日産伝統のV6エンジン「VQ35」が9年連続で米国“10ベストエンジン”賞の栄誉に輝く 【今日は何の日?12月10日】

■スカイラインなど名車に搭載されたVQエンジンが米国“10ベストエンジン”に

1994年にデビューした22代目「セフィーロに搭載されたVQエンジン
1994年にデビューした22代目「セフィーロに搭載されたVQエンジン

2002年12月10日(現地時間)、日産自動車のVQ35エンジン(3.5L V型6気筒)が米国ワーズ社の“10ベストエンジン”賞に、この賞の史上初めてとなる「9年連続」で選出されました。

同VQエンジンは、米国で日産350Z(日本名フェアレディZ Z33)やインフィニティG35(日本名スカイライン)、パスファインダーなどに搭載されています。


●国産初のV6エンジンは、日産VGエンジン

国産乗用車で初めてV6エンジンを搭載したのは、1983年にデビューした日産「セドリック(6代目)/グロリア(7代目)」です。それまでの直列6気筒からV型6気筒に変わり、「VG20」と「VG30」、「VG33」の3種が設定されました。

1983年のデビューしたVG30Eエンジン搭載の6代目セドリック
1983年のデビューしたVG30Eエンジン搭載の6代目セドリック

その後、ターボを装着した「VG30ET」、DOHC化した「VG30DE」、セラミックターボの「VG30DET」、インタークーラー付ツインターボ「VG30DETT」と高出力化が図られ、「セドリック/グロリア」のような高級車だけでなく、日産を代表する高性能モデル「フェアレディZ」や「シーマ」、「レパード」などにも搭載されました。

●VGを進化させたVQエンジン、さらに高性能VQHRエンジンも登場

日産の主力となった高性能VGエンジンに代わる新世代V6エンジンとして登場したのが、VQエンジンです。

1994年にデビューした2代目「セフィーロに搭載されたVQ25DEエンジン
1994年にデビューした2代目「セフィーロに搭載されたVQ25DEエンジン

VQエンジンは、“軽く滑らかに吹き上がる”というコンセプトを引き継ぎながら、エンジンブロックなど主要部品を一から見直し、徹底的な部品の軽量化や基本構造の見直しによって、伸びのある加速や優れたレスポンスが特徴でした。

最初にVQエンジンを搭載したのは、1994年にデビューした2代目「セフィーロ(米国では「エキシマ」)」で、「VQ20DE」、「VQ25DE」、「VQ30DE」が設定されました。

その後VQエンジンは、連続可変式VTC(可変動弁機構)を装備するなど常に時代をリードするV6エンジン「VQ30DD」や「VQ35DE」へと進化し、VG同様、日産のスカイライン(V35)やフェアレディZ(Z33)などに搭載されました。

2002年にデビューしたVQ35DE搭載の5代目フェアレディZ
2002年にデビューしたVQ35DE搭載の5代目フェアレディZ

また、VQエンジンのDNAを継承した上で、HRを付加した「VQ25HR」や「VQ35HR」、「VQ37HR」が新しく開発。VQHRエンジンは、高回転・高レスポンスだけでなく、大幅な出力向上や振動騒音の低減、燃費低減を実現したのです。

VQHRエンジンは、2006年以降の「スカイライン(V36)」や「フーガ(Y51)」、「フェアレディZ(Z34)」など高級車に採用されています。

●結局、14年連続“10ベストエンジン”の栄誉に輝く

VQエンジンの米国進出は、上記の通り1994年の「エキシマ」から始まりましたが、その後「日産350Z(日本名フェアレディZ)」、「パスファインダー」、「インフィニティG35(日本名スカイライン)」、「インフィニティI30(日本名セフィーロ)」などが販売され、好評を得ました。

2022年にデビューした3.0LツインターボVR30DDTT搭載の7代目フェアレディZ
2022年にデビューした3.0LツインターボVR30DDTT搭載の7代目フェアレディZ
5代目フェアレディZに搭載されたVQ35DEエンジンは史上初の9年連続受賞、以降VQエンジンは14年連続まで達する
5代目フェアレディZに搭載されたVQ35DEエンジンは史上初の9年連続受賞、以降VQエンジンは14年連続受賞にまで達する

その結果、米国ワーズ社が毎年選出する“10ベストエンジン”に、1995年に「VQ30DE」が選ばれ、以降2002年のこの日「VQ35DE」が選出され、これで史上初めて9年連続選出されるという栄誉を獲得。その後も、米国市場での高い評価は続き、結局2008年の「VQ35HR」まで14連連続で受賞するという快挙を成し遂げたのです。

ちなみに、同賞は「オートワールド」誌および「エンジン・アンド・ビークルテクノロジー・アップデート」誌の編集者6人が、車両価格5万2500ドル(約770万円)未満の30種類のエンジンを評価し、その中からベスト10を選出するものです。


国産初のV6エンジンを開発した、日産のV6エンジンへのこだわりは強いようです。常に主力モデルで採用しながら進化し続け、フラッグシップのGT-R「VR38DETT」や新型フェアレディZ「VR30DDTT」にも高性能V6エンジンを搭載していることからもよく分かりますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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