■命運を分けたセーフティカー
2020年10月24日~25日に三重県の鈴鹿サーキットにて、2020 AUTOBACS SUPER GT第6戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』が開催されました。
ポールポジションからスタートした96号車 K-tunes RC F GT3は、そのポジションを揺るがすことなくスタートラップを周回していきます。
2番手に61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT、3番手に6号車 ADVICS muta 86MC、4番手に18号車 UPGARAGE NSX GT3とほぼ予選順位の通りに序盤の周回が進んでいきますが、UPGARAGE NSX GT3がなんと4周目のスプーンカーブでマシンがストップしてしまいそのままリタイアということになってしまいます。
UPGARAGE NSX GT3のマシンストップではセーフティカーは導入されずそのままレースは続いていきます。
トップのK-tunes RC F GT3にスタートから食らいついていたSUBARU BRZ R&D SPORTは、100kgのウェイトハンデがあるとは思えない走りで、8周目、ついにトップに浮上!
この辺りでなかなかタイムが伸びてこないK-tunes RC F GT3はその背後からADVICS muta 86MCにも抜かれ、11号車 GAINER TANAX GT-Rにも抜かれるなど、徐々に順位を落としていってしまいます。
トップはSUBARU BRZ R&D SPORT、2番手にADVICS muta 86MC、3番手にGAINER TANAX GT-R、そして4番手にHitotsuyama Audi R8 LMSが迫るという順位で中盤まで推移していきます。
18周目を過ぎた頃からピットインをするチームが増え始めます。
まず2番手でトップを追っていたADVICS muta MC86がピットイン。Hitotsuyama Audi R8 LMSや4号車グッドスマイル 初音ミク AMGもこのタイミングでピットインをしていきます。
そんな中、20周目にピットアウトした 52号車・埼玉トヨペットGB GR Supra GTがアウトラップのS字コーナーでコースアウト! セーフティカーが導入されることとなります。
トップだったSUBARU BRZ R&D SPORTやGAINER TANAX GT-R、31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTなどの上位陣がピットインのタイミングを逃すことになります。セーフティカー解除後のピットインで、早めにピットインをしたチームのマシンに次々と抜かれて行ってしまうということになってしまいます。
●Hitotsuyama Audi R8 LMSが4年ぶりの優勝。そしてドライバーはともに初優勝!
波乱のセーフティカー導入が解除されると順位は大きく変動しています。
この時点でトップに立っていたのは早めのピットインが功を奏したADVICS muta MC86。しかし背後にはHitotsuyama Audi R8 LMSが迫ります。
そして27周目の第1コーナーでHitotsuyama Audi R8 LMSが一気にトップへ浮上! そのまま逃げ切りの体制を築いていきます。
また、同じタイミングでピットインをしたグッドスマイル 初音ミク AMGが後半に3位まで浮上。ADVICS muta MC86と激しい2位争いを繰り広げていきます。
しかし、あと一歩及ばず3位でチェッカーを受けることとなります。
4位には19位スタートのマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号が登りつめ、ポイント獲得を果たしています。
そして優勝はHitotsuyama Audi R8 LMS! 2016年に熊本地震で中止となったオートポリス戦の代替レースとして開催されたもてぎ戦以来の4年ぶりとなる優勝となります。
また川端伸太朗選手、近藤翼選手にとってはSUPER GT参戦以来の初優勝となります。
観客動員2戦目の第6戦鈴鹿。このレースでは、セーフティカー導入が見せた大番狂わせの結果とは言え、これがSUPER GTのレースの醍醐味ともいえる展開を見せました。
次戦の第7戦もてぎではウェイトハンデが半分となり、より接近したレースが繰り広げられることでしょう。第7戦は11月7日〜8日に栃木県ツインリンクもてぎで開催されます。
(写真:吉見 幸夫/文:松永 和浩)