1月22日にメルセデスベンツコネクションで行われたRide and EV -SMART × LOVECARS、つまりはEVスマートの試乗会。
試乗に先立ってメルセデスベンツ日本の技術担当、小西氏によるEVスマートの解説があり、コンセプトや技術的なことをものすごく丁寧にお話いただきました。
細かい技術的なことはさておき、なぜスマートがEVに?ということですが、平たく言えば都市内交通の数値的なデータを落とし込んでいくと一番親和性が高いEVがスマートのサイズ、ということになるようです。
航続距離を必要としない都市内交通ですが、単位面積当たりの車両数はとてつもなく多い。サイズを半分にすれば、渋滞の長さなどは半分とまではいかなくてもかなり少なく出来るうえに、EVであれば温暖化ガス以外にもあらゆる有害物質を発生させることもない、というのがメルセデスベンツとしての主張のようです。
このトークショーで小西氏は非常に興味深い質問を来場者に投げかけました。
「電気自動車はエンジン車に比べて、どこが優れているのか?」
当然、予想される回答は二酸化炭素問題などエミッション系が多くなるわけですが、小西氏の見解は違います。「電気自動車はエネルギー効率に優れているのです」
小西氏はエネルギー保存の法則を使って解説を始めました。エネルギー保存の法則とはあるエネルギーが他の要素に置き換わるときの値がほぼ等価であるという、あれです
「エンジンがガソリンを燃やして運動エネルギーを得るわけですが、それは熱エネルギーを運動エネルギーに変換してクルマを動かしているということになります。また、クルマが止まるとき、これはブレーキで運動エネルギーを熱エネルギーに変換して車を止めています。つまり熱エネルギーを大量に放出しているので効率が悪い」
内燃機関のクルマの熱効率は20%前後といわれていますので、小西氏のお話は非常に納得できます。
「電気自動車の場合は、減速のときにこの運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに戻す(回生システム)のでエネルギーを無駄にしないのです。メルセデスベンツは、将来的にはハイブリッドや燃料電池を含めて、全てのクルマの最終的な動力源は電気モーターになると考えています」
すごく初歩的なことですが、今EVを語ろうとすると忘れられがちな内容です。
環境性能はEVに限らず、あらゆるクルマに求められています。つまり環境性能は標準装備なわけです。それを踏まえたうえで電気自動車とは何か、なぜスマートなのか、ということを考えると、スペース効率に優れたエネルギー効率の高い都市内移動体、ということことになるのです。
つづく
(北森涼介)