■富士で速さを見せるGR Supra勢
11月28日(日)、静岡県の富士スピードウェイで2021 AUTOBACS SUPER GT最終戦「FUJIMAKI GROUP FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが行われました。
前日の予選に比べれば若干気温が上がり、路面温度も23度となった決勝レースは、午後1時にフォーメーションラップが始まります。
2周のフォーメーションラップの後に切られたスタートでは、14号車 ENEOS X PRIME GR Supraが好調な滑り出し、2番手のSTANLEY NSX-GTがそこに食らいついていきますが、そこから4番手の37号車 KeePer TOM’S GR Supraまではかなりの接近戦となります。
スタートラップから2周目に入ろうというところで順位は大きく動き、36号車 au TOM’S GR Supraが2番手、KeePer TOM’S GR Supraが3番手、そしてSTANLEY NSX-GTが4番手となります。
そんな熱戦が繰り広げられるS-GT最終戦。GT500の後方グループでも激しい鍔迫り合いの末か、3周目の最終パナソニックコーナーでアクシデントが発生!
10番手の12号車 カルソニック IMPUL GT-Rと17号車 Astemo NSX-GTが接触。ここに後続の19号車 WedsSport ADVAN GR Supraと64号車 Modulo NSX-GTも絡みます。
これでAstemo NSX-GTはリタイア、カルソニック IMPUL GT-Rも右ライトが無くなった状態で再スタートしますが大きく遅れてしまい、結局この2台はタイトル争いから離脱してしまいます。
7周目のダンロップコーナーでGT300マシンが接触しコースアウトとなったことでセーフティカー(SC)が導入されます。これは12周目で解除となりますが、この際に2位に10秒以上の差をつけていたENEOS X PRIME GR Supraのマージンが帳消しとなり、再スタートのTGRコーナーでau TOM’S GR Supraがインを刺してトップに躍り出ます。
ルーティーンのピットワークが出来る22周目に入ると、4番手でランキングトップのSTANLEY NSX-GTと5番手でランキング2位の8号車 ARTA NSX-GTが相次いでピットイン。
STANLEY NSX-GTは問題なくピットアウトしていきますが、ARTA NSX-GTはトラブルで10秒ロス! ここで順位を下げてしまいます。
また、23周目にはENEOS X PRIME GR Supra、25周目にau TOM’S GR Supraがピットイン。全車ピットインを終えると順位はau TOM’S GR Supraがトップ、2番手はENEOS X PRIME GR Supra、3番手はKeePer TOM’S GR Supra、4番手はSTANLEY NSX-GTと続きます。
●終盤に大波乱! STANLEY NSX-GTにアクシデント!
レースは終盤に差し掛かるまで上位陣に変動がなく、しかし、中々に近い距離間でのバトルが展開されていました。STANLEY NSX-GTは4番手のまま。このままの順位でゴールしても山本選手のチャンピオンは揺るぎないと思われ、上位3台のGR Supra勢から少し距離をとるポジションで周回を重ねています。
ところが、51周目のTGRコーナーで予想外のアクシデントが発生。GT300のランキング3位だった55号車 ARTA NSX GT3が、GT300ランキングトップの61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTを追い抜こうとインに入ったところブレーキングで止まりきれず、TGRコーナーに進入したSTANLEY NSX-GTの右サイドに真っすぐ当たってしまうことになってしまいます。
これによりレーシングスピードでレースをすることが困難になってしまったSTANLEY NSX-GTは緊急ピットイン。
この時点でチャンピオン争いを離脱してしまうことになったSTANLEY NSX-GTですが、チームスタッフはもう一度コースへ送り出そうと必死に修復作業を行います。
このアクシデントによりSTANLEY NSX-GTは14位となってしまいます。
STANLEY NSX-GTの離脱により、トップのau TOM’S GR Supraはこのまま優勝すればシリーズチャンピオンとなります。そして、そのままチェッカーフラッグを受け優勝!
au TOM’S GR Supraは、今季初勝利でチャンピオンを決めたことになります。また坪井翔選手はSUPER GTのGT500クラスで初優勝となり、初優勝が初チャンピオンという喜ばしい結果となりました。
2位はKeePer TOM’S GR Supraで、TEAM TOM’Sが1-2フィニッシュ。3位はENEOS X PRIME GR Supraで、GR Supra勢が表彰台を独占することとなりました。
また2021年シーズンのシリーズチャンピオン、ドライバーズチャンピオンは、トップから16ポイント差をひっくり返しての逆転チャンプで、au TOM’S GR Supraの関口雄飛選手と坪井選手、シリーズ2位はARTA NSX-GTの野尻智紀選手と福住仁嶺選手、シリーズ3位はSTANLEY NSX-GTの山本選手という結果になりました。
最後の最後まで何が起こるかわからないSUPER GT。2022シーズンは2022年4月16日(土)、17日(日)に岡山国際サーキットを皮切りに富士、鈴鹿、富士、鈴鹿、SUGO、オートポリス、そして11月5日(土)、6日(日)の最終戦ツインリンクもてぎの全8戦が予定されています。
まだコロナ禍の影響が残り、海外戦の無い変則スケジュールとなりますが、それでもSUPER GTのドラマチックでスリリングなレースが楽しみで仕方ありません。
(写真:吉見幸夫/文:松永 和浩)