大クラッシュ赤旗中断にペナルティ!最後の最後に大どんでん返し。第2戦富士のGT500はARTA NSX-GTが優勝!【SUPER GT2022】

■序盤に順位が大きく変動

5月3日(火・祝)、4日(水・祝)に静岡県の富士スピードウェイで開催の2022 AUTOBACS SUPER GT第2戦「FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE」。5月4日はその決勝レースが行われました。

気温20度、路面温度33度と前日から比べればかなり暖かくなってきた4日の14時30分に、第2戦の決勝レースが2周のフォーメーションラップからスタートします。

スタートラップの様子
スタートラップの様子

この路面温度がタイヤに影響したのか、オープニングラップからGT500クラス上位の順位は大きく変動します。

まず予選3位の3号車 CRAFTSPORTS MOTUL Zが、抜群のスタートで予選2番手だった24号車 リアライズコーポレーション ADVAN ZをTGRコーナーで抜くと、19号車 WedsSport ADVAN GR Supraに襲いかかります。CRAFTSPORTS MOTUL Zがダンロップコーナーで前に出かかるも抜き切れずに、GRスープラコーナーへと差し掛かります。

そこで37号車 KeePer TOM’S GR Supraが、CRAFTSPORTS MOTUL Zを、そして最終パナソニックコーナーでWedsSport ADVAN GR Supraまでも抜いてトップに浮上! CRAFTSPORTS MOTUL Zも2番手になりますが、2周目には8番手スタートの36号車 au TOM’S GR Supraがオーバーテイク。これでTOM’Sの2台がレースを引っ張っていくこととなります。

大きく順位が入れ替わった序盤
大きく順位が入れ替わった序盤

序盤のTOM’S同士のトップ争いは激しく、24周目にはau TOM’S GR Supraがトップへ浮上します。

大きく順位が入れ替わった序盤
大きく順位が入れ替わった序盤

第2戦の450kmフォーマットでは、これまでの義務ピットインと変わって、給油のピットインは2回以上となったのです。これによりGT300では1周目に給油でピットインするチームもあり、作戦の多様性を見ることが出来ました。

CRAFTSPORTS MOTUL Zのピット作業
CRAFTSPORTS MOTUL Zのピット作業

しかし、GT500クラスは23周目あたりから40周あたりの周回で順当に最初のピットインをしていきます。最初のピットインではほとんどのチームが給油とタイヤ交換、ドライバー交代を行っており奇策を講じるチームはありません。

ARTA NSX-GTのピット作業
ARTA NSX-GTのピット作業

39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra以外のGT500全チームが、1回目のピットインを終えていた44周目に、ADVANコーナーの進入でGT300クラスのマシンがクラッシュしコース上に止まったままとなったために、FCY(フルコースイエロー/80km/h制限)が導入されます。

このFCYのギリギリ直前に、DENSO KOBELCO SARD GR Supraがピットイン! このタイミングが絶妙で、一気に3番手に順位を上げることに成功します。なお、このクラッシュではコースのタイヤバリアの修復作業が必要となって、FCYからセーフティカー(SC)導入へ、そして重機を入れての作業となることから赤旗となり、レースは一時中断となってしまいます。

●赤旗明けにCRAFTSPORTS MOTUL Zが大クラッシュで再び赤旗中断!

そして16時25分に3周のSCランでレースが再開されます。この時点で、トップはau TOM’S GR Supra、2番手は KeePer TOM’S GR Supra、3番手はDENSO KOBELCO SARD GR Supra、4番手はCRAFTSPORTS MOTUL Zとなり、トップ争いが激化。

このトップ争いですが、リスタートした瞬間に、KeePer TOM’S GR SupraとDENSO KOBELCO SARD GR Supraがau TOM’S GR Supraに仕掛けてゆき、TGRコーナーの立ち上がりでKeePer TOM’S GR Supraが一瞬トップに立つも、コカ・コーラコーナーでDENSO KOBELCO SARD GR Supraがそれをかわしてトップに浮上。この時、KeePer TOM’S GR SupraはCRAFTSPORTS MOTUL Zにも抜かれてしまいます。

au TOM'S GR Supra
au TOM’S GR Supra

DENSO KOBELCO SARD GR Supraはトップに立ったのですが、それ以上のペースを上げることが出来ないようで、トップ3台は超接近戦で争います。

58周目終わりのホームストレートで、DENSO KOBELCO SARD GR SupraのスリップストリームにCRAFTSPORTS MOTUL ZとKeePer TOM’S GR Supraが入り、いよいよ大勝負か!?と思われた、その瞬間。

