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■ロータリー車を基軸に、ガソリン車も設定
1970(昭和45)年のこの日、マツダ(当時は東洋工業)からロータリーエンジン搭載車「カペラ」が発売されました。
世界初のロータリーエンジンの量産化をこの年の3年前に果たしたマツダが進めていた、ロータリーフルラインナップ戦略の第4弾ですが、ガソリンエンジン搭載車も設定されました。
●世界初の量産ロータリー搭載車コスモスポーツの誕生
振り返れば1967年、東洋工業から世界初のロータリーエンジン量産車「コスモスポーツ」がデビューしました。ロータリーエンジンは、おむすび型のローターが回転して動力を発生する画期的な機構のエンジンであり、量産化に成功したのはマツダだけでした。
コスモスポーツは、「走るというより、飛ぶ感じ」のキャッチコピーを体現するような、流線形のシャープなフォルムのスポーツカー。最高出力110PSを発揮するロータリーエンジンを搭載し、最高速度185km/h、ゼロヨン16.3秒という圧巻の走りを誇り、パワフルなロータリーエンジンをアピールしました。
その後、マツダはロータリー搭載車のラインナップ展開を図り、第2弾「ファミリア」、第3弾「ルーチェ」を展開。これに続いたのが、第4弾のカペラだったのです。
●圧倒的な動力性能で特に米国で人気を博したカペラ
“風のカペラ”というキャッチコピーのカペラは、ジェット機を意識したウェービングラインを取り入れながら、ロータリーの力強さをアピールするため、角型ヘッドライトや骨太のリアクォーターピラーを採用しました。
パワートレインは、最高出力120PSを発揮する12Aロータリーエンジンおよびガソリンエンジンと4速MTの組み合わせ。
12Aはファミリア用の10A型ロータリーの排気量をローターハウジングの厚さを10mm拡げることで拡大し、単室容積を573ccとし、総排気量は2ローターなので1146ccとなります。一方のガソリンエンジンも、1.6L直4 SOHCで最高出力100PSを発揮する高性能エンジンでした。
セダンの車両価格は、ガソリン車が56.0万円、ロータリー車が69.8万円と、ロータリー車が13.8万円ほど高く設定されました。
最高速度は190km/h(ガソリン車は、165km/h)で同クラスの中で圧倒的な動力性能を誇り、日本でも人気を博しましたが、特に米国では高速のスムーズな加速性能が評価されて大ヒット。カペラは、マツダが世界に向けて本格的に輸出を始めたクルマだったのです。
●排ガス規制とオイルショックで大きな打撃を受けたロータリーエンジン
カペラに続き1971年には「サバンナ」を発売してロータリーフルラインナップ戦略は大成功と思われましたが、突然逆風が吹き荒れました。
それは、1973年に起こったオイルショックと厳しい排ガス規制(マスキー法)でした。特に燃費と排ガスが課題であったロータリー車は、一般のガソリン車以上の大打撃を受けて、販売が一気に低迷したのです。
その後も、マツダはロータリーの燃費と排ガスを改良して「コスモAP」や「RX-7」などのロータリー車を送り出しましたが、2000年を迎える頃には対応が困難になり、2012年「RX-8」の生産終了をもって、ロータリー車は市場から完全にフェードアウトしました。
マツダが対米輸出を開始したのは1970年で、その先陣を切ったのがカペラです。優れた高速性能から「インポートカー・オブ・ザイヤー」を受賞するなど高い評価を受けていましたが、オイルショックと排ガス規制が課せられると、排ガスと燃費がレシプロエンジンより劣っていたカペラの人気は、一気に減速したそうです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)