■一筋縄では行かない開幕戦の岡山
4月10日・11日に岡山国際サーキットで開催のSUPER GT開幕戦「2021 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル OKAYAMA GT 300km RACE」。2020シーズンはコロナ禍の影響で岡山国際サーキットでのSUPER GTは開催されなかったため2年ぶりの開催となり、なおかつ晴れ渡った空のもとでの開催は3年ぶりとなります。
GT300のK-Tuneから急遽助っ人としてKeePer TOM’S GR Supraへやってきた坂口晴南選手が、全予選トップタイムでポールポジションを決め、予選から若手の台頭が目立っていた開幕戦の岡山。
またグリッドの上位5台をGR Supra&BSタイヤが占めるという寡占状態で、GR Supra勢の仕上がりの良さにも注目が集まります。
スタートではポールポジションからKeePer TOM’S GR Supraの阪口晴南選手がトップをキープ。背後には14号車 ENEOS X PRIME GR Supra、36号車 au TOM’S GR Supraと、 GR Supra勢の5台が予選順位のとおりに駆け抜けていきます。
そこにスタートからとんでもない勢いで追い上げを見せたのが、予選12位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリ選手。5周目に6番手まで浮上して上位5台のGR Supra勢を追いかけます。
この後7周目にGT300の30号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが追突されスピンで停車。ここでセーフティカー(SC)が入りますが序盤のために順位に大きな影響はおよびません。
そして30周を過ぎたあたりからピットインが始まります。早めに入ったのはホンダNSX-GT勢で、64号車 Modulo NSX-GTや1号車 STANLEY NSX-GTなどがピットに入っていきます。
そんな中、33周目にGT300の360号車 RUNUP RIVAUX GT-Rがピットアウト直後にスピンでコース上で止まってしまいます。このアクシデントでSCが入ると見るや、その前に各チームともにピットインさせてしまおうということでピットロードは大渋滞! そのタイミングとピット作業の時間などで大きく順位が変わることになってしまいます。
●ピットインでKeeperが後方へ! ENEOSとauが20周以上のトップ争い!
33周から34周目にかけてのピット大渋滞で、トップ集団だったGR Supra勢も一斉にピットインします。しかし混みすぎたピットエリアでは通常の停め方が出来ず、トップの3台はピットへ斜めに突っ込んでドライバー交代やタイヤ交換をせざるを得ません。
この大混乱のピットを一番早く飛び出したのは、14号車 ENEOS X PRIME GR Supra。
作業はKeeperとほぼ同時に終了しましたが、ピットを出るタイミングが微妙に早かったおかげで、2位に浮上したのが36号車 au TOM’S GR Supra。
それまでトップだったKeePer TOM’S GR Supraは、このピットインで39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraにも抜かれ、4位までの後退を余儀なくされてしまいます。
24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R以外はSC導入前にピットインでき、SC明けの実質のトップはENEOS X PRIME GR Supraで、au TOM’S GR Supraが続きます。
ここからがこの開幕戦一番の見どころと言えるENEOS X PRIME GR Supraとau TOM’S GR Supraの、というよりも山下健太選手 vs. 坪井翔選手の、常に1秒を切る接近戦の大バトル。
ファステストラップをお互いが更新しながら、鬼チャージの坪井選手に鬼ブロックで対抗する山下選手の、本当に手に汗握る大バトルが延々と20周以上にわたって繰り広げられます。
そして残り8周、バックストレートからのヘアピンの突っ込みでau TOM’S GR Supraの坪井選手が仕掛けます。しかし止まり切れずにコースアウト!すぐにコースに復帰しますが、ENEOS X PRIME GR Supraは遥か先へと行ってしまいます。
壮絶なトップ争いを制したENEOS X PRIME GR Supraの山下選手はそのままチェッカーをくぐり、ROOKIE Racing結成以来、初となるSUPER GT優勝を飾ります。
1秒を切るバトルを30分近く繰り広げた山下選手と坪井選手。こんな名場面は次戦の富士でも繰り広げられるかもしれません。
その第2戦は5月3日(月祝)~4日(火祝)に富士スピードウェイで開催されます。
(写真:吉見 幸夫/文:松永 和浩)