車の燃料とは?ガソリン・軽油・バイオマス・水素。それぞれの特性と課題を解説

目次

■自動車用の燃料とは

自動車用として一般的に使用されているほとんどの燃料は、石油から精製される化石燃料のガソリンと軽油です。一方で、「地球温度化ガスCO2の低減」や「化石燃料への依存からの脱却」のため、さまざまな代替燃料の開発も進められています。

車のエネルギー源であるさまざまな燃料について、解説していきます。

ガソリンと軽油の違い

化石燃料のガソリンや軽油、灯油、重油などは、いろいろな成分が混合している原油を加熱して、蒸留温度を調整することによって抽出します。

ガソリンは、沸点が30~220度程度、軽油は沸点が200~350度程度の成分です。ガソリンは低温でも蒸発しやすいですが、軽油は高温にならないと蒸発しません。

・点火源を近づけて発火する引火点は、ガソリン約-40度以上に対して軽油は約40度以上。
・点火源がなくても自ら発火する着火点は、ガソリン約300度に対して軽油は約250度。

ガソリンは、蒸発しやすく点火源によって容易に着火するので、火花点火エンジンの燃料に適しています。軽油は、蒸発しにくいですがガソリンよりも低い温度で自着火するので、圧縮着火エンジンの燃料に適しています。

car_fuel_01
分留温度の違いでさまざまな燃料が分離できる

ガソリンオクタン価と軽油セタン価

ガソリンエンジン用燃料として重要な特性は、ノッキングし難い、アンチノック性です。アンチノック性を示す指標が、オクタン価です。ノッキングが発生しなければ、圧縮比を高く設定でき、熱効率を向上させることができます。

一方、ディーゼルエンジン用燃料として重要なのは、着火のしやすさです。その指標は、セタン価で表します。セタン価が高いと、低温時の始動性や排出ガス特性、騒音が良化します。

ガソリンの場合は着火しづらいこと、軽油の場合は着火しやすいこと、全く反対の特性が求められます。

CNGとLPG

CNG(Compressed Natural Gas)は、圧縮天然ガスの略称です。

メタンガスを主成分とする天然ガスは、石油よりも埋蔵量が多く世界中の地下に存在するため、安く入手できます。車用としては、天然ガスを気体のまま20MPa程度まで圧縮して、専用ボンベに貯蔵して使用します。課題は、常温で気体なので満タン時の走行距離が短いことです。

LPG(Liquefied Petroleum Gas)は、液化石油ガスの略称です。

プロパンとブタンの混合ガス燃料で、原油精製で得られる最も揮発しやすいガス成分です。0.2~0.8MPa程度の圧力をかけて、液化して専用タンクに貯蔵して使用します。

燃料費が安く満タンの航続距離も長いので、日本のタクシーのほとんどはLPG車です。

カーボンニュートラル燃料(CNF)

カーボンユートラルとは、単にCO2に代表される温室効果ガスの排出量をゼロにすることではありません。実際には、CO2排出量をゼロにすることは現実的ではないので、「排出を全体で見てゼロにする」ということを意味します。言い換えると、CO2排出量からCO2吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする、「発生CO2=CO2回収量(吸収量と除去量)」とするのが、カーボンをニュートラル(炭素中立)にするという考え方です。

CNF(Carbon Neutral Fuel:カーボンニュートラル燃料)とは、CO2を回収して再利用する燃料であり、CNFには下記のバイオ燃料の他に水素、合成燃料(e-fuel)などが相当します。

最近のモータースポーツでは、合成燃料のe-Fuelや水素エンジンが積極的に使われています。これらもカーボンニュートラルを実現するための実証試験の一環です。まだ製造コストが高いため、市販化されるのは10年以上先かもしれません。

バイオ(マス)燃料

バイオ燃料とは、再生可能なエネルギーの中で動植物から生まれた生物由来の燃料です。最大の特徴は、バイオ燃料の燃焼で発生するCO2が排出量としてカウントされない、「カーボンニュートラル」であることです。

したがって、ガソリンや軽油など、化石燃料に代わる、温暖化対策の有力な代替燃料と位置付けられています。

バイオ燃料には、原料としてトウモロコシやサトウキビを使用するバイオエタノール燃料と、原料として菜種油や大豆油、パーム(椰子)油、廃食用油などを使用するバイオディーゼル燃料(BDF)の2種類があります。

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルは、京都議案書で規定されている考え方です。

生物資源を原料とするバイオ燃料を燃焼させた場合も、当然CO2は発生します。ただし、バイオ燃料の原料となる植物が、その成長過程で光合成によって大気中のCO2を吸収するため、この場合のCO2は排出量としてカウントしません。

バイオマス燃料
バイオマス燃料

自動車用燃料は、排ガス規制やCO2規制などの環境規制に対応するため、エンジンとともに進化してきました。エンジンの要求に応えるために燃料は進化し、また燃料性状に合致するようにエンジンは進化してきました。

