日本初のグライダーが飛ぶ/スズキがVWと資本提携/トヨタの4代目プリウス登場!【今日は何の日?12月9日】

■東京・上野でグライダーが試験飛行

グライダー
グライダー

1909(明治42)年12月9日、相原四郎海軍大尉が東大の田中教授とフランス大使館に勤めるル・プリウールの協力を得て、上野の不忍池でグライダーの試験飛行に成功しました。グライダーは、田中教授がフランスの資料を参考に製作した竹骨製の複葉式で、風洞試験で改良を続けて完成させたものです。飛行は、自動車で牽引してプリウールと相原大尉がそれぞれ1回ずつ搭乗。相原大尉の飛行では、牽引索が切れて池に墜落して危険な目にあったそうです。その後も研究は続けられましたが、プリウールがフランスに帰国して活動は自然消滅してしまいました。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょう?

●スズキがVWと業務資本提携を締結

2009年(平成21)のこの日、スズキVWが包括的な業務提携を締結したと発表しました。スズキは、1981年にGMと資本提携を結びましたが、GMの経営悪化を受けて2008年に関係が解消、VWとの提携では、スズキはHEVといったVWの環境技術、VWはスズキが持つ基盤を利用した新興国への参入が大きな狙いでした。ところが、対等なパートナーを目指したスズキと、スズキを支配下に置きたいVWとの思惑違いによって意見が対立、解決のため、スズキは2011年に提携解消を求めて国際仲裁裁判所へ申し立てて、その後長く係争が続きました。最終的には、2015年8月にやっと提携解消が認められ、スズキがVWの持つ自社株を買い戻して決着したのでした。

●燃費40.8km/L! トヨタの4代目プリウス登場!

2015(平成27)年のこの日、トヨタプリウスをモデルチェンジし、4代目プリウスの発売を開始しました。1997年に量産初のハイブリッドモデルとしてデビューした初代プリウスは、他のガソリン車を圧倒する低燃費28.8km/L(10・15モード)を達成して、大きな注目を集めました。その後の2代目、3代目も、エンジンおよびハイブリッドシステムの改良によって、進化を続けました。

2015年に登場した4代目プリウス
2015年に登場した4代目プリウス
4代目プリウスの後ろ外観。空力を意識した低重心で流麗なスタイル
4代目プリウスの後ろ外観。空力を意識した低重心で流麗なスタイル

そして登場した4代目プリウスは、驚異の低燃費40.8km/L(JC08モード)を達成して、大きな注目を集めました。スタイリングは低重心で躍動感溢れる近未来的なデザイン、インテリアも先進かつ温かみを持たせたデザインを採用、またトヨタが展開しているTNGAをベースにした高剛性ボディや、ダブルウィッシュボーンリアサスペンションの採用などで、走行性能や快適性、静粛性についてもレベルアップが図られました。エンジンは3代目と同じ1.8L直4のアトキンソンサイクルエンジンを改良して熱効率40%を達成、また組み合わせたハイブリッドTHS-IIも20%の損失低減を果たしています。

4代目プリウスのハイブリッド(THS-II)システム。世代毎にエンジンとTHSの効率を改良
4代目プリウスのハイブリッド(THS-II)システム。世代毎にエンジンとTHSの効率を改良
1997年にデビューした初代プリウス。量産初のハイブリッド車として世界中が大注目
1997年にデビューした初代プリウス。量産初のハイブリッド車として世界中が大注目

4代目プリウスは、大ヒットした3代目同様好調な販売を続け、2016年と2017年、2019年は販売トップを記録しました。ところが2020年以降は販売が下降しています。ハイブリッドが自社の多くのモデルに展開されたために、ハイブリッドの代名詞であったプリウスの存在感が薄れてしまったことが、苦戦の原因ではないでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる