■無線通信を使ったソフトウェアのアップデートには、有料サービスの可能性も!?
2021年8月25日、トヨタは「ソフトウェアとコネクティッドの取り組み」として、プレス向けにオンラインで説明会を実施。トヨタ自動車の山本圭司執行役員によるプレゼンテーションと質疑応答が行われました。
「CASE」に対する挑み方として、ソフトウェアやコネクティッド技術の「手の内化」を進めるのがトヨタの姿勢。
単にクルマがインターネットにつながるのではなく、人中心の発想「ヒューマンコネクティッド」を掲げ、自らコールセンターを設置し、多様な情報を習得してきました。
さらに、グループ全体でサービス業界との提携も進めています。たとえば、いま話題の「東京オリンピック・パラリンピック2020」では、トヨタ生産方式(TPS)に基づき、Eパレットを運行する管理システムを構築し、選手や関係者の移動を支えています。
今後、移動をコアとした体験から新たな価値を創造したい、と表明しています。
新しい価値としてユーザーに提供されるのは新型レクサスNXになります。
新型NXでは、マルチメディアシステムとコネクティッドサービスが4年ぶりにフルモデルチェンジされます。新しいNXは「OTA(Over The Air)」によるソフトウェアアップデートにも対応します。
具体的には、マルチメディアをはじめ、安全運転システム、メーターディスプレイの表示なども検討しているそう。無線通信を使ったソフトウェアのアップデートは、安心、安全であり、万全の慎重を期してアップデートしていくとしています。
一方で、ソフトウェアのアップデートは販売店で行うという長年の実績もあり、OTAはソフトウェアのアップデートのひとつの方法と位置づけ、この2つを組み合わせて進めていくそう。なお、トヨタは「マップオンデマンド」で2007年にOTAを導入しています。
今回の発表では、課金により、さらに充実したサービスを提供することも検討しているそう。しかし、まずOTAを使った無線アップデートは、ユーザーがよりメリット(新しい機能を届ける)を享受できることが第一条件としていて、その後に、課金による有料サービスもでてくるとしています。
さらに、コネクティッドにより「カーボンニュートラル」にも貢献することが可能になるそうです。コネクティッドで、燃費と電費制御するのが狙い。具体的には、走る場所や時間帯によって燃費や電費をコントロールする考え方です。
たとえば、ゼロエミッション規制都市での走行に対応する「ジオフェンス技術(ナビゲーションとクラウドの技術を掛け合わせる)」と呼ぶもので、社会との協調も盛り込まれています。具体的には、走行環境によりバッテリーEVに切り替えるなどの規制への対応、省エネ化に貢献することが考えられています。
先述のように、ゼロエミッション規制都市では「EV」モード走行し、それ以外の地域では「ハイブリッド」走行するという技術で、現在開発中。将来の市販化も期待できるそう。
また、今後のクルマ像、未来について「サステイナブル&プラクティカルなクルマづくり」を目指しているそう。トヨタ独自の開発プラットフォーム(OSに開発環境も含めた)「arene(アリーン)」の開発によりソフトウェア、コネクティッドサービスの開発を推進するとしています。
同社は、いつの時代も手の内化にこだわり、ソフトウェアの力により社会全体の発展に貢献したいとしています。
(塚田 勝弘)