本章では、ガソリンと軽油に加えて、環境対応のための代替燃料CNGやLPG、バイオマス燃料について、詳細に解説します。

■ガソリンと軽油とは

自動車用エンジンとしては、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンと軽油を燃料とするディーゼルエンジンに大別されます。ガソリンと軽油の性状の違いによって、エンジンの噴射システムや燃焼方式、構造などが異なります。

代表的な自動車用燃料のガソリンと軽油を比較しながら、その違いについて解説していきます。

燃料性状に見合った燃焼方式

ガソリンと軽油の性状の特徴的な違いを簡単に言うと、次のようになります。

・ガソリンは、蒸発しやすく炎を近づけると常温でも容易に着火する。
・軽油は蒸発しにくいが、ガソリンよりも低い温度で自着火する。

燃料性状の違いによって、エンジンの噴射システムや燃焼方式、構造、構成部品が異なります。

ガソリンエンジンは、混合気を圧縮して点火プラグの火花で混合気に点火し、燃焼する「火花点火方式」です。一方ディーゼルエンジンは、空気のみを圧縮して高温になった圧縮空気中に軽油を噴射し、蒸発した軽油が自着火する「圧縮自着火方式」です。

ガソリンと軽油の精製法と性状

ガソリンや軽油、灯油、重油などの燃料は、いろいろな成分が混合している原油を加熱して、蒸留温度を調整することによって抽出します。

ガソリンは、沸点が30~220度程度、軽油は沸点が200~350度程度の成分です。ガソリンは低温でも蒸発しやすいですが、軽油は高温にならないと蒸発しません。

・点火源を近づけて発火する引火点は、ガソリン約-40度以上に対して軽油は約40度以上。
・点火源がなくても自ら発火する着火点は、ガソリン約300度に対して軽油は約250度。

ガソリンは、蒸発しやすく火花点火で容易に着火するので、火花点火エンジンの燃料に適しています。軽油は、蒸発しにくいですがガソリンよりも低い温度で着火するので、圧縮着火エンジンの燃料に適しています。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジン
ガソリンエンジンとディーゼルエンジン

ノッキング

ガソリンエンジン用燃料として重要な特性は、ノッキングし難いことです。アンチノック性を示す指標が、オクタン価です。ノッキングが発生しなければ、圧縮比を高く設定でき、熱効率を向上させることができます。

ノッキングは、点火による火炎が到達する前に混合気が自着火する現象です。ノッキングしないためには、自着火しづらいオクタン価が高いガソリンが有効です。

一方、ディーゼルエンジン用燃料として重要なのは、着火のしやすさです。その指標は、セタン価で表します。セタン価が高いと、低温時の始動性や排出ガス特性、騒音が良化します。

ガソリンの場合は着火しづらいこと、軽油の場合は着火しやすいこと、全く反対の特性が求められます。

ノッキング
ノッキング

燃料を入れ間違えたらどうなる

ガソリン車に軽油を、ディーゼル車にガソリンを間違って入れたら、どうなるでしょうか。

供給直後は噴射系やタンク残量の燃料である程度走行できます。しかし、間違って入れた燃料割合が増えてくると、着火特性などの違いによって、激しいノックや不完全燃焼によるHCや白煙が発生します。噴射燃料量も適正でないので燃焼が不安定になり、最終的にはエンジンは停止します。

ディーゼル車にガソリンを入れた場合には、軽油のもつ潤滑機能がなくなるので、噴射ポンプなど噴射システムが焼き付く可能性があります。

環境問題が重視される中、燃料性状も改良されエンジンの環境対応技術に大いに貢献してきました。

燃料に適したエンジンを開発するのか、エンジンに適した燃料を開発するのか、今後も両者が協力しながら環境に優れた技術開発を進めることが重要です。

■ガソリンの特性とは

何も変わっていないように見えるガソリンですが、実は燃費や性能、排出ガス特性の改良要求に応える形で、その性状はエンジンとともに進化しています。

ガソリン性状がエンジンにどのような影響を与えるのか、その重要性について、解説していきます。

ガソリンの基本特性

ガソリンや軽油、灯油、重油などの燃料は、いろいろな成分が混合している原油を加熱して、蒸留温度を調整することによって抽出します。

ガソリンは、沸点が30~220度程度の成分で低温でも蒸発しやすい特性を持っています。また、点火源を近づけて発火する引火点は、約-40度以上と火花点火エンジンにとって適しています。

ガソリンの性状は、エンジンの燃費や排出ガス特性、性能に大きな影響を与えます。特に重要な性状は、ノッキングの発生しづらさのアンチノック性を表すオクタン価、揮発しやすさを代表する留出温度特性、触媒の劣化に悪影響を与える硫黄含有量です。

オクタン価

ガソリンは、化学反応や精製で得られたさまざまな基材を混合して製造されます。オクタン価は、アンチノック性を示す指標で、オクタン価の高い改質ガソリンなどを配合することで調整されます。

