■和モダン建築のような「プラチナ箔&西陣」のドアトリムも見どころ
ビッグマイナーチェンジを受けたレクサスLSでボディ関連のトピックスは、新色の「銀影(ぎんえい)ラスター」の採用。その美しさは、夕方の日が落ちつつある中でも際立っていて、とくに光が当たる部分であるハイライトがとても印象的でした。
丸1日レクサスの各モデルと付き合ってきた中で、心に残像として焼き付いていたほど。レクサスLS、LCのチーフエンジニアを務める武藤康史氏に、その美しさと明るさについて話を振ると、LSにとってシルバーは「特別なカラー」であると教えてくれました。
「銀影ラスター」の銀影とは、まさに打ってつけのネーミング。深い陰影をもたらす、シャドーの影そのものがまるで銀色に投影されているかのようで、外で眺めた際の全体の印象も「明るいな」というものでした。
レクサスが長年、開発に取り組んできたという同カラーは、アルミフレークを含んだ塗料の体積を凝縮させる「ソニック工法」が応用されています。蒸着アルミを高密度で敷き詰める最新の塗装技術により、まるで鏡面のように粒子感をほとんど感じさせない滑らかな質感が特徴。
先述したように、かなり暮れかかったシーンであっても、周囲のわずかな光をとらえているのが実感できます。間近でボディを眺めると、平面に近い場所でも湾曲した部分でも場所を問わず非常に滑らかで、クオリティの高さは一瞥しただけで伝わってきます。ドアを開けて乗り込むと、今度は新たに設定された「プラチナ箔&西陣」のドアトリムが目に飛び込んできます。
これは、西陣織の銀糸やプラチナ箔の輝きにより、月明りに照らされた波の揺らぎによる「月の道」を表現したそうですが、ボディカラーの「銀影ラスター」とのコーディネイトが絶妙で、また「和」のテイストではあるものの、最新の「和モダン」建築にも通じる新しさも抱かせます。
ボディカラーやドアトリムの模様、色彩などは人の好みによって変わるでしょうが、一見の価値ありで、ビッグマイナーチェンジ版のレクサスLSを象徴する仕様になっています。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)