【新型デリカD:5試乗】洗練されたハンドリングと乗り心地は、ライバルに追いつき、追い越したか?

●着実な進化を遂げた新型デリカD:5。より「頼れる相棒」に

とかくそのフロントマスクに注目が集まりがちな三菱自動車の新型デリカD:5。内・外装の大幅なリフレッシュだけでなく、2.2Lディーゼルエンジンと新開発の8速ATが組み合わされた最新のパワートレーンが搭載され、三菱自動車では、走りの面でも大きく進化したとしています。

走りのフィーリングを大きく左右するステアリング機構は、従来と同じラック&ピニオンですが、新たにデュアルピニオン電動パワーステアリングに進化。これにより、初期操舵からのしっかり感、モーターによる違和感を少なくし、自然な操舵フィールを得たとしています。

また、サスペンションもコイルスプリングの配置と傾斜角の変更、リヤサスペンションはスプリング特性の見直し、ダンパーのサイズアップも図られています。

実際に街中、山岳路、高速道路で走らせると、まずパワステのフィーリングが改良前のトラックフィールと大きく異なり、より乗用車らしく洗練された感覚になっているのが印象的。改良前の乗り味は、ボディ全体が上下、左右にヒョコヒョコと動くシーンもありましたが、とくに高速道路では、よりフラットライドになった感があります。

また、改良前のデリカD:5の良くも悪くもトラックフィールともいえる乗り味は、多少ロールが大きくても慣れてくると意外と運転がしやすいと思えるものでした。環状骨格によるしっかり感のあるボディ剛性感も美点でした。

ビッグマイナーチェンジ後もこうした美点はそのままに、ロール感が少し減り、ハンドリングも正確になり、ライントレース性も高くなっています。これにより、山岳路や長距離走行などで疲れを誘わないはずで、遮音性向上もあって乗員もより快適なドライブが楽しめるはず。

静粛性向上に関しては、フロントスクリーンの遮音対策、フロアカーペットの遮音材追加などがメインで、ディーラーオプションのフロアマットにも吸音機能を追加したことにより、さらなる静粛性の向上が図られています。

音・振動面の大幅なアップデートは間違いなく、新型デリカD:5は、家族や友人などとロングドライブを楽しむ際にも、サードシートの広さも相まって頼りになるはず。

こうした乗り心地、遮音性、快適性などの面は、確かに大幅な進化は遂げているものの、やはりマイナーチェンジの範囲内というのが率直な印象。さらに劇的な進化にするにはプラットフォームの一新が必要かもしれません。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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