーションワゴン」について、その特徴を解説していきます。

ステーションワゴンの特徴

ステーションワゴンは、セダンをベースにしてルーフをボディの後端まで伸ばして、トランクスペースの部分まで居住空間とした2ボックスカーです。トランクスペースの高さは、車室高と同等にできるので、ラゲッジ収納力が高まります。

基本的には5ドアで、エンジン性能を上げて足回りなどをスポーティにしたスポーツワゴンと呼ばれるタイプが、実用性と動力性能を両立させた車として人気があります。

・代表車種
スバル・インプレッサSPORT、スバル・レヴォーグ、トヨタ・カローラフィールダー

ステーションワゴンのメリットとデメリット

ステーションワゴンのメリットは、セダンやクーペに近い性能と乗り心地、その上ラゲッジの収納力があることです。トランクルームと異なり、長尺の荷物も積むことができます。

後部シートの後ろにラゲッジスペースが広がっているため、開放感があります。また、シートスライド機構のある車も多く、ミニバンほどではありませんが、シートアレンジができます。

欧州では人気のボディスタイルですが、日本では1990年代半ばのブーム以降はミニバンやSUVの人気に押されています。

・バンとの違い
ステーションワゴンにスタイルが類似した車にバンがあります。違いは、ワゴンは乗用車、バンは貨物車で4ナンバーです。バンは、その性格上、ワゴンに比べて装備や乗り心地などが劣り、価格も抑えられています。

セダンの快適性と適度なラゲッジスペースを持たせた「ステーションワゴン」は、スポーツセダンの進化型と言えます。ミニバンやSUVに押されて存在感が薄れているステーションワゴンですが、再び人気を得るためには商用バンと一線を画するような洗練されたデザインが必要ではないでしょうか。

■SUVとは

高い走破性と安定した走行性能を両立させる「SUV」(Sport Utility Vehicle/スポーツ・ユーティリティ・ビークル)について、その特徴を解説していきます。

SUVの特徴

オフロード走行ができる4輪駆動車には、オフロード車、クロカン車、RVなどの呼び方があります。

オフロード走行が前提ですが、シティユースにもアレンジされた車がスポーツ多目的車、SUVと呼ばれます。2ボックスの5ドアが一般的で、ミニバンと曖昧な車種もあります。

日本のSUVには、2つのタイプがあります。

ラダーフレーム構造の頑丈な本格SUVとモノコック構造で乗用車ベースのシティユースSUVです。乗用車ベースのSUVは、クロスオーバーSUVや単にクロスオーバーと呼ばれることもあり、2WD設定もあります。

・代表車種
日産・エクストレイル、トヨタ・CH-R、スバル・クロストレック、トヨタ・ランドクルーザ、三菱・パジェロ

SUVのメリットとデメリット

乗用車ベースのSUVでも最低地上高を十分に確保しているので、セダンやワゴンに比べると高い走行性能が得られます。4WDであれば、雪道や悪路も難なく走破できます。

ただし4WDは走破性に優れますが、車重が重いので燃費が悪く、価格も高くなります。

SUVは、オフロードはもちろんオンロードでも快適に走行できます。スタイルや装備が洗練されている都市型SUVが、現在世界中でシェアを伸ばしています。

■ミニバンとは

限られた車室スペースを最大限活用して快適な居住空間を作り出している「ミニバン」について、その特徴を解説していきます。

ミニバンの特徴

限られた室内スペースを、徹底的に居住空間として利用するミニバンは、ラゲッジスペースをなくして多くの人を乗せることを最優先にしています。

一般的には3列シートで、ショートノーズの2ボックスやセミキャブオーバーの1.5ボックスです。日本では、6人乗り、7人乗り、8人乗りがほとんどで、ラゲッジスペースも確保できます。

ボディサイズが豊富で3ナンバー枠ギリギリの大型から、軽自動車まで多くのバリエーションがあります。コンパクトカーや軽自動車のミニバンタイプは、トールワゴンという名称で分類されることもあります。

乗員数に応じてシートの並びを自在に最適化できるシートアレンジ機能とともに、狭い場所でも乗降できるスライドドアは、ミニバンの魅力をさらに高めています。

・代表車種
トヨタ・アルファード、トヨタ・ヴェルファイヤ、トヨタ・シエンタ、ホンダ・フリード、ホンダ・オデッセイ

ミニバンのメリットとデメリット

多くの人を乗せる、あるいはたくさんの荷物を搭載できることが、ミニバンの最大のメリットです。全高が1550mm以上あるので、機械式立体駐車場に入れないことがデメリットです。

大型の高級ミニバンの車内は快適ですが、サイズに余裕がない車種ではフル乗員するとやや窮屈です。

3ナンバーの高級ミニバンでは、飛行機のファーストクラスのような快適性能という表現がよく使われます。広い車室空間と自在なシートアレンジ機能が、ミニバンの快適な居住空間に大きく貢献しています。

(Mr.ソラン)

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