JIS規格では、レギュラーガソリンはオクタン価89以上、プレミアムガソリンはオクタン価96以上に規定されています。

オクタン価が高い、アンチノック性が高いとエンジンの圧縮比が上げられるため、熱効率が向上します。一般に、プレミアムガソリン仕様のエンジンの方が高い圧縮比設定となっており、出力と燃費性能が優れています。

オクタン価の基準

オクタン価は、イソオクタン(オクタン価100)と、ノルマルへプタン(オクタン価0)の2つの燃料を混合した燃料のアンチノック性を基準にして決めます。

ある燃料のアンチノック性が、イソオクタン90%とノルマルへプタン10%の混合燃料と同等であったなら、その燃料のオクタン価は90です。

留出温度特性の与える影響

ガソリンの沸点は30~220度程度で、さまざまな揮発性の成分が混合しています。ガソリンの揮発性は、通常10%と50%、90%の留出温度で代表されます。それぞれが、始動性や排出ガスHC特性などに大きな影響を与えます。

10%留出温度(ガソリンの10%が留出する温度)は始動性に関係し、高すぎると始動性が悪化します。逆に低すぎると、高温時にペーパーロック(加熱によって燃料の一部が気泡となり、流れが阻害される現象)が発生しやすくなります。50%留出温度や90%留出温度もエンジンの暖気特性やHC排出特性、出力に影響を与えます。

硫黄含有量の悪影響

車の排出ガス性能は、触媒の浄化効率に大きく依存しています。ガソリン中に大量の硫黄分が含まれると、排出ガス中の硫黄酸化物が触媒の貴金属Pt(白金)やPd(パラジウム)を被毒して、その結果浄化性能を低下させます。

硫黄分を除去する脱硫工程にはコストがかかるため、ガソリンに含まれる硫黄分は触媒技術にとって大きな障壁でした。

排ガス規制が強化される中、ガソリン中の硫黄分は段階的に低減されてきました。2005年から、日本ではガソリン中の硫黄分は10ppm(ppm:100万分率)まで低減されました。このガソリンは、実質的にほとんど悪影響を及ぼさないことから、サルファーフリー・ガソリンと呼ばれています。

ガソリン中の硫黄濃度推移
ガソリン中の硫黄濃度推移

ガソリンのオクタン価向上や揮発性改良、硫黄分除去などが、エンジンの環境対応技術の進化に大きく貢献してきました。今後は、石油依存からの脱却やCO2低減の観点から、アルコール燃料やバイオ燃料との組み合わせなどをさらに進めることが、ガソリンに求められています。

■ガソリンの劣化とは

長期間車を放置して久しぶりに運転する時、燃料タンクのガソリンが劣化してないか心配になるのではないでしょうか。ガソリンの劣化は、エンジンの不調やエンスト、最悪の場合はエンジンの破損など、ユーザにとっては大きなリスクになります。

ガソリンはどのようなメカニズムで劣化するのか、またエンジンにどのような悪影響を与えるのか、解説していきます。

ガソリンの劣化メカニズム

ガソリンは、炭素と水素の化合物である炭化水素CnHmのn=4~10までの混合物です。様々な性状(揮発性、粘度、引火点など)を持つ炭化水素の集合体です。

長期間ガソリンを放置すると、本来の着色処理したオレンジ色から褐色に変色して、強烈な刺激臭が発生します。また粘度が上昇して流動性が悪化し、ドロドロ状態になります。これは、主として2つの原因で起こります。

・ガソリンに含まれるアルケンが、空気中の酸素によって酸化されて、蟻酸や酢酸に変化します。この酸性化によって、変色が起こり強烈な刺激臭が発生します。

・時間経過とともにガソリンの中の高揮発性成分が消失して、揮発しにくい高粘度成分だけが残留し、流動性が悪化します。

劣化はどれくらいから始まるのか

劣化の原因となる高揮発成分の消失や酸化は、周辺温度や湿度、空気への晒され状況といった放置条件に大きく依存します。高温で常時空気に晒されるような劣悪条件では、3ヵ月程度の早期に劣化が始まります。

車の燃料タンクは密閉されていますが、1年も経つと劣化が始まり、変色と刺激臭が目立つようになります。さらに2、3年後には流動性が悪化してドロドロ状態になります。

燃料タンク内のガソリンの劣化具合を、その色や臭いの変化でチェックするのは難しく、現実的ではありません。安全サイドで考えれば、半年以上放置したガソリンは入れ替えるべきです。

