9月8日に大分県のオートポリスで開催された「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 6 AUTOPOLIS GT 300km RACE」決勝レース。14時30分に、そのスタートが切られました。
HOPPY 86 MC7日に行われた予選でダントツのトップタイムをマークした25号車 HOPPY 86 MCがポールポジション。続く2番手グリッドには52号車 埼玉トヨペットGB マークX MCと、フロントローはマザーシャーシ勢が独占します。
14時30分、白バイやパトカーが先導するパレードラップからフォーメーションラップに続いてレースがスタート。このスタートはHOPPY 86 MCが素晴らしいダッシュを決めて一番最初に第1コーナーへ飛び込んでいきます。
またこのスタートラップで上手くポジションを決めた4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGが4番手に上がり予選3位だったD’station Vantage GT3が5位までポジションを下げてしまうことになります。
スタートから順位の入れ替わりの激しい展開となったオートポリス戦ですが、序盤早々にGT500マシンのアクシデントにより3周目にセイフティーカー(SC)が導入されトップグループのアドヴァンテージがほぼゼロとなってしまうこととなります。
そのSC導入中に61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTがスローダウン。SC解除となるとすぐさまピットインしますがミッショントラブルによりそのままリタイアとなってしまいました。
SUBARUが脱落したのちのSC解除後は上位4台による激しい攻防が続きます。しかしスタート時に見せた速さを見せていなかったのはHOPPY 86 MC。タイヤ温存を狙っていたのでしょうか、HOPPYは12周目には埼玉トヨペットにトップの座を譲ってしまいその後もじりじりと後退していきます。
トップに立った埼玉トヨペットGB マークX MCは、マザーシャーシとブリヂストンタイヤという巷で最強の組み合わせと噂されるポテンシャルで2位以下に徐々にアドヴァンテージをつけようとしていきますが、18周目に思わぬ事態が訪れます。
突然降り出した雨により第1コーナー周辺はウェットコンディションになってしまいますが、そのほかのコースではドライ路面という難しい状況。そして雨はコース全域で降り出し30周を過ぎたあたりでレインタイヤを選択するチームはピットインを始めます。その後、雨は小降りになってきたのでスリックタイヤに交換するチームも現れます。そんな状況下での34周目、22号車 アールキューズ AMG GT3がクラッシュしてしまい2度目のSCが導入されます。
この段階でウェットタイヤ、スリックタイヤ、まだピットインしていないスリックタイヤを履いたチームが混在する状態となり順位が大幅に変わります。40周目にSCが解除になるや否や9号車 PACIFIC MIRAI AKARI NAC PORSCHEがコースアウト。43周目から3度目のSC導入となってしまいます。
49周目にSC解除となると2度目のSCの前にレインタイヤを選択したチームが上位へと上がってきます。その筆頭は55号車 ARTA NSX GT3。一気にポジションを上げていきトップに躍り出ます。
しかしARTA NSX GT3は先のピットアウトで他のマシンと接触してしまいドライブスルーペナルティとなって順位を落としてしまうことになります。
そしてその後に速さを見せたのが720号車 McLaren 720S。88 号車マネパ ランボルギーニ GT3を58周目に追い抜いてトップに浮上します。
しかし徐々に路面が乾いてきた終盤、なんとラップタイムで6秒以上も速いというものすごい勢いで追いついてきたのが60号車 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3。スリックタイヤで我慢を重ねてきたSYNTIUM LMcorsa RC F GT3が路面の乾きとともに上位へあがってきたのです。
そしてラスト4周でMcLaren 720Sを抜いてトップ浮上、そしてチェッカーフラッグを一番最初に潜り抜けたのです。
ウェットの不利な条件の中ラストのドライに賭けて粘りに粘ったSYNTIUM LMcorsa RC F GT3。チームとしては今季初優勝となります。
また吉本 大樹はSUPER GT参戦100戦目というメモリアルなレースで優勝という二重の喜び。そして宮田 莉朋選手はSUPER GT初優勝となりました。
2位のMcLaren 720Sは参戦初年度で初の表彰台となりました。
今回のオートポリス戦を波乱と言わずになんといえばいいのでしょう。そんな激しい大波乱を目の当たりに出来たという意味ではこのオートポリス戦は歴史に残る1戦ではないでしょうか。
次戦は9月21、22日、魔物が棲むといわれるスポーツランドSUGOでの300kmレースとなります。毎回とんでもないドラマが起こるSUGO戦も目が離せません。
(写真:吉見幸夫、松永和浩 文:松永和浩)