トラブルを抱えていたGT300マシンがストレートの右端をスロー走行。DENSO KOBELCO SARD GR Supraはそれを避けましたが、続いていたCRAFTSPORTS MOTUL ZはGT300マシンを避けるような形でスピン状態となり、左側、観客席側のガードレールに激突してしまいます。

CRAFTSPORTS MOTUL Zのピット作業
CRAFTSPORTS MOTUL Zのピット作業

レースはすぐに赤旗となって再度の中断。車両は大破ですが、ドライバーの高星明誠選手に怪我はなく、検査入院の上で翌日には退院しており、大事にはいたりませんでした。

しかし、観客席側のガードレールが破損したため、この修復作業が終わるまでは再スタートが出来ないこととなってしまいます。18時10分、SCランにより走行が再開されますが、レースの終了時間は18時20分。残り時間はSCランのまま消化されることとなりました。

しかし、波乱がこれで終わったわけではありません。トップでチェッカーを受けたDENSO KOBELCO SARD GR Supraが赤旗中断時に作業をしたという違反。

2番手チェッカーのKeePer TOM’S GR Supraは最初の赤旗のリスタート後の36号車との接触で、共に40秒のタイム加算(本来はドライブスルーペナルティ)となり、13、14位に順位を下げてしまうこととなりました。

優勝のARTA NSX-GT
優勝のARTA NSX-GT

これで3番手でチェッカーを受けた8号車 ARTA NSX-GTが繰り上がって、今季初優勝となったのです。2位は36号車 au TOM’S GR Supra。3位はNo.12 カルソニック IMPUL Zとなりました。

カルソニック IMPUL Zのピットアウト
カルソニック IMPUL Zのピットアウト

また、表彰台の3台は全てブリヂストンタイヤという結果にもなっています。

GT500クラスの表彰式
GT500クラスの表彰式

なお、レースは当初の周回数の75%に満たないため、今大会の入賞者に付与されるシリーズポイントは半分となりました。

なおレースの途中で、時間切れでのレース終了を考慮した結果としての給油義務2回というルールは無くなりましたが、GT500クラスは2回目の給油を行っていたチームが無いために特に大きな混乱は無かったようです。

ARTA NSX-GTのピットアウト
ARTA NSX-GTのピットアウト

中断2回からのトップ2台のペナルティという大どんでん返しは、まさにドラマというほかありません。

次戦は5月28日(土)、29日(日)に鈴鹿サーキットで開催される第3戦となります。

【SUPER GT2022 第2戦 富士 GT500 決勝結果】

順位 ゼッケン 周回数 車名 ドライバー
優勝 8 62周 ARTA NSX-GT 野尻智紀 福住仁嶺
2位  36 62周 au TOM’S GR Supra 坪井翔 ジュリアーノ・アレジ
3位  12 62周 カルソニック IMPUL Z 平峰一貴 ベルトラン・バゲット
4位  23 62周 MOTUL AUTECH Z 松田次生 ロニー・クインタレッリ
5位 100 62周 STANLEY NSX-GT 山本尚貴 牧野任祐
6位  19 62周 WedsSport ADVAN GR Supra 国本雄資 阪口晴南
7位  14 62周 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也 山下健太
8位  24 62周 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木大樹 平手晃平
9位  17 62周 Astemo NSX-GT 塚越広大 松下信治
10位 16 62周 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT 笹原右京 大湯都史樹
11位 64 62周 Modulo NSX-GT 伊沢拓也 大津弘樹
12位 38 62周 ZENT CERUMO GR Supra 立川祐路 石浦宏明
13位 39 62周 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛 中山雄一
14位 37 62周 KeePer TOM’S GR Supra サッシャ・フェネストラズ 宮田莉朋
15位 3 58周 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正 高星明誠

(写真:吉見 幸夫/文:松永 和浩

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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