ガソリンの劣化がエンジンに与える影響

ガソリンが劣化すると、どんな問題が起こるのでしょうか。

・酸性化によるガソリンタンクや配管部など金属部の腐食の促進

・揮発性悪化によるエンジンの始動不良や不安定化

・流動性悪化によって、燃料配管通路や燃料フィルター、噴射弁が詰まり、エンジン作動不良や最悪の場合はエンジンの破損

車を半年以上放置すると、エンジンが正常にかからない可能性が高いです。例えエンジンがかかったとしても、走行は控えるべきです。燃料系の詰まりは時間とともに進行し、走行中に突然エンジンが停止する、エンジンが壊れるという重大なトラブル、事故につながります。

PHEV搭載エンジンのガソリン劣化対策

三菱アウトランダーPHEVでは、燃料タンクの長期滞留による、ガソリンの劣化による不具合を防止する制御が組み込まれています。

3ヵ月間エンジンを起動せず、外部充電だけでEV走行を続けると、勝手(自動的)にエンジンが起動します。長期間に使用していないタンク内のガソリンを、劣化する前に消費するためです。この時点で、最低でも15Lのガソリンを補給しない限り、エンジンの強制起動は解除されません。

エンジン起動の頻度が低いプラグインハイブリッドでは、ガソリンの劣化に留意する必要があります。

燃料タンク内のガソリンは、長期滞留によって劣化します。劣化による不具合は、エンジン停止やエンジン破損など大きなリスクを伴います。

半年以上放置して車を動かす場合は、必ず新しいガソリンに交換することを推奨します。ただし、ガソリンは危険物ですので、ガソリン交換を自分で行うのは禁物です。

■軽油とは

日本のディーゼル乗用車のシェアは5%にも届きませんが、欧州では課題であった黒煙などの排出ガス特性と騒音が、エンジンの技術進化と軽油性状によって改善され、2010年頃までディーゼル乗用車のシェアは50%程度ありました。今現在(2023年)は、電動車の躍進や排ガス処理コストが高いなどの理由で、30%程度まで下がったものの、日本に比べると欧州でのディーゼル車の人気はまだ高いです。

軽油の性状も途上国ではまだ改善の必要がありますが、先進国の軽油の性状は十分改善され、安定しています。

軽油の性状がエンジンにどのような影響を与えるのか、その重要性について、解説していきます。

軽油の基本特性

ガソリンや軽油、灯油、重油などの燃料は、いろいろな成分が混合している原油を加熱して、蒸留温度を調整することによって抽出します。

軽油は沸点が200~350度程度の成分です。常温では蒸発しにくいですが、点火源がなくても自ら発火する着火点は約250度と低く、圧縮着火のディーゼルエンジンに適しています。

軽油の性状は、排出ガス特性やディーゼルノックなどの燃焼特性に大きな影響を与えます。

特に重要な性状は、着火しやすさを表すセタン価、低温時に燃料が凝固する直前の流動点、噴射システムの潤滑に関わる粘度、触媒劣化に悪影響を与える硫黄含有量です。

軽油中の硫黄濃度推移
軽油中の硫黄濃度推移

セタン価の重要性

圧縮着火のディーゼルエンジンでは、燃焼室内に噴射した燃料はできるだけ早く着火して燃焼することが望ましいです。着火性を表す指標が、セタン価です。

着火性は、燃料が噴射されてから着火するまでの時間(着火遅れ)が長いか短いかで評価され、短いほどセタン価は高くなります。着火遅れが長いと、噴射された燃料が蓄積し、着火した時に一気に燃焼します。急激にシリンダー内の圧力が上昇するため、ディーゼルノックが発生します。

また、着火性が悪いと低温始動性も悪化します。

JIS規格では、セタン価は45~50以上となっており、市場では53~55程度の軽油が販売されています。

セタン価の求め方

セタン価は、ノルマルセタン(セタン価100)とプタメチルノナン(セタン価15)の2つの燃料を混合した燃料の着火遅れを基準にして決めます。

ある燃料の着火性が、ノルマルセタン50%とプタメチルノナン50%の混合燃料と同等であったなら、その燃料のセタン価は以下の算出式から57.5となります。

セタン価 = ノルマルセタン容量(50) + プタメチルノナン容量(50)x0.15

低温特性・流動点の影響

低温時には、軽油中のパラフィン分が析出してシャーベット状になり、フィルターや配管の閉塞の問題が発生します。燃料が流動性を失い、凝固する直前の温度を流動点と呼びます。

JIS規格の軽油は、流動点の違いにより5種類に分類されています。特1号軽油は流動点が5度以下、1号軽油-2.5度以下、2号軽油-7.5度以下、3号軽油-20度以下、特3号軽油-30度以下の5種類で、仕向け地や季節によって使い分けるようになっています。

動粘度・潤滑性の影響

動粘度は、燃料噴霧の粒径の大ききを左右するので、燃焼特性に影響します。また、動粘度が過度に低いと、燃料ポンプなどの摩耗を促進します。

軽油は、燃料ポンプなど噴射システムの潤滑も兼ねています。一方、低硫黄軽油では、硫黄を除去する脱硫工程で潤滑成分が除去されます。そのため、日本で流通している低硫黄軽油には潤滑向上剤が配合されています。

