新型トヨタ「クラウンスポーツ」の外観デザインが「リヤから生まれた」その秘密は?

■トヨタ新型「クラウンスポーツ」がお披露目!

●デザイン部だけでなく、ボディを作るプレスの方たちとひとつになって決定されたデザイン

2023年4月末に行われたトヨタ・クラウンスポーツの取材で、開発最終段階にあるクラウンスポーツがお披露目されました。

初お披露目されたトヨタ新型クラウンスポーツ
初お披露目されたトヨタ新型クラウンスポーツ

新型クラウンについてはまず、クラウンクロスオーバーが2022年9月に発表されており、そろそろ街中でも見かけるようになってきました。

その次が、クラウンスポーツというわけです。

パワートレーンは、HEV(エンジンやモーターについては未発表)とPHEV(こちらも未発表)で、全車E-Four(リヤにモーターを搭載する4WD)になります。

発売はHEVが2023年秋頃発売予定、PHEVは2023年冬頃発売予定となっています。

ちなみに、クラウンセダンはHEVが2023年秋頃発売予定、FCEVは2023年秋頃発売予定。

クラウンエステートはHEVが2024年発売予定、PHEVが2024年発売予定となっています。

もっともコンパクトなクラウンが、クラウンスポーツ。ボディサイズを比較してみました。

・クラウンクロスオーバー:全長×全幅×全高=4930×1840×1540mm/ホイールベース=2850mm
・クラウンスポーツ:全長×全幅×全高=4710×1880×1560mm/ホイールベース=2770mm
・クラウンセダン:全長×全幅×全高:5030×1890×1470mm/ホイールベース=3000mm
・クラウンエステート:全長×全幅×全高:4930×1880×1620mm/ホイールベース=2850mm

以上となっていますから、クラウンスポーツがもっともコンパクトなクラウンということになります。

新型クラウンスポーツのコクピット
新型クラウンスポーツのコクピット

コンパクトだから存在感が薄いかといえば、そんなことはまったくなく、開発陣が「もっとも創造的でもっとも感性に訴えるのがクラウンスポーツ」だというとおり、ボリューム感たっぷりで、ひと目でカッコイイ外観を手に入れています。

●デザインのポイントは、全員でひとつの方向に向いたこと!

エクステリアデザインを担当した小出幸弘MSデザイン部グループ長に、クラウンスポーツのデザインのポイントを訊いてみました。

リヤ周りからデザインされていったという
リヤ周りからデザインされていったという

「外形開発をするときは、まず全体を考えたり、フロントから絵を描いたりするのですが、クラウン(スポーツ)の場合はリヤから生まれています。『リヤのしっかりしたかたまりがいいね』というところから始まり、そこを起点に、フロントはどうしたらいい、サイドはどうしたらいいという流れを生み出していきました」。

フェンダー周りの量感・塊感
フェンダー周りの量感・塊感

確かに、リヤフェンダー周りのこれまでにない量感・塊感。

クラウンクロスオーバーから左右20mmずつ(40mm)分、全幅が拡がっているからこそのデザインですが、秘密は「世界最高レベルのプレス技術」があったからこそ実現したデザインだといいます。

このデザインを実現するために、小出さんたちデザイン部は「クロスオーバーもそうなのですが、かなり早い段階でプレスの人たちにデザインに来ていただき、クレイモデルをしっかり見てもらいました。すると、『こういうことがしたいんだ。カッコイイね』と、みんなで意識を共有し、同じ方向を向くことができる。過去には、デザインの意図がプレス側にうまく伝わらないことがありました。今回は難しいデザインを実現するために、全員がひとつの方向に向くことにこだわりました」。

機能しそうでしていないトヨタマーク(笑)
機能しそうでしていないトヨタマーク(笑)

もうひとつの見所は、リヤエンドにある「トヨタマーク」です。

トヨタマークが、とても小さいのですがどうしてですか?と訊くと、「多くの方から訊かれてます[笑]。リヤの4眼はアスリート時代からのアイデンティティです。それを現代風にアレンジした際、左右をつなぐ部分は薄くしたかった。その薄い中になんとか収めたかったのです」とのこと。

実物を見ると、4眼のリヤコンビネーションランプを結ぶ黒い帯の中央に、腕時計の文字盤程度のバッジが鎮座しています。まるで、リヤハッチのオープナーボタンなのかと思うほどの小ささです。ちなみに、純粋にバッヂであって、他の機能はありません!

ダッシュボード周りのカラーも左右非対称
ダッシュボード周りのカラーも左右非対称

外観だけでなく、内装もなかなかとがっています。アシンメトリー(左右非対称)で、左のドアと右のドアの内張りの色が違うのです。

スペックの詳細は明らかにされませんでしたが、「開発は最終段階で、現在、仕上がりとしては90~95%まで来ています」とのこと。

昨2022年のクラウンクロスオーバーも話題になりましたが、クラウンスポーツが、実は本命かもしれません。

(文:鈴木 慎一/画像:山上 博也)