■藤野選手がエンジンブロー
2021年10月最後の週末、大分県のオートポリスでD1GPの第9戦と第10戦が開催されました。本来最終ラウンドとして予定されていたものが、緊急事態宣言の関係で第5戦と第6戦が延期になったため、最終ラウンドではなくなった形での開催です。
Team TOYOTIRES DRIFTからは、#90川畑真人選手(GRスープラ)と#66藤野秀之選手(86)が参戦しています。
川畑選手は、V8エンジンの投入以来悩まされてきたエンジンの不調がかなり改善され、走りも安定感を増してきました。
今季から86にマシンチェンジした藤野選手は、開幕戦で準優勝したものの、その後の熟成がいまひとつ順調ではなく、本来の強さは発揮できずにいます。
そして藤野選手は公式練習日だった金曜日にエンジンブローに見舞われてしまいます。
藤野選手の86は、ニッサンGT-RのVR38エンジンを搭載しているのですが、86のエンジンルームに収めるためにドライサンプ化しています。非常に特殊なエンジンのため、この週末中に部品を組み合わせて修復するのは不可能で、2戦ともリタイヤとなってしまいました。
藤野選手は「エンジン開けてないんで、はっきりとは言えないんですけど、たぶんクランクが破損しているんだろうという感じです。で、1回関東まで戻ったとしても、今回のトラブルに関してはパーツも揃ってなくて、この週末で直すのは諦めるしかないということになりました。次のエビスはもう大丈夫です!」というコメントでした。
いっぽう川畑選手のエンジンは、まだ耐久性が低いという問題はあり、金曜日にエンジン載せ替えは行ったものの、気まぐれに吹けなくなるようなことはなく、走りは安定しています。
まずは土曜日の第9戦単走決勝。川畑選手は166.5km/hというトップクラスの進入速度もマークしつつ、リズムよく走って単走を7位で通過。追走トーナメントに進出しました。
●川畑選手、あと一歩で決勝進出を逃す
土曜日の午後に行われた追走トーナメントでは、まず#52北岡選手と対戦。後追いでは近いドリフトから、こらえきれずにインに入ってしまう場面もありましたが、先行時の走りがよかったこともあってベスト8進出。
トラクションに優れるGRスープラは前に進む力が強いため、遅い相手の後ろでドリフトを維持しながら“待つ”というのがやや苦手なのです。
いっぽうベスト8の対戦相手はスピードのある#70横井選手。そうなると川畑選手も合わせやすく、後追いからきっちり横井選手をとらえて、ベスト4に勝ち上がりました。
準決勝は#7松井選手との対戦。路面コンディションも変わりやすいのがオートポリスの特徴なのですが、ここではその難しさが出てしまったのか、川畑選手は先行時、後追い時ともに振り返し後の姿勢を決めきれず、接近ドリフトは決めたものの1ポイント差で松井選手に惜敗。第9戦は4位に終わりました。
翌日曜日は第10戦です。川畑選手は、前日の扱いにくさを解消するために、トラクションを抜く方向でセッティングを変更しました。しかし、前夜に降った雨の影響が残り、朝のチェック走行の時点では路面がウエットコンディションで、特性をしっかりチェックできなかったのが響きました。
ドライになった単走本番では、振り返しがきれいに決まらず21位で単走敗退。第10戦はノーポイントに終わってしまいました。
川畑選手は「足まわりの変更がちょっと裏目に出ちゃって引っかかるような感じになってしまって狙い通りの走りができませんでした」とのことでした。
しかし、第9戦ではひさしぶりに川畑選手らしいレベルの高い走りが見られました。あと少しマシンが扱いやすくなれば、優勝も遠くないと思われます。
次戦は2021年シーズン最終ラウンド。第5戦、第6戦が11月20(土)、21日(日)に福島県・エビスサーキットで開催です。
(まめ蔵)