硫黄含有量の悪影響

ディーゼルエンジンもガソリン同様、排出ガスの低減は触媒の浄化性能に大きく依存しています。

搭載している触媒の数や容量が多いので、ガソリンエンジンに比べて軽油中の硫黄濃度の影響が大きいです。

触媒の被毒を抑えるために、排ガス規制の強化とともに硫黄分は段階的に低減されています。2007年に10ppmまで下がり、サルファーフリー・軽油となっています。

軽油では、燃焼と排出ガス特性を支配するセタン価が重要ですが、もう一つ重要なのは流動点です。軽油は、低温で流動点に到達するとシャーベット状になり、フィルターや配管内の燃料が流動性を失います。当然、始動できないので、適切な流動点の軽油を選択しなければいけません。

■ガス燃料とは

ガソリンや軽油の代替燃料として、ガス燃料のCNGとLPGがあります。石油の枯渇問題が取りざたされた前には、安く入手できてクリーンな代替燃料として注目されていました。

近年は、エンジンの環境対応技術や電動化技術が進み、その存在感が薄れつつありますが、CNGとLPGのメリットと課題について解説していきます。

CNGとLPGの基本特性

CNG(Compressed Natural Gas)は、圧縮天然ガスの略称です。

天然ガスは石油よりも埋蔵量が多く、世界中の地下に存在するため、安く入手することができます。メタンガスを主成分として、家庭用のガス燃料「都市ガス」に使用されています。車用としては、天然ガスを気体のまま20MPa程度まで圧縮して、専用ボンベに貯蔵して使用します。

LPG(Liquefied Petroleum Gas)は、液化石油ガスの略称です。

プロパンとブタンの混合ガス燃料で、原油精製で得られる最も揮発しやすいガス成分です。0.2~0.8MPa程度の圧力をかけて液化し、専用タンクに貯蔵して使用します。日本のタクシーのほとんどは、LPG車です。

CNG車とLPG車とも、市販のガソリンエンジンとディーゼルエンジンをベースにしています。噴射系をガス燃料用に変更するエンジン改造で対応しますが、改造費は数十万円以上かかります。

車両価格(イニシャルコスト)は高くなりますが、いずれも燃料価格(ランニングコスト)が安いので、走行距離が多ければ多いほど、コストメリットは大きくなります。

ただし、どちらも燃料ガス供給スタンドが少ないので、一般のユーザーが日常的に使うのは難しいです。

CNG車のメリットと課題

CNGエンジンでは、気体のまま200MPa程度まで圧縮されたCNGを、減圧して専用の噴射弁で吸気マニホールドに噴射します。気体で燃料を供給するとその分吸入空気量が減少するので、通常は出力が若干低下します。

CNGの主成分メタンは、ガソリンと比べて単位重量当たりの発熱量が多く、オクタン価は120と高いアンチノック性を持っています。また、燃料中の炭素量が少ないため、燃焼によるCO2発生量はガソリンに対して20%少なく、PMやNOxも減少します。
燃料価格はガソリンの約70%で、燃費がガソリン車と同等だと、燃料費はガソリン車の70%程度ですみます。

最大の課題は、常温で気体なので満タン時の走行距離が短いことです。乗用車クラスで150Lのボンベを搭載しても、航続距離は150km程度と短く、実用的ではありません。

CNG燃焼時の生成ガス
CNG燃焼時の生成ガス

LPG車のメリットと課題

LPGは0.2~0.8MPaの圧力で液化して、ガスの1/250にしてタンクに充填します。液体噴射方式と気体噴射方式があり、専用の噴射弁で吸気マニホールドに噴射します。

LPGの単位重量当たりの発熱量は、ガソリンよりも多く、オクタン価は約105と高いです。CNGと同様、燃料中の炭素量が少ないため、燃焼によるCO2発生量はガソリンに対して15%程度少なく、またPMやNOxも減少します。

燃料価格はCNGよりも低く、ガソリンの約60%(80円/L)程度なので、燃費がガソリン車と同等だと燃料費はガソリン車の60%程度と圧倒的に安いです。乗用車クラスでは80Lタンクが搭載可能で、1回の充填で600~800km走行できます。

燃料費が安く航続距離も長いので、走行距離が長いタクシーやトラックではコストメリットは大きく、有効な燃料です。

クリーンで燃料費も安いCNG車とLPG車は、ガソリンと軽油の代替燃料として注目されていました。ただし、エンジン自体の進化やHEVなどの電動化技術が加速する中で、その存在感は薄れています。

年間10万km以上走るようなタクシーやトラックでないと燃料費メリットが享受できない、燃料インフラ整備が不十分なことなどの理由により、CNG車とLPG車は一般車には普及しづらくなっています。

■カーボンニュートラル燃料(CNF)

