燃費性能と運動性能を両立すべく変速機の多段化は、そのシステムにかかわらず世界のトレンドとなっています。そして、ついにメルセデス・ベンツが縦置きの9速AT「9G-TRONIC」を完成、2013年9月からEクラスに搭載して市販することが明らかとなりました。
カットモデルのイラストからもわかるように、9G-TRONICはトルクコンバーターを用いたタイプで、変速部分は4つのプラネタリーギアと6つのシフト要素によって構成されています。プラネタリーギアが4つというのは9速ATとして考えると最小限、ミッションサイズや重量で9速化のネガティブさを減らしているといえます。
さらに軽量化への工夫も加えられています。トルクコンバーターカバーにアルミニウムを、トランスミッションハウジングにマグネシウムを使用する上、オイルパンはプラスチック製としています。
さて、9G-TRONICが搭載されるのは、V6 ディーゼルエンジン のE350ブルーテックです。185kW (252hp)という高出力ながら、欧州モードでの燃費性能はセダンで5.3L/100km(約18.8km/L)mワゴンで5.5L/100km(約18.1km/L)と優れた数値になっています。高速巡航(120 km/h)でのエンジン回転数は1350rpmといいますから、かなりのハイギードぶりが想像できます。また、変速比幅は9.15とアナウンスされています。
なお、新開発された9G-TRONICの入力トルクは1000Nmと大きく、四輪駆動やハイブリッドなどへの展開も考慮されているということです。
この9G-TRONICを搭載するE 350ブルーテックの本国価格(税込)は、セダンが54,710.25ユーロ、ワゴンが57,923.25ユーロと発表されています。
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(山本晋也)