Mr. ソラン 
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■軽のホットモデル戦の火付け役となったフェローSS
1968（昭和43）年6月10日、ダイハツ「フェロー」のスポーツモデル「フェローSS」がデビューしました。
ベースのフェローは、ダイハツが1966年に初めて投入した軽乗用車。フェローSSは、1967年にデビューして爆発的なヒットとなったホンダ「N360」に対抗するために、ダイハツがフェローをさらに高性能に仕立てて投入したモデルでした。
●ダイハツ初の軽自動車フェロー誕生
1960年代の軽乗用車市場は、1957年発売の「スバル360」で火が付き、その後マツダ「キャロル」、三菱「ミニカ」、スズキ「フロンテ360」、ホンダ「N360」と立て続けに新型車が投入され、一気に活況を呈しました。
そのような中、ミゼットやハイゼットの成功によって軽商用車で確固たる地位を築いていたダイハツが、1966年に満を持して市場に投入した軽乗用車第1弾が、「フェロー」だったのです。
フェローは、リアにトランクを持つ箱型の3BOXスタイルに日本初の角型ヘッドランプを採用。搭載エンジンは、実績のあるハイゼット用エンジンをリファインして水冷化した360cc 2気筒2ストロークエンジンで、駆動方式はFRでした。
フェローは4輪独立懸架の乗り心地の良さと運転のしやすさ、広い室内空間などが評価されて、順調に販売を伸ばしましたが、1967年に他社軽自動車の出力性能を圧倒的に上回るホンダN360が登場すると、フェローの存在も脅かされ販売も徐々に失速してしまいました。
●ホンダN360に対抗して登場したフェローSS
当時、爆発的な人気を集めたN360は、最高出力31PSの高性能を誇りました。ダイハツは、対抗するため翌1968年にフェローのスポーツモデル・フェローSSを投入します。
フェローをベースに、360cc 2気筒2ストロークエンジンの圧縮比を9.0から10.6に上げ、2キャブレターを採用、さらにグリルの改良などでエンジンの冷却性能を改良して最高出力を21PSから32PSまで向上。性能向上の効果は目覚ましく、0→400m加速を21.2秒で駆け抜け、最高速は115km/hに達しました。
N360を凌ぐフェローSSの走りは、当時は珍しかった軽の本格的なFRスポーツとして多くのユーザーを魅了しました。
それでもライバルのN360は、高性能と低価格を両立させていたこともあり、販売数の上では敵いませんでした。
バイクの高速エンジンがベースで回せば回すほど走り、しかもフェローSSの36.5万円より約5万円も安い31.3万円のホンダN360、これに勝つのは難しかったのです。
●2代目にも走りに特化したフェローMAX SSを設定
1970年、フェローは初めてのモデルチェンジとなり、サブネームが付いた「フェローMAX」がデビューしました。
ロングノーズにカムテールを組み合わせたダイナミックな2BOXスタイルに変貌し、また車室内空間を確保するためにFRからFFに変更。初代と同じエンジンですが、圧縮比を10に高めて、最高出力は33PSまでパワーアップ、価格は31.8万円～で販売されました。
フェローMAXにも、高性能競争に対応するため、同年に軽最強40PSを誇る高性能モデル「フェローMAX SS」を追加。さらに翌年1971年には、軽としては初のハードトップモデルを投入します。
セダンとハードトップを用意したフェローMAXは、それぞれ1万台、計2万台を超える販売を記録するヒットモデルとなり、フェローMAX SSも若者から強い支持を受けました。
フェローSSの成功によって、各社が続々とスポーツモデルを投入するようになり、ススキ「フロンテSS」、三菱「ミニカGSS」、スバル「ヤングSS」が登場。フェローSSは、限られた排気量の軽自動車で極限までパワーを追求するホットモデル・バトル時代の火付け役となったのです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
（Mr.ソラン）
