■新型「RANGE ROVER」「RANGE ROVER SPORT」に新開発の直列6気筒のディーゼルエンジンを搭載
2008年3月にフォード傘下から離れたジャガー・ランドローバー。タタ傘下になってからもフォード製エンジンが多く使われている時期がありました。また、BMW製V8エンジンが今後も使われるという噂も飛び交っているようです。
現在は4気筒を中心に、3気筒、6気筒を揃えるモジュラーエンジンの自社開発製「INGENIUM(インジニウム)」エンジンが中心になっています。同モジュラーエンジンの累計生産数が150万基に達し、英国の生産工場では新しく最先端のパワートレインの製造が開始されているといいます。
英国はウルバーハンプトンにあるエンジン・マニュファクチャリング・センター(EMC)では、高効率を誇るINGENIUMが製造されていて、ジャガーおよびランドローバーの全モデル(フルバッテリーEVの「I-PACE」を除く)に、電動も含む幅広いクリーンなパワートレインが搭載されています。
■水素燃料電池パワートレインのコンセプトソリューションも構築
「INGENIUM」ファミリーは、クリーンで洗練された高効率のディーゼル、ガソリン、電動パワートレーンから構成されていて、パフォーマンスを最大化しつつ、環境への影響や顧客のランニングコストを軽減するという利点があります。
自社開発、製造されているオールアルミニウム製のINGENIUMエンジンは、共通したコアテクノロジーに基づくモジュール型であり、柔軟で拡張可能な設計になっています。
新たに加わる直列6気筒のディーゼルエンジンはより高性能で、スムーズさと効率を改善。新型「RANGE ROVER」「RANGE ROVER SPORT」に搭載され、マイルドハイブリッドテクノロジーが組み合わされます。また、INGENIUMの進化と高い効率性は、全モデルを通じて排気ガス削減と燃費向上を図るジャガー・ランドローバーの長期的な取り組みを推進。
さらに同社は、INGENIUMテクノロジーの開発を継続してモデルラインアップの電動化も図るほか、水素燃料電池パワートレインのコンセプトソリューションも構築すると表明しています。
エンジン・マニュファクチャリング・センターでは、次世代電気ドライブ・ユニット(EDU:Electric Drive Units)の組み立ても行われていて、従来のクルマから電気自動車への乗り換えを検討する顧客向けに新型ガソリン、ディーゼル・エンジン、EDUを用意し、柔軟な選択肢を提供するとしています。
ウルバーハンプトンの拠点は、PHEV、バッテリーEVの組み立てが行われているハムズホールの近郊にある「バッテリー・アッセンブリー・センター」とミッドランズに拡張されている電動化エコシステムによって補完されているそう。これらの拠点が一体となり、ジャガーおよびランドローバーの次世代の電動モデルを推進します。
EMCでは、ジャガー・ランドローバーが保有する世界中のビークル・オペレーション向けにエンジンを供給し、英国で発表されたラグジュアリーSUVの新型「RANGE ROVER」とプレミアムスポーツSUVの新型「RANGE ROVER SPORT」の生産拠点であるソリハルを含む、英国の工場で使用するパワートレインの大半を占めているそう。
新しい直列6気筒ディーゼルエンジンは、昨年投入された直列6気筒ガソリンエンジンと同じ工場で製造されています。同工場では主要なアーキテクチャー、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、クランクシャフトの機械加工やエンジンの組み立て、試験を受け持っています。EMCでは、最新の機械加工、組み立て、試験、測定技術を採用し、世界有数のクリーンディーゼルエンジンを送り出しています。
環境性能とハイパフォーマンスの両立、さらに開発や生産面の高効率化はどのメーカーにとっても欠かせないキーワードであり、ジャガー・ランドローバーでは自社開発エンジンの「INGENIUM」により推進されています。
(塚田勝弘)