■マイナーチェンジでパワートレーンや装備を強化
Mクラスの系譜を受け継ぐメルセデス・ベンツGLE(3列7人乗り)、GLEクーペ(2列5人乗り)はEクラス相当のSUVです。とはいえ、現行GLEは全長4940×全幅2020×全高1780mmと、全長4930×全幅1850×全高1455mmのEクラスと比べると、全高が高いのはもちろん全幅もかなりワイドになっています。
2023年9月28日、GLEとGLEクーペがマイナーチェンジを受けました。ISG(Integrated Starter Generator)が搭載された48Vマイルドハイブリッドである「GLE 450 d 4MATIC Sports」と「GLE 450 d 4MATIC Coupe」が追加され、全モデルが電動化されています。
メルセデス・ベンツは、BSG(Belt-Driven Starter Generator)とISGを車種などにより使い分けています。GLEに搭載されている「ISG」は、エンジンとトランスミッションの間にモーターが配置され、オルタネーターとスターター機能も担っています。
モーターと48Vシステムにより、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電が行われ、約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電。モーターによるアシストはもちろん、エンジン始動時の音・振動を抑え、スムーズでタイムラグの少ないシフトチェンジにも寄与します。
そのほか、スイッチ操作でエンジンやトランスミッションの特性を切り換えられる「DYNAMIC SELECT」に「Offroad」モードも用意され、トランスミッションがオフロードモードに切り替わり、雪道や悪路での走破性を向上。「DSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)」も備わり、急な下り坂でも一定速でクリアでき、操舵に集中できます。
「Offroad」モードでは、360度カメラシステムを活用した「トランスペアレントボンネット」機能も使えます。センターディスプレイに、車両のフロント部分下側の路面映像(フロントタイヤとその操舵方向を含む)が仮想的に映し出され、悪路走行時などに大きな石や深い窪みなどの障害を車内で確認できます。
さらに、新開発の「オフロードスクリーン」も用意。メーターパネルとセンターディスプレイに各種情報や操作スイッチ類、多様な機能が分かりやすく配置される機能です。車両の傾き、路面の勾配、標高、経度緯度、コンパスのほか、車速、エンジン回転数が表示されます。センターディスプレイには、周辺地形における車両の姿勢やフロントホイールの操舵角などが映し出されます。
そのほか、「AR(Augmented Reality/拡張現実)」ナビゲーションの標準化もトピックス。従来のナビ表示に加えて、目の前の景色が映像で画面に映し出され、大きな矢印などで進むべき道を教えてくれます。
インテリアには、操作性が高められた最新世代のステアリングホイールを用意。アダプティブクルーズコントロールである「ディスタンスアシスト・ディストロニック」使用時には、ステアリングリムを軽く握っていればセンシングされる、静電容量式センサーの採用により同機能の使い勝手が向上しています。
エクステリアデザインは、グレードにより変更内容が異なります。「GLE 300 d」「GLE 450 d」「GLE 53」「GLE 450 d クーペ」「GLE 53 クーペ」の各モデルには、シャープでメルセデスSUVの統一感ある新デザインのヘッドライトが採用されています。
また、「GLE 300 d」「GLE 450 d」「GLE 450 dクーペ」には、クロームの小さなスリーポインテッドスターが無数に散りばめられたスターパターンのフロントグリルが用意されるなど、細部まで洗練された意匠が与えられています。
メルセデス・ベンツの内燃機関(ICE)のSUVには、GLSという最上級仕様もありますが、ストレスなく扱えるボディサイズの上限ともいえそうなGLE、GLEクーペの人気は高く、さらにマイナーチェンジで注目度が高まりそうです。
●GLE価格
「GLE 300 d 4MATIC(導入仕様モデル、ISG搭載モデル)」:1376万円
「GLE 450 d 4MATIC Sports(ISG搭載モデル)」:1466万円
「メルセデス AMG GLE 53 4MATIC+(導入仕様モデル、ISG搭載モデル)」:1728万円
●GLEクーペ価格
「GLE 450 d 4MATIC Sports Coupe(ISG搭載モデル)」:1480万円
「メルセデス AMG GLE 53 4MATIC+ Coupe(導入仕様モデル、ISG搭載モデル)」:1805万円
(塚田 勝弘)