最近注目されている燃料に、CNF(カーボンニュートラル燃料)があります。電動化を推進しても、ライフサイクルCO2で見れば、電気を生成する発電時やバッテリーの製造時などにCO2が発生し、CO2がゼロになるわけではありません。走行時のCO2をゼロとみなせるCNFを使えば、既存のエンジンがそのまま使えるという大きなメリットがあります。世界中が目指している2030年~2040年にかけてのカーボンニュートラル実現のために、EV一辺倒でなく、CNFの活用も必要なのです。

CNFは、単にCO2の排出量をゼロにすることではありません。実際には、CO2排出量をゼロにすることは現実的ではないので、「排出を全体で見てゼロにする」ということを意味します。言い換えると、CO2排出量からCO2吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする、「発生CO2=CO2回収量(吸収量と除去量)」とするのが、カーボンをニュートラル(炭素中立)にするという考え方です。

CNFとは、CO2を回収して再利用する燃料であり、バイオ燃料、水素、合成燃料(e-fuel)など相当します。最近のモータースポーツでは、積極的に合成燃料のe-Fuelが使われています。

以下にバイオマス燃料と水素、e-Fuelについて紹介します

■バイオマス燃料とは

自動車の環境対応技術に対する燃料からのアプローチとして、もっとも注目されているのはバイオマス燃料です。燃焼して排出されるCO2が、排出量としてカウントされないカーボンニュートラルだからです。

今後の技術進化への期待が大きいバイオマス燃料について、解説していきます。

バイオ(マス)燃料が注目される理由

バイオ燃料とは、再生可能なエネルギーの中で動植物から生まれた生物由来の燃料です。最大の特徴は、バイオ燃料の燃焼で発生するCO2が排出量としてカウントされない、「カーボンニュートラル」であることです。

したがって、ガソリンや軽油などの化石燃料に代わる、温暖化対策の有力な代替燃料と位置付けられています。

生物資源を原料とするバイオ燃料を燃焼させた場合も、当然CO2が発生します。ただし、バイオ燃料の原料となる植物が、その成長過程で光合成によって大気中のCO2を吸収するため、この場合のCO2は排出量としてカウントしません。

バイオ燃料には、バイオエタノール燃料とバイオディーゼル燃料(BDF)の2種類があります。

再生可能エネルギーの中で唯一、自然界のカーボンを使う燃料であることから、バイオエタノールはブラジルや米国で、バイオディーゼルは欧州で積極的に使用されています。

再生可能エネルギー

再生可能エネルギーとは、自然界の中で絶えず半永久的に再生供給され、継続して利用できるエネルギーのことです。有限の資源である化石燃料などに対して、水力や地熱、風力、太陽熱、バイオ燃料などが相当します。

バイオエタノール燃料の特性と課題

原料としてトウモロコシやサトウキビ、小麦などの穀物を使い、これらに含まれる糖分を微生物によって酸化・発酵・蒸留してバイオエタノールを製造します。

ただし、原料のトウモロコシやサトウキビは食料でもあるため、食料用途との競合の問題が発生します。燃料として消費が増えると、食料としての価格が上昇してしまいます。これを回避するため、現在は食料用途のない木材やワラなど、セルロース系原料から製造する手法を開発していますが、課題は製造コストです。

エタノールのようなバイオ燃料は分子中に酸素を含むため、単位重量当たりの発熱量はガソリンに劣りますが、オクタン価が100を超えるような高いアンチノック性を示すのが特徴です。

日本では、エタノール含有率3%(E3)と含有率10%(E10)のガソリンが市場供給されています。車両側は、アルコール含有による金属の腐食やゴムホースの劣化を防ぐなどの対策によって、E10まで対応しています。

ブラジルでは、国策としてバイオエタノールの使用を推進しており、サトウキビを原料としたE85とE100燃料が一般に普及しています。

バイオディーゼル燃料(BDF)の特性と課題

バイオエタノールが農産物や農林廃棄物をベースにしているのに対して、バイオディーゼルは一般の動植物油脂をメチルエステル化して製造します。原料としては、菜種油や大豆油、パーム(椰子)油、廃食用油などを使います。

ディーゼル車のシェアが高い欧州では、菜種油を原料としたバイオディーゼルが根付いています。ドイツやフランスでは、バイオディーゼル含有率5%(B5)が一般に普及しています。

地球温暖化対策としてのカーボンニュートラルに加えて、PM(黒煙を主とする粒子状物質)が20%程度低減することも、欧州で導入が進んでいる理由のひとつです。

課題は、やはり製造コストです。

地球温度化ガスCO2の低減と化石燃料への依存からの脱却は、自動車が直面する最大の課題です。それらの解決策として、バイオ燃料の開発には大きな期待がかかっています。

今後の普及は、バイオ燃料の原料がすでに別の用途で大きな需要があるため、供給量が確保できるか、また製造コストがガソリンや軽油並みに低減できるか、にかかっていると思われます。

