前回紹介した1978年日本に来たアウディ100KKMがどうなったかアウディ本社に問い合わせました。VW傘下でNSUを吸収したアウディですが、グループ中では好調でした。しかし、VW本体の空冷リアエンジン脱却、NSUの縮小なる苦難の時期の話、返事は期待しなかったのですが、ダメモトと思いました。
ところがアウディ・トラディションのフリーゼ氏から即答が届きました。
日本を含め世界を回った100 KKMは、処分されましたが、次の200 KKM871が2台現存されています。1台は、5月から11月まで本社ミュージアムで開催されたヴァンケルRE特別展に展示されたとのこと。
アウディ200 KKM 871の仕様は、興味があります。吸入ポートは、ペリとサイドを併せ持つ「コンビポート」方式で、低中域トルクと高速パワーを両立させたようです。最高出力は170ps/6000rpmです。「単室容積750cc x2ローターは、マツダ式にいうと「15」になります。明らかに、アウディ-NSUは、Ro80以後の新エンジンを開発していたのです。
マツダも10A—13Bファミリーのトロコイド室幅を90mmに広げた「15A」を試作していました(広島の発掘現場に居合わせました)。気化器仕様で135ps/5750pmを発生しました。石油危機で中止されます。
アウディのRE展には200 KKM 871実験車、NSUスパイダー、Ro80、そしてマツダ・110S (コスモスポーツ)が展示されました。サプライズ異色は初半ゲスト展示されたジウジアーロ「ナミール」でした。ジュネーブショーでデビューしたスポーツカー・コンセプトです。ITALデザインによると、最高速度300km/h、0-100km/h 3.5秒、0-200km/hを10.4秒で加速します。「814cc REハイブリッドは、リッター当たり39km走行、CO2排出60g/km」と記載されていますが、エンジンメーカー、技術詳細は分かりません。
アウディRE展示のもう1台の興味あるクルマが「マリブ・ヴィラージュ」レーシングカーでした。「マリブ・レーシング」とは、短いサーキットの量産エンジンを使った低コスト・レースシリーズです。カリフォルニアのジム・ラッセル・レーシングスクールがマツダREパワー、日本スペシャリスト設計のクルマを使ったのがフォーミュラの始まりでした。
アメリカでのRX-7・10周年記念メデイア・イベントのエンターテイメントがジム・ラッセルのフォーミュラ・マツダ体験でした。黒田尭マツダ専務、小早川隆治主査(当時)、そして私たちメディア雀が嬉々として走ったものです。
小早川主査は、フォーミュラ・マツダを1台購入、広島でFD開発メンバーの体験とトレーニングに使ったのです。
(山口京一)