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■四輪マイルドハイブリッド向け48Vを電動自転車に展開
「カーボンニュートラル」、すなわちCO2排出量削減は自動車業界に限らず、世界的に人類が持続するための目標となっています。
そして、文明的な生活に欠かせないモノやサービスというのは、いずれにしてもCO2を排出していることがほとんどです。
CO2の排出量を減らすということは文明的な生活を手放すことだと捉えたり、何かを我慢すべきだと感じていたりしているかもしれません。
人類の歴史を振り返ればピンチになるほど技術革新が生まれてきたともいえます。CO2排出量削減はイノベーションによって実現すべきだとも考えることができますし、それこそが知的な生命体の選ぶべき道といえます。
社会課題をイノベーションで解決することを理念として掲げているのが、フランス系自動車メガサプライヤーのValeo(ヴァレオ)です。ここでは、同社が提案する48V電動ユニットを用いた二輪モビリティについて紹介しようと思います。
●フーデリや宅配に電動モビリティは欠かせない
2023年・年初に開催された家電見本市「CES」において、ヴァレオは「ヴァレオ・サイクリー」という電動自転車を発表しました。
ヴァレオといえば、欧州の自動車メーカーでトレンドとなっている48Vマイルドハイブリッドの主役といえるスタータージェネレーターにおいて、大きなシェアを有していることも知られていますが、その48Vモーターと自動変速機を組み合わせた独自の電動自転車用ユニットを搭載したのが、ヴァレオ・サイクリーです。
48Vのメリットは、低電圧であるというのは四輪業界での認識ですが、電動自転車における48Vというのは最強クラスにパワフルなものとなります。
ヴァレオ・サイクリーで提案した電動パワーユニットを採用した3輪モビリティ「e-cargoバイク」は、ラストワンマイルの配送事業にピッタリの性能を持つといえます。
ネット通販やフードデリバリーなどの配送事業に使うエネルギーを減らすことは社会全体として見たときのCO2排出量削減に貢献するものであり、四輪マイルドハイブリッドで実績のあるモーターを用いた近距離向けのモビリティの提案は、まさにイノベーションによる社会課題の解決といえます。
●芝刈り機でも電動化は必須の時代
ヴァレオの2輪向け電動パワーユニットは電動自転車向けだけではありません。
CES2023では、市販されている電動バイクにヴァレオのモーターを組み込んだ試作車を発表しました。こちらの駆動用モーターは最高出力8kWということで、エンジン車でいうと空冷125ccエンジン程度の出力ですから、ひとり乗車であれば十分なパフォーマンスを示すことが期待できるものです。
もう一台の3輪・電動モビリティは、すでに量産されているもので台湾にあるGAIUS社のRAPIDE3という配送用モデルです。こちらにはヴァレオの駆動用モーターが採用され、その最高出力は13kWということです。
前述した「e-cargoバイク」同様に、こうしたラストワンマイルの物流を支える電動モビリティは、世界的にニーズが高まっていきそうです。
また、ヴァレオによると電動化が求められるのは移動のためのモビリティだけではありません。
たとえばアメリカ・カルフォルニア州では芝刈り機などのエンジンを積んだ小型特殊車両が吐き出すNOxは、環境対応が進んだ自動車よりも多いといいます。公道走行をするしないにかかわらず、エンジン付きの乗り物・道具は電動化の対象となるというわけです。
CES2023でヴァレオが展示した芝刈り機は、実績ある48Vモーターを搭載しています。このカテゴリーのゼロエミッション化を推進することが可能であることを示しているのです。