■e-Fuelとは

最近注目されているe-FuelはCNFのひとつですが、2022年の富士スーパーテック24時間レースでフェアレディZ やGR86およびBRZが使用したCNFは、合成燃料のe-Fuelです。

e-Fuelの具体的な生成法は、火力発電所や工場から排出された高濃度のCO2を回収(将来的には大気中のCO2を濃縮)し、そのCO2を熱分解してCOに変換。一方、水を電気分解して、H2を生成します。COとH2ができれば、古くからあるフィッシャー・トロプシュ法によって、液体の炭化水素(燃料)CnHmが合成できます。

ポイントは、この生成過程では再生可能エネルギーによる電力を用いること、原油由来の燃料を用いたら意味がありません。また、CO2も水素も自然界には無尽蔵にあるので、回収する手段さえ確立できれば、永遠に生成できるという大きなメリットがあります。

原油由来のガソリンや軽油も炭化水素なので、同じ組成の炭化水素の合成燃料CnHmができれば、現行のガソリンと軽油と同じ特性の合成燃料ができるというわけです。このような経緯から、合成燃料e-Fuelは「人工的な原油」と呼ばれます。

■水素エンジンとは

水素を燃料とする燃料電池車(FCEV)は、注目されている次世代車のひとつです。一方で、水素をエンジンで直接燃焼させる水素エンジンは古くから研究され、過去にマツダはレンタル販売、BMWは限定的ですが市場に投入しています。

水素エンジンの今後の可能性について、解説していきます。

水素エンジン

水素を燃料にしてエンジンで燃焼させる水素エンジンは、理論的には燃焼によって水は生成しますが、CO2は排出しない「究極の低エミッションエンジン」といえます。また、既存のエンジンの改良で対応できるので、FCEVのように大きなコストアップもありません。

日本では、武蔵工大(現東京都市大)の古浜教授らが1970年代から水素エンジンの研究を進め、試作車を製作しました。2000年頃には、日本ではマツダ、欧州ではBMWが水素エンジンの開発に注力し、水素エンジン車を発表しました。しかし、BMWは2009年には開発を凍結、マツダも最近水素ロータリーエンジンの開発凍結を発表しました。

マツダとBMWは、なぜ開発を凍結したのでしょうか。

水素エンジンの課題と対応

理論上は優れた水素エンジンですが、実際のところは多くの課題を抱えています。ベースはガソリンエンジンですが、水素とガソリンの特性の違いに合わせて、以下の通り仕様を最適化しています。

・単位容積あたりの発熱量はガソリンの約1/3.7で、満タン時の航続距離はガソリンよりも圧倒的に不利
水素単独燃料では航続距離が短いので、一般的には燃料をガソリンと併用する「バイフューエル」方式を採用しています。結果的には、高価な車になります。

・理論混合気の発熱量はガソリンの約84%なので、出力はガソリンの84%と低目
筒内噴射方式を採用すると、ガソリン並み以上の出力が確保できます。

・燃焼速度は、ガソリンの6.6倍と圧倒的に速く、熱面着火や異常燃焼のリスクが大
水素は可燃範囲が広いのでリーン(希薄)燃焼によって燃焼温度を下げ、バックファイヤーなどの異常燃焼が回避できます。ただし、出力は下がります。

・NOxの排出
ガソリンエンジンと同様、リーン燃焼とEGRを組み合わせて三元触媒でNOxを低減します。

・水素インフラ整備が不十分

ガソリンと水素が併用できるバイフューエルシステムの例
ガソリンと水素が併用できるバイフューエルシステムの例

今後、水素エンジンはどうなる

そもそも、水素は自然界には単独の資源として存在しないので、水素が結合している水か炭化水素を分離して作り出すしかありません。原油から石油を作る過程で、水素を分離しています。

水素エンジンはCO2を発生しませんが、水素を製造するためにCO2を発生させています。化石燃料を使って水素を製造してわざわざエネルギーとして使うくらいなら、直接、化石燃料を燃やす方が効率的と考えるのはごく自然です。

水素エンジンの歴史は古く、2000年頃には、欧州でBMW、日本ではマツダが水素エンジンの開発に注力し、水素エンジン車を発表しました。しかし、BMWは2009年に開発を中止、マツダも同様に水素ロータリーエンジンの開発を凍結しました。水素インフラが十分でなく、水素燃焼のプレイグなどの異常燃焼が上手く制御できなかったからです。

ところが2020年以降、日本を含め世界中で水素エンジンがCNFのひとつとして注目され、開発が進んでいます。

2021年11月13日、トヨタ、スバル、マツダ、ヤマハ、川崎重工の5社が、内燃機関を活用したカーボンニュートラルの取り組みについて発表。その席上で、ヤマハの5リッターV8水素エンジンが披露され、大きな注目を集めました。また、その年の年11月には、「スーパー耐久シリーズ」に参戦したカローラスポーツの改造水素エンジン車が完走しました。特にトヨタは、水素エンジン搭載車でレースに参戦するなど積極的に水素エンジンに取り組んでいます。

