●Gクラスにリーズナブルなモデル「G 550」が登場。3Lディーゼルターボを搭載
新型メルセデス・ベンツ Gクラスは、型式は変わっていないためビッグマイナーチェンジともいえますが、内・外装や装備、パワートレーンまで新型といえる内容になっています。2018年6月に発表された新型「G 550」は、4.0L V8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載し、最高出力422PS/310kW・最大トルク610Nmというアウトプット。
さらに上位モデルの「メルセデスAMG G 63」は、最高出力585PS/430kW・最大トルク850Nm(先代比+90Nm)を誇るAMG製4.0L V8直噴ツインターボエンジンを積み、クロカン4WDとは思えないほどの強烈な加速フィールを堪能できます。
一方で価格は「G 550」が15,620,000円、「メルセデスAMG G 63」は20,350,000円という価格で、新車での購入は非現実的という層も多いはず。
2019年4月4日に予約注文を開始した「G 350 d」は、3.0Lの直列6気筒直噴ディーゼルターボを搭載し、286PS/210kW・600Nmという分厚い最大トルクが特徴で、発生範囲は1,200〜3,200rpmまで拡大。可変エンジンマウントの採用により、低振動の高い静粛性を実現しながら、スムーズな加速を実現したことでロングドライブもより快適になったそう。気になる価格は1170万円で、従来よりも幾分敷居が低くなっています。
搭載される「OM656」エンジンは、シリンダーピッチを90mm、シリンダー間の厚みを8mmとして、全長が短くなったことで多様なモデルに搭載できるのが特徴。さらに、シリンダーブロックは軽量化のためにアルミニウム製になっている一方で、ピストンはスチール製。熱膨張率の異なる素材を採用することで40%以上摩擦を低減しています。
さらに、2ステージターボを積み、小さいタービンにはさらに可変タービンジオメトリーを採用し、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルな加速が可能。 また、ピエゾインジェクターを使ったコモンレール式直噴システムは、、最大圧力2,500barまで高められています。
冷却された高圧EGRと低圧EGRを組み合わせた「マルチウェイ排出ガス再循環(EGR)」を搭載するなど、コストの掛かったメカニズムにより、燃焼の最適化を図り、後処理を行う前の段階でNOxの低減が可能になっています。
さらに、排気側にのみ可変バルブリフトシステムの「CAMTRONIC」が採用され、冷間時の吸気工程中に排気の一部を燃焼室に戻すことが可能になったのもトピックス。これにより、燃焼室内の温度を上昇させることで、排出ガス浄化システムを効率的な温度まで早期に暖めることが可能となり、排ガスの浄化に寄与するそう。
ターボから出た排ガスは、酸化触媒へ送られた後、AdBlueが添加されます。下流のsDPF(DPF with SCR Coating:選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)で粒子状物質の捕集と窒素酸化物の低減を行った後、最終的にSCR触媒でさらに窒素酸化物の処理が行われます。
このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、9速ATの「9G-TRONIC」で、トルクコンバーターハウジングをアルミニウム製、ギヤハウジングにはマグネシウム製を採用。前進ギヤが2速分増えたにもかかわらず、従来の7G-TRONICよりも1kg軽量化。さらに、増えたギヤにより同じ速度でも高いギヤを使ってエンジン回転数を低くすることが可能となり、消費燃料の低減に貢献するとしています。
(塚田勝弘)