日産がEVを活用したエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」を3月1日から開始

■電力のピークシフトやピークカット、太陽光パネル発電エネルギーとも連携

日産はEV車の販売で日本市場をリードしているだけでなく、日産リーフのリサイクルバッテリーを使った「ポータブルバッテリーfromリーフ」を発売するなど、BEVのバッテリーの再利用も実用化させています。

同社は、EVの開発や販売にとどまらず、世界で初めて「V2H(Vehicle to Home)」の市場投入、バッテリーの二次利用を行う4Rエナジーの設立などにより車のライフサイクルアセスメントの視点で事業を展開しています。

日産自動車、電気自動車を活用したエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」の提供を開始
日産が電気自動車を活用したエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」の提供を開始する

日産は、2024年3月1日にEVの魅力をさらに向上させる商品として、EVのバッテリーを蓄電池として充放電制御を行う日産独自のエネルギーマネジメントを活用したサービス「ニッサンエナジーシェア」を開始します。

同社はこれまで、福島県浪江町などでEVの充放電を自律的に行う独自の制御技術を使い、エネルギーの効率的な利活用の検証を実施してきました。

リサイクルバッテリーの「ポータブルバッテリー from LEAF」
リサイクルバッテリーの「ポータブルバッテリー from LEAF」

「ニッサンエナジーシェア」は、こうした検証を通して培った技術や知見をもとに、ユーザーニーズや状況に応じた最適なエネルギーマネジメントサービスを企画から構築、保守運用までワンストップで提供。主に法人や事業者、自治体に向けたサービスになっています。

EVのバッテリーは車の動力源としてだけでなく移動可能な蓄電池として、建物や地域へ電力を供給することができます。

独自のエネルギーマネジメント技術「インテリジェント・チャージング・マネジメントシステム」は、充電器もしくは、充放電器に接続された充放電制御システムが、車の使用予定やバッテリー残量、建物の電力使用状況をリアルタイムに把握しながら、最適な受給電タイミングを自律的にコントロールできる技術です。

ニッサンエナジーシェアのイメージ
ニッサンエナジーシェアのイメージ

車としての利便性を損なうことなく、電力のピークシフトやピークカットが図られるだけでなく、太陽光パネルなどでつくられた再生可能エネルギーと連携。エネルギーの地産地消や脱炭素化にも貢献できるなど、EVの価値を最大限に引き出す日産ならではのエネルギーマネジメントの仕組みです。

利点であるスマート充電によるピークシフトは、建物の電力消費状況、EVのバッテリー残量や使用状況を把握することで、EVへの充電タイミングが賢く制御されます。複数のEVを保有している場合でも、建物の電力使用に影響を与えることなく、安心してEVを使用することが可能。

もう1つのメリットである放電マネジメントによるピークカットは、建物の電力需要が高まる時間帯に、EVから建物へ電気を戻すことで施設電力のピークをカット。電力使用量を抑えるとともに、電気料金の削減にも貢献します。

さらに、再生可能エネルギーの有効活用にも対応。建物などに太陽光パネルが設置されている場合、太陽光発電との連携ができます。太陽光での発電量が多い時には積極的にEVへ充電し、その電力を夜間に建物へ給電するなど、太陽光の発電状況に応じた受給電を効果的に実施。

これにより、企業が自らの事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする、国際的イニシアチブ「RE100」への貢献にもつながるとしています。

サービスとして、ユーザーの導入目的に応じた最適なソリューションの提案から、機器や施工業者の選定、補助金の申請など、スムーズな導入をサポート。導入後の保守運用や状況変化に応じた改善提案まで、ユーザーごとに異なる価値の実現がワンストップで提供されます。

具体的には、コンサルテーションとして、要件定義、現状調査、ソリューションの提案や導入効果の試算などが盛り込まれています。もちろん、推奨機器の選定や施工業者の手配、システム初期設定や進捗管理などシステムの構築も含まれています。さらに、保守運用も提供されます。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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