Well to Wheel CO2排出量

石油採掘~製油~給油所~走行までの全過程で発生するCO2を、「Well to Wheel CO2排出量」と呼びます。EVの場合の「Well to Wheel CO2排出量」は、電気をどのように製造するかによって、大きく影響されます。同様に、水素エンジンやFCEVの場合は、水素をどのように製造するかによってCO2の評価は大きく変わります。

水素エンジンは、水素をどうやって製造するかによって、その評価は大きく変わります。現状のように化石燃料を使って水素を製造している限り、CO2削減にはなりません。

■水素の搭載方法とは

水素は気体燃料なので貯蔵容積が大きくなり、車載上の制約が課題です。FCEV用の水素は、気体を圧縮して高圧ボンベに貯蔵するのが一般的で、トヨタ「MIRAI(FCEV)」やホンダ「クラリティ FUEL CELL」も高圧水素ボンベを車載しています。

水素の3つの車載方法である高圧水素ボンベ、液体水素、水素吸蔵合金について、解説していきます。

3つの水素車載方法

水素は体積当たりのエネルギー密度が低いため、これをどのような手段で高い密度に維持して車載するかが課題です。

現在FCEVでは、気体として高圧ボンベに貯蔵するのが主流です。トヨタ・MIRAIやホンダ・クラリティ FUEL CELLも高圧水素ボンベを車載しています。その他、ロケットなどで採用している液体で貯蔵する液体水素と、まだ実用化レベルにはありませんが金属に吸蔵させる水素吸蔵合金などの方法があります。

以降で高圧水素ボンベ、液体水素、水素吸蔵合金それぞれの特徴と課題について、解説します。

高圧水素ボンベ(気体で貯蔵)

高圧水素ボンベは、水素を気体のまま圧縮して貯蔵する方法です。水素は軽くて密度が小さいので、多量の水素を貯蔵するためには高圧にする必要があります。トヨタ・MIRAIの圧力は70MPaなので、700倍に圧縮して詰め込んでいます。これで、航続距離はガソリン車以上の850kmを達成しています。

MIRAIの高圧ボンベは、安全を確保するため3層構造になっています。水素を密閉するプラスチックライナー(内層)、耐圧強度を確保する炭素繊維強化プラスチック層(中層)、表面を保護するガラス繊維強化プラスチック層(表層)で構成されています。

高圧水素ボンベの最大のメリットは、気体なのでそのまますぐに使用できる点です。ただし、圧力を上げれば上げるほど、水素漏れや爆発のリスクが高まるので、ボンベの大きさや重量が増加します。

トヨタ ミライのシステム構成
トヨタ ミライのシステム構成
高圧水素タンクの構造
高圧水素タンクの構造

液体水素(液体で貯蔵)

水素は液体にすることで気体の1/800の体積になるので、多くの水素を貯蔵することができ、ロケット用燃料として使われています。ただし、液体に保つにはタンク内を極低温(-253度)に維持する必要があります。タンク内を完全な断熱状態にするのは難しいので、ある程度蒸発して漏出することは避けられず、ロスが発生します。

液体水素方式は、タンク内の断熱や温度管理が課題です。GMのFCEVやBMWの水素エンジンでは、液体水素方式で実用化試験を行っています。

水素吸蔵合金(金属に吸蔵して貯蔵)

金属の結晶構造は、マクロにみると分子間には隙間があります。水素は非常に小さい分子なので、金属分子間の隙間に貯蔵することができます。このように水素を吸蔵する特性を持つのが、水素吸蔵合金です。マグネシウムやチタン、パナジウムなどが相当します。

水素を吸蔵するには、加圧するか温度を下げ、分離するには減圧するか温度を上げることで行います。

気体の1000倍以上の水素が出し入れできるため、コンパクト化できて安全です。しかし、重いことが最大の課題で、400kmの航続距離を確保する水素吸蔵合金は300kg程度必要です。

軽量化などの改良は進められていますが、実用化にはまだ時間がかかりそうです。


性能や安全性など大きな進展が見られるFCEVですが、量産するにはコストが今なお大きな壁です。現在主流の高圧水素ボンベも、コストアップの一要因です。

2021年に一旦FCEVの生産を終了したホンダも、2024年に「CR-V FCEV」の日本投入を発表、BMWはFCEV「iX5 Hydrogen」の少量生産を2023年春から始めました。FCEVが量産レベルになるには、まだまだ時間がかかりそうですが、カーボンニュートラルのひとつの解決策として、メーカーは継続的に取り組んでいるのです。

FCEVが量産レベルになるには、まだまだ時間がかかりそうです。FCスタックとともに水素の貯蔵方法についても、ブレークスルー技術が必要です。

(Mr.ソラン)

クリッカー自動車用語辞典 https://clicccar.com/glossary/