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■水不要で無臭の最新ポータブルトイレ採用。一般ユーザー向け販売も開始
2024年元旦に発生した能登半島地震が発生して約1ヵ月。被災地では、水道の復旧が遅れている地域も多く、水不足によるトイレ問題も深刻化しているといいます。
そんな中、キャンピングカー・メーカーのトイファクトリー(岐阜県可児市)は、水を使わず、環境にも優しいことで、災害時に最適な新型ポータブルトイレ「クレサナ(clesana)」を搭載したトイレカーを開発。能登半島地震の被災地である石川県珠洲市に派遣したことを発表しました。
スイスを拠点とするメーカーのクレサナ社が開発したこのトイレは、排泄物を自動で密閉する機構を採用することで、水だけでなく、一般的なカセットトイレで使われることが多い化学薬品も不要という、環境に優しいウォーターレストイレです。
しかも、12V電源があればどこでも設置可能で、使い勝手も抜群。おむつや生理用品なども処理できることで、被災地の医療現場などはもちろん、キャンピングカーや車中泊仕様車などにも最適なのだとか。
トイファクトリーでは、このトイレを設置したトイレカーを被災地に派遣するだけでなく、トイレ自体も一般販売を開始するといいます。
●ロール状のフィルムライナーで排泄物を完全密閉
今回、トイファクトリーが国内で手掛けるクレサナの特徴は、まず、水を使わないことで、水質汚染への影響がないこと。また、一般的なカセット式トイレの使用に必要な、排泄物を溶かすための溶剤や薬剤も一切不要なことです。
これは、トイレ本体内部にセットされたロール状のフィルムライナー(密閉式パック)が、使用毎に排泄物を自動密閉するため。フィルムは、熱圧着で完全密閉するため、臭いやバクテリアの発生を防止してくれ、とても衛生的です。
しかも、使用済みのフィルムは、各自治体の分別ルールにもよりますが、家庭ゴミなどで簡単に処理することも可能。従来、キャンピングカーなどに採用されてきたカセット式トイレと違い、処理が簡単なことで、ストレスなく使用することができます。
また、フィルムライナーは用途に応じて使用する長さを変えることが可能。1本のフィルムライナーで平均36回、最大で50回まで使うことができるので、かなり経済的だといいます。
加えて、使用後のフィルムライナーは本体に約8回分をストック可能。被災地だけでなく、キャンピングカーなどでの長旅にも十分対応できます。
さらに、水洗トイレと違い、おむつやウェットティッシュ、生理用品なども処理することが可能。トイレ本体は、水を使わないながら、水洗トイレ形状のデザインを採用していることで、いつものトイレと同じ感覚で使うことができます。
設置に必要なのは、DC12Vの電源のみ。フィルムライナーをセットすればすぐに使用が可能です。
使用する専用のフィルムライナーは、バクテリアバリア機能付きなので、医療現場で排出される感染性廃棄物(感染性疾患の患者の排泄物、使用済みおむつなど)にも対応。とても衛生的なことで、被災地から車中泊まで、幅広い用途に使えることも魅力です。
●価格は26万4000円
トイファクトリーでは、前述の通り、このクレサナを搭載したトイレカーを開発。同社が自治体・団体向けに販売しているハイエース・ベースの防災対応車「マルモビ」をベースに、個室トイレルームを2部屋備えた仕様を製作し、前述の通り、能登半島地震の被災地である珠洲市へ派遣したといいます。
また、同社では、トヨタ製マイクロバスのコースターをベースにした「セブンシーズ」というキャンピングカーも手掛けていますが、このモデルにもクレサナを装備。こちらは、同じく被災地の石川県輪島市で活動するDMATという災害派遣医療チームのスタッフ向けに派遣したそうです。
なお、トイファクトリーでは、このクレサナを2024年2月2日〜5日に千葉県・幕張メッセで開催される「ジャパンキャンピングカーショー2024」で初披露する予定。
その後、自社のキャンピングカーへの採用はもちろん、他メーカーや行政、一般ユーザー向けにも販売を予定しているそうで、価格(税込)は26万4000円となります。
(文:平塚 直樹)