■素晴らしいユーティリティ性能で使い勝手はバツグン
メルセデス・ベンツ GLBは2019年にワールドプレミアされた新型車で、日本では2020年にGLAとともに発表されました。GLAは現行モデルが2代目となりますが、GLBはこのモデルが初代です。
GLBはGLAとプラットフォームを共有します。つまり、Aクラスとも同一となります。
ただし、GLA、Aクラスともにホイールベースが2730mmなのに対し、GLBは100mm延長された2830mmとなります。全長は210〜220mm延長(比較するグレードによって異なる)され4650mmとなります。ホイールベース延長分より全長延長分が長いのはリヤオーバーハングが伸びている分となります。
この延長された部分はユーティリティとして生かされます。日本仕様ではここに2名分のシートを設置し7名定員としています。欧州仕様の場合はシートは増やさずに純粋にラゲッジルームとしている5名定員モデルも存在するとのことですが、日本には輸入されていません。
増やされたサードシートに座ってみたのですが、これが意外なほどにゆったりとしています。筆者の身長は174cmなので、日本人としては平均よりも少し高い程度です。乗車時のヒザの曲がり方や、ショルダールーム、ヘッドルームの余裕も十分でした。
しかし、執筆のために資料をチェックしていると「3列目シートは、乗車時の安全確保のため、身長168cm以下の乗員が使用できます」との記載を発見。十分な広さではあるものの、安全性確保のためには私の身長ではあきらめるしかないらしい。しかし、少し小柄な男性や女性、そして子どもなら安全を担保しながら乗車できるのですからこの部分は魅力的です。
一方、ラゲッジルームとしての性能もなかなか優れたものです。定員乗車状態でのスペースは130リットルとかなり少なめですが、サードシートを収納(5名乗車)すると500リットルまで拡大できます。
GLAの定員乗車(5名乗車時)時で425リットルなので、かなり拡大できることがわかります。また、セカンドシートを収納しフルラゲッジとしたときは1680リットルとなり、GLAの1420リットルをはるかに上まわります。
日本仕様のGLBは1.9リットルディーゼルターボエンジンを搭載するFFモデルの200dと、2リットルガソリンターボ+4WDの250 4マチックの2タイプ。
試乗したのは250 4マチックです。エンジンのスペックは224馬力/350Nmとしっかりパワフルなものです。ただし車重も1760kgとそれなりに重く、キビキビした走りを求めるタイプではありません。ホイールベースが長いこともありクルマの動き全体がゆったりとして落ち着いたものです。
じつは同じタイミングでGLAにも乗っているので、とくにゆったり感を感じることができたのでしょう。GLAがシュンシュンキビキビと走るハッチバックのようなSUVなのに対し、GLBはゆったりといい乗り心地を確保しているクルージング向きの味付けとなっています。
遊び道具をたっぷりと積んで、ロングドライブを楽しみながらキャンプを楽しむ……そんな使い方がピッタリとくるのがGLBといえるでしょう。
(文・写真/諸星陽一)