目次
■若年層をターゲットにしたハッチバックで記録的な大ヒット
2011(平成23)年12月26日、トヨタから新しい小型ハイブリッド専用モデル「アクア」がデビュー。コンパクトカーながら広い室内空間、使いやすさ、そして世界トップレベルの低燃費が売りでした。セダンの「プリウス」に対して、より若い層をターゲットにしたハッチバックモデルです。
●小型ハイブリッドで先行したのはホンダ
1997年に衝撃的なデビューを飾ったプリウスに対して、ホンダは1999年にコンパクトカー「インサイト」で初めてハイブリッドを搭載しました。“IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)”と称するマイルドハイブリッドシステムで、エンジンとトランスミッションの間にモーターを挟み込む方式でした。
そして、アクアデビューの1年前には、当時大人気の「フィット」にハイブリッドを搭載。インサイト同様、IMAに高効率の1.3L直4 i-VTECエンジンを組み合わせたマイルドハイブリッドです。
フィットハイブリッドは、マイルドハイブリッドながら、当時としては世界トップクラスの26.0km/L(JC08モード)を達成し、フィットの人気を加速させました。
●ハイブリッド専用コンパクトカーのアクア登場
マイルドハイブリッドのフィットに対して、2011年に登場したアクアは、プリウスで開発された本格ハイブリッドのTHS IIを搭載したハッチバックのコンパクトカーです。
ボディサイズは、全長で約570mm、全幅約65mm、全高は約20mmと、プリウスより小型で軽量。ハイブリッドは、アクア用に開発された小型ハイブリッドシステムで、プリウス用より小型化したTHS IIと1.5L直4アトキンソンサイクルエンジンが組み合わされました。
アクアは、小型ハイブリッドシステムと空気抵抗に優れたボディによって、当時、世界トップの燃費35.4km/L(JC08モード)を記録。フィットハイブリッドの燃費が26.0km/L、3代目プリウスが32.6km/Lですから、アクアの燃費の良さがよく分かります。
179万円という低価格と自慢の低燃費で、発売後の約1ヶ月でなんと12万台の受注があり、6ヶ月納車待ちが発生する爆発的な人気を獲得しました。
●プリウスとの比較
アクアは、プリウスの弟分のようなハイブリッドですが、両車(初代アクア:3代目プリウス)の具体的なスペックの違いは、以下の通りです。
ハイブリッドシステムは同じTHS IIですが、モーターは45kW:60kW、エンジンは1.5L:1.8L、システム最高出力は73kW:100kWです。車重差約260kgの影響で、燃費は先述の通り、3代目プリウスの32.6km/Lに対して、アクアは35.4km/L(JC08モード)と、大きく上回ります。
アクアは、デビュー直後から販売トップになり、その後も長くトップを維持。しかし、モデルチェンジすることなく、2019年に同じコンパクトカーのヤリスが登場して大ヒットしたので、アクアは生産終了か?という噂が流れました。ところが、初代から約10年の時を経て2021年に2代目アクアがデビュー。大幅な改良が加えられ、燃費は35.8km/Lを実現して、現在ヤリスを脅かす人気を獲得しています。
車種統合を進めるトヨタが、競合するアクアとヤリスの2つのコンパクトカーを設定するのは、効率が悪いように思えます。トヨタにとって、パーソナル色の強いヤリスとファミリー色の強いアクアの両方が必要というのが、答えなのでしょうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)