これだけの巨漢で燃費は10.9km/L!2代目メルセデス・ベンツGLSはソフトな乗り心地と高い静粛性が魅力

■「SクラスのSUV」にふさわしい上質感

2020年3月に日本でも発売された2代目の新型メルセデス・ベンツGLSは、アメリカで生産される大型SUVらしい仕上がりになっています。ボディサイズは、全長5220×全幅2030×全高1825mm、ホイールベース3135mmという堂々たるもので、キャデラック・エスカレードなどのフルサイズSUVに分類できます。

メルセデス・ベンツGLS
2代目メルセデス・ベンツGLSのエクステリア

今回試乗した新型「GLS 400 d 4MATIC」には3.0L直列6気筒ディーゼルターボが搭載され、9速ATとの組み合わせで330PS/3600-4200rpm、700Nm/1200-3200rpm。車両重量も2590kgと、重量級なだけあって走り出しはジェントル。試乗コースの西湘バイパスでアクセルを強めに踏み込むと700Nmもの最大トルクを実感させますが、じゃじゃ馬のようなモンスターSUVのそれではなく、いつの間にか速度が高まっているという印象。

メルセデス・ベンツGLS
3.0Lの直列6気筒ディーゼルターボを積む

直列6気筒ディーゼルは、9ATのスムーズな変速もあり、スルスルとパワーを紡ぎ出していきます。一方で、箱根の山でも1人乗車であればパワー不足を抱かせることは一切なく、多人数でロングドライブを楽しんでも疲れを誘うことはないでしょう。

メルセデス・ベンツGLS
メルセデス・ベンツGLSのリヤビュー

また、静粛性の高さも印象的で、アイドリング時や中低速域ではディーゼルらしい音が伝わってきますが、エンジンとの距離が遠くに感じられる大型SUVということに加えて、遮音、吸音対策は万全。ロードノイズや風切り音などの遮断も見事で、「SクラスのSUV」にふさわしい快適性が担保されています。下界から遮断されたようなキャビンの静けさは、速度を上げてもほとんど変わりません。

同時に印象的なのは、3.1mを超えるロングホイールベースと2.5tを超える車両重量らしく、ゆったりしたソフトな乗り心地であることです。アメリカが主戦場の、大型SUVらしいゆったりした乗り味は、好きな人にはたまらないはず。きちんと生産国とメインマーケットに合わせたような味付けになっています。ただし荒れた路面では、路面の凹凸に対してタイヤの大きさを感じさせる動きもあり、大きなブーツを履いているような感触もあります。

メルセデス・ベンツGLS
新型GLSのインパネ

また、これほどの巨体ですが、WLTCモード燃費は1。もちろん燃料は軽油になり、タンク容量は90Lもありますから、航続距離が長い「足の長さ」も期待できます。先述したボディサイズはもちろん、1263万円(GLS 400 d 4MATIC)という価格は、乗り手や買い手も選ぶのは間違いなさそうですが、ゆったり乗れる大型SUVをお探しなら2021年にも日本に上陸する新型エスカレードあたりと比較する手もありそうです。

(文・写真:塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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