トヨタ3代目「ヴィッツ」に熱効率38%の新型エンジン搭載するマイナーチェンジ。価格145.1万~180.7万円で登場【今日は何の日?4月21日】

■ハイブリッド並みの低燃費で巻き返しを狙う

2014年にマイナーチェンジした3代目ヴィッツ。新エンジンで燃費を大幅に改良
2014年にマイナーチェンジした3代目ヴィッツ。新エンジンで燃費を大幅に改良

2014年(平成26年)4月21日、2010年に登場した3代目「ヴィッツ」のマイナーチェンジが実施されました。

新たに開発された1.3Lエンジンを搭載したヴィッツは、ライバルのホンダ「フィット」を上回る燃費25km/Lを達成し、販売面で押され気味の形勢挽回を図りました。

車両価格は、FFで145.1万~170.0万円、4WDで155.8万~180.7万円でした。


●次世代コンパクトカーのヴィッツ誕生

1999年にデビューして大ヒットした初代ヴィッツ
1999年にデビューして大ヒットした初代ヴィッツ

ヴィッツは、1999年に「スターレット」の後継車として、プラットフォームや主要コンポーネントすべてを一新した次世代のグローバルコンパクトカーとして誕生しました。

従来の2ボックススタイルではなく、丸みを帯びた斬新なフォルム、室内はロングホイールベース化することで居住スペースと荷室を確保。さらに、世界戦略車に相応しいように走行性能や安全性能も高め、日本ではヴィッツ、海外では「ヤリス」とネーミングし、世界中で爆発的なヒットを記録したのです。

ヴィッツの出現によって、それまでの利便性と安価が売りであったコントパクトカーのイメージが一掃。コンパクトでありながら、走りと室内の居住性をワンアランク上のレベルに一気に引き上げ、日本のみならず世界のコンパクトカーに大きな影響を与えました。

●フィットと激しいトップ争いが始まる

2001年にデビューしたホンダのフィット
2001年にデビューしたホンダのフィット

好調な滑り出しに成功したヴィッツですが、2001年にホンダから「フィット」が発売され、ヴィッツを上回る大ヒットを記録、以降は両車の激しいトップ争いが繰り広げられることに。

フィットは、斬新なスタイル、安全性能や環境性能、走行性能、燃費、居住性などすべてにバランスの取れた画期的なコンパクトカーでした。

さらに2000年代中盤になると、日産自動車の「マーチ」や「ノート」、マツダ「デミオ」なども登場して、コンパクトカー市場はますます激化します。ヴィッツは、2005年の2代目、2010年の3代目で、巻き返しを狙いますが、フィットやノートに押され気味の状況が続きます。

また2011年には、自社のハイブリッド専用車「アクア」がデビューして、ヴィッツの顧客の一部がアクアに流れることになり、これもヴィッツにとってはマイナス要因となりました。

●高効率エンジンを搭載して大規模なマイナーチェンジを敢行

2014年のマイナーチェンジで搭載された新エンジン、熱効率38%を達成。
2014年のマイナーチェンジで搭載された新エンジン、熱効率38%を達成。

3代目の発売から3年目、ヴィッツは大規模なマイナーチェンジを敢行します。内外装の変更や剛性アップ、ボディカラーなどの改良も行われましたが、マイナーチェンジの目玉は何といっても、燃費を追求した新エンジンの搭載です。

新しく開発された1.3L直4 DOHCエンジンは、ハイブリッドカーで採用されているアトキンソンサイクルに加え、高圧縮比13.5、タンブル流による筒内流動の強化、クールドEGR、VVT-iE(連続電動バルブタイミング機構)などを採用。燃焼改善と各種損失の低減などで、世界トップレベルの最大熱効率38%を実現し、JC08燃費はそれまでの21.8km/Lから25.0km/Lへと大幅に向上し、ライバルのフィット24.4km/Lを上回ります。

2020年にヴィッツ改めヤリスとして登場
2020年にヴィッツ改めヤリスとして登場

2017年には、ついにハイブリッドを追加して商品力の強化を図ったヴィッツ、結果として発売以降、長くベスト10に食い込むような堅調な販売を続け、2020年に「ヤリス」にバトンタッチしました。


コンパクトカーの歴史を変えたと言われ、長くコンパクトカー市場の中心的な役割を担ってきたヴィッツ。2010年以降は、比較的地味な存在となりましたが、着実にレベルアップしていたことが、今のヤリスの成功に生かされているに違いありません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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