日産の2代目「レパード」デビュー。高級スペシャリティカーでの巻き返しを目指したトップグレードは383.7万円【今日は何の日?2月18日】

■先進技術満載の高級2ドアクーペでソアラに真っ向勝負

1986年に登場した2代目レパード
1986年に登場した2代目レパード

1986(昭和61)年2月18日、日産自動車から2代目「レパード」がデビューしました。

初代レパードは1980年にデビューしましたが、一年後に対抗馬として登場したトヨタ「ソアラ」の後塵を拝して存在感をアピールできないままでした。2代目レパードはその巻き返しのために登場したのです。


●ソアラに先行して登場するも後手に回った初代レパード

日本が高度成長で好景気を迎えていた1980年、日産から高級スペシャリティカーのレパード(F30型)がデビューしました。

1980年にデビューした初代レパード2ドアハードトップ
1980年にデビューした初代レパード2ドアハードトップ

スラントさせたフロントグリルやヘッドライト、長く伸びたボンネット、傾斜のきついリアウインドウなど、斬新なスタイリングの2ドア/4ドアハードトップの2タイプを設定。パワートレインは、1.8L直4 SOHC、2.0L直6 SOHC、2.8L直6 SOHCの3機種のエンジンと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。その後、2.0Lと2.8Lにはターボが追加されました。

デビューとともに高級感あるスポーティなクーペスタイルが注目を集めましたが、1年後にトヨタからソアラがデビューすると、ソアラの圧倒的な人気の前でレパードは後塵を拝することに。ソアラは、最新のDOHCエンジンを搭載し、スマートさと高級感で上回っていたのです。

●先進技術を満載して再びソアラに挑戦

ソアラの圧勝で終わった初代の対決に続いて、その巻き返しのために2代目レパード(F31型)が登場。開発コンセプトは、“大人のライフスタイルをハイセンスに演出するプレステージ・スペシャリティカー”でした。

2代目レパードの斜め後ろ外観。ソアラを意識した直線基調の2ドアハードトップ
2代目レパードの斜め後ろ外観。ソアラを意識した直線基調の2ドアハードトップ

スタイリングは8連式マルチヘッドライト、大型リアコンビネーションライトなどを採用した2ドアクーペスタイルに一新。インテリアについても、ラウンド形状の室内空間に、ツイード調の上質シート、カラー液晶デジタルメーターなどで高級感を演出しました。

パワートレインは、トップグレードの3.0L V6 DOHCエンジンを筆頭に、2.0L V6 SOHCターボ、2.0L V6 SOHCという3機種に、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。サスペンションには、路面状況に応じてショックアブソーバーの減衰力を3段階に切り替えるスーパーソニックサスペンション、世界初の気筒別の燃料制御やパートナーコンフォートシート、日本初のMVCS(可変バルブ機構)やツインスロットルチャンバーなど、先進技術満載でした。

1986年に登場した2代目ソアラ。2代目レパードの1ヶ月前にデビュー
1986年に登場した2代目ソアラ。2代目レパードの1ヶ月前にデビュー

車両価格は、232.1万~306.9万円(2.0L)、トップグレードは383.7万円(3.0L)に設定、ちなみに当時の大卒初任給は14.6万円程度(現在は約23万円)でした。雪辱を期して登場した優雅さもある2代目レパードでしたが、ソアラに比べるとややスポーティさや若さが足りなかったためか、ソアラが牽引した当時大ブームとなったハイソカーの中でもやや影が薄い存在になってしまいました。

●その後も主役になれずに、セドリック/グロリアへ統合

1992年にデビューした3代目レパード
1992年にデビューした3代目レパード

バブルが崩壊した1992年に3代目にモデルチェンジして、高級スペシャリティカーから高級パーソナルセダンへ刷新したレパードでしたが、バブル崩壊でハイソカーブームも消え去り、RVブームが追い打ちをかけたため、復調には至りませんでした。

そして1996年には4代目が登場します。今度は4ドアセダンから4ドアハードトップに変わり、エンジンをパワーアップして最新技術を投入するなどの改良。ですが、日産自体の経営悪化により、レパードは車種整理の対象になってセドリック/グロリアに統合される形で終焉を迎えたのです。


レパードは、世代とともに着実に進化しましたが、ライバルのソアラもその上を行く進化を見せ、結局最後までレパードはソアラを追い抜けませんでした。スペシャリティカー、ハイソカーの王道を歩んだソアラに対して、レパードは評価される進展を続けてきたものの、市場のなかでは終始脇役に甘んじてしまったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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