目次
■人気のハイトワゴン市場に参入したステラ
2006(平成18)年6月14日、スバル(当時は富士重工業)からハイトワゴンの軽自動車「ステラ」が発売されました。
スバルは、2008年に軽自動車の自社開発から撤退を発表したため、このステラがスバルにとって最後の自社開発の軽になったのです。
●スバル360で軽自動車のパイオニアとなり、その後も個性的な軽を投入
スバルは、1958年に歴史の1ページを飾る「スバル360」を生み出した軽自動車のパイオニアです。スバル360は、てんとう虫の愛称で親しまれ、当時まだクルマが一般家庭に普及してない時期に、小型高性能で低価格な軽乗用車として、1970年までの12年間で約39万台を販売する爆発的な人気を獲得しました。
その後も1961年に登場したRR駆動で“農道のポルシェ”と呼ばれた商用車「サンバー」、1972年のRRの「スバル・レックス」、1981年のFFとなった2代目「レックス」を投入。
1990年代にはスーパーチャージャー搭載の“スーパー軽”と呼ばれた「ヴィヴィオ」、クラシカルなデザインの「ヴィヴィオビストロ」と個性豊かな軽自動車のモデルで人気を博します。
1998年にヴィヴィオの後継として、当時ブームに火のついたハイトワゴンの「プレオ」を投入しましたが、ブームには上手く乗れませんでした。
●堅調な販売を続けたステラは、軽自社開発の撤退を受けて生産終了
プレオの後継車として登場したステラは、プレオの反省を生かして“楽しい関係空間”をテーマにしたハイトワゴンを目指し、乗り心地や扱いやすさ、余裕のある居住性に重点をおいて、特に女性をターゲットにして開発されたのです。
親しみやすく愛らしいフォルムに、他のハイトワゴンに負けない室内空間を確保。パワートレインは、660cc直4 DOHCと、それにパワフルなインタークーラー付スーパーチャージャーを組み合わせた2機種エンジンに、電子制御i-CVTの組み合わせ。駆動方式は、FFとフルタイム4WDが選べました。
スバルが、スズキ「ワゴンR」とダイハツ「ムーヴ」を追走するために投入されたステラは99万~120万円で販売され、順調なスタートを切りました。その後も堅調に販売を続けましたが、2008年にスバルは軽自動車の自社開発から撤退を発表したため、2011年に販売を終了しました。
●2代目ステラからダイハツのOEM車に
スバルの軽自社開発撤退を受け、ステラは2011年の2代目以降、ダイハツ・ムーヴのOEM車となりました。
2000年を迎える頃には、電動化や自動運転などの将来技術開発のために膨大な開発リソースが必要となり、自動車メーカーとは言え開発費の振り分け規模があり余るわけではないスバルにとっては、大きな負担となったのです。
そのため、スバルはトヨタとダイハツの業務提携の強化によって、軽自動車はダイハツからのOEMで軽ブランドを維持し、トヨタのサポートを受けながら登録車の開発に集中するという戦略を選択したのです。
「軽」撤退後にスバルが特に注力したのは、「アイサイト」に代表される運転支援技術であり、今や水平対向エンジンと4WDに続く、スバルのコア技術となっています。
ステラも技術的には優れた軽自動車でしたが、そのまま自社開発を続けることはスバルにとっては得策ではないと判断されたのでしょう。運営資産が膨大なメーカーではないとなれば、選択と集中が重要であり、収益の割合が軽自動車事業は小さかったのであれば、撤退するのは必然だったのかもしれません。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)