●今シーズンの天王山となる決勝レースは予想外のSCで大混乱
9月最後の日曜日となる29日、スーパーフォーミュラ第6戦が岡山国際サーキットにて開催されました。
事前の天気予報に反して終始太陽の光が照りつけるサーキットでは、延べ17,700人以上もの観客が見守る中、今シーズンの天王山となる決勝レースが行われました。
午後3時5分、フォーメーションラップからスタンディングスタートで決勝レースがスタートすると、予選5番手からスタートした#5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 福住 仁嶺選手が抜群のロケットスタートで一気に2番手まで順位をあげます。
逆に予選2番手の#3 KONDO RACING 山下 健太選手や4番手スタートの#36 VANTELIN TEAM TOM’S 中嶋 一貴選手はそれぞれ6番手、10番手までジリジリと順位を落とします。
今シーズンのスーパーフォーミュラではミディアムタイヤとソフトタイヤの性能差、そしてソフトタイヤの決勝中の持ちが良いことから、1周目からタイヤ交換義務を消化するチームがありました。そこでこの第6戦では特別規則として、先頭車両が10周回目から最終周回に入るまでの間に、2種類のタイヤコンパウンドのタイヤ交換義務を行わなければならない、という特別ルールが適用されました。
山下選手や中嶋選手はミディアムタイヤでスタートし、10周目でこのタイヤ交換義務のためにピットイン、ソフトタイヤに交換する作戦だったようです。
ところがその10周手前の8周目、それまで2番手を走行していた福住選手がコースアウト。ここでセーフティカー(SC)が導入されます。
スーパーGTではSC中のピットインはペナルティの対象となりますが、スーパーフォーミュラではSC中のピットインも可能なため、ミディアムタイヤでスタートした各ドライバーはここでルーティンピットを済ませます。
またここで、16番手からソフトタイヤでスタートした#1 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本 尚貴選手もピットイン。まさかここから58周をミディアムタイヤで走りきるのかと思いきや、その翌周に再度ピットイン。ここでまたソフトタイヤに交換してSCの隊列に戻る技ありの戦略を取ります。
SCが解除されるとレースは順位の変動なく周回を重ねていきます。#20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川 亮選手を先頭に、ソフトタイヤスタートでSC中もステイアウトした各車は、ピットインでのタイムロス以上のギャップを作るべく、ソフトタイヤでフルプッシュしていきます。
逆にSCのタイミングをうまく利用できた山下選手や中嶋選手は、後半に向けタイヤを労りつつも、更に上のポジションを狙います。
終始トップを快走していたポールポジションの平川選手は59周目にルーティンピットに入るまで、筆者の手元の時計では山下選手まで30秒弱のギャップを築きましたが、その努力も虚しく最後は12位でチェッカーとなりました。
SCをうまく利用した山下選手は、最終的には中嶋選手に2秒以上の差をつけ、シリーズ参戦3年目にしての初優勝! 2位には今シーズン初表彰台となる中嶋選手、そして3位には今シーズンルーキーの#51 B-Max Racing with motopark ハリソン・ニューウェイ選手が初入賞で初表彰台を獲得しました。これにはあくまでもプライベートで観戦に来ていた空力の鬼才とも呼ばれるエイドリアン・ニューウェイ氏も満面の笑みで喜びを分かち合っていました。
また、気になるドライバーズランキングの行方ですが、第5戦終了時でランキングトップだった#37 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ選手はソフトタイヤでスタート。2ピット作戦の山本選手とは、手元の時計では36秒ほどのギャップを築き、60周目にルーティンピットを済ませて山本選手の前でコースに復帰します。ところがその直後の61周目、#18 carrozzeria Team KCMG 小林 可夢偉選手と接触、スピンを喫してしまい最後は10位ノーポイントとなってしまいます。
かたや山本選手は終盤まで粘り強い走りで10〜12位辺りを走行していましたが、キャシディ選手の接触やファイナルラップでの小林選手のトラブルもあり、最後は7位入賞、再びキャシディ選手を1ポイント上回りポイントリーダーとなりました。
ランキング3位には今大会4位入賞の#64 TCS NAKAJIMA RACING アレックス・パロウ選手が4ポイント差、そして今回優勝した山下選手が8ポイント差でランキング4位に浮上してきました。
いよいよ次戦は最終戦、日本一速い男が決まります。第7戦鈴鹿は1ヶ月後の10月26、27日に開催されます。
(H@ty)
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