■3月のハンコックタイヤ工場火災でレース用タイヤ供給不能に
スーパー耐久シリーズに、2021年から2023年までのオフィシャルタイヤサプライヤーとして全チームにタイヤを供給していた韓国のハンコックタイヤ。
3月14日付けの朝鮮日報日本語版サイトですでに報道がされていますが、3月12日にソウルと釜山のちょうど中間に位置する、大田市大徳区のハンコックタイヤの工場で大規模な火災があり、タイヤ21万本が焼失しました。
また、工場の生産ラインも焼失し、別の消息筋からは生産再開までには18ヵ月ほどを要する、との情報もあります。
市販車用のタイヤは、この大田市大徳区の工場の他に、韓国国内や中国、ハンガリーなどの拠点で生産が行われるので供給に問題は無いとされていますが、モータースポーツ向けのタイヤは、この大田市大徳区の工場でのみの生産となっていました。
特に、ハンコックタイヤをオフィシャルタイヤサプライヤーとしているレースシリーズでは、この影響は甚大と思われます。
2023シリーズから、ミシュランに代わってハンコックタイヤがオフィシャルタイヤサプライヤーとなったフォーミュラEでは、まだ対応が発表されてはいませんが、我が国のスーパー耐久シリーズでは、フォーミュラEとは比較にならないほど参加台数も多く、また、全部で9クラスというクラス分けのため、タイヤのサイズも様々。その影響は顕著なものでした。
開幕戦鈴鹿(2023年3月19日決勝)では滞りなくタイヤ供給が出来たハンコックタイヤですが、レース時間が約5倍弱となる富士SUPER TEC24時間レースでは、タイヤ供給に問題があり、水面下では開催そのものが危ぶまれていたということです。
●2024年からのブリヂストンが今年のレースでも供給
この火災による影響で、開催が危ぶまれた第2戦富士SUPER TEC24時間レース以降のスーパー耐久シリーズですが、2024年からスーパー耐久シリーズオフィシャルタイヤサプライヤーとなるブリヂストンが、今年の残りのレースでタイヤ供給を開始するとの発表が、スーパー耐久シリーズを統括するスーパー耐久機構(STO)より発表されました。
しかし、準備期間が足りないこともあり、一部変則的な運用となっています。すべてがブリヂストンのタイヤを使用するのは第3戦SUGOからとなり、第2戦富士SUPER TEC24時間レースでは、ST-XクラスからST-3クラスまでの7クラスでドライタイヤをブリヂストン、ウェットタイヤをハンコックが供給します。
ST-4とST-5クラスでは、スリックタイヤの供給が開始されるまで、当面はブリヂストンのスポーツラジアルタイヤ「POTENZA」が供給されることとなります。
4月28日(金)には、シーズン当初より富士スピードウェイで公式テストが開催される予定でしたが、このタイヤ変更によって、この日のテスト走行がかなり重要な意味を持つこととなりました。
特にST-4、ST-5クラスでは、スリックタイヤからスポーツラジアルへのタイヤ変更により、サスペンションや駆動系のセッティングを大幅の変える必要もありそうです。
また、ハンコックタイヤとブリヂストンでレーシングタイヤのグリップレベルの差もあるでしょう。これらをチームがどう吸収して戦っていくかということも注目です。
タイヤブランド混在でどのように戦われるかが全く予想できない第2戦富士SUPER TECは、2023年5月26日(金)~28日(日)に富士スピードウェイで開催です。
(写真・文:松永 和浩)
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「ブリヂストン」が2024年からスーパー耐久のオフィシャルタイヤサプライヤーになることの意義とは?【スーパー耐久2023】
https://clicccar.com/2023/04/14/1276043/
【関連リンク】
スーパー耐久、ハンコックタイヤ工場大規模火災を受け、第2戦「富士24時間大会」からブリヂストンがタイヤを供給
https://supertaikyu.com/news/20230424a.html
朝鮮日報日本語版 韓国ハンコックタイヤ工場で大規模火災、タイヤ21万本焼失…工場完全ストップ
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/14/2023031480030.html