バッテリーEVになった新型ポルシェ・マカンは最長で613kmの航続距離を確保

■前後アクスルにモーターを備えた4WDの「マカン4」「マカンターボ」を発表

フルモデルチェンジを受けた2代目ポルシェ・マカンは、バッテリーEV(BEV)として生まれ変わりました。270kWの高性能急速充電に対応し、航続距離(WLTPモード)は、613kmに達しています。

新型マカンターボの走行シーン
新型ポルシェ・マカンターボの走行シーン

新型マカンは、前後アクスルに最新世代の永久励磁型PSMモーターが配置され、高効率と高出力を両立。

ローンチコントロールとの組み合わせにより「マカン4」は、最高出力300kW(408PS)/最大トルク650Nmを発揮、「マカンターボ」は最高出力470kW(639PS)/最大トルク1130Nmに達しています。

新型ポルシェ・マカン4のリヤビュー
新型ポルシェ・マカン4のリヤビュー

0-100km/h加速は「マカン4」が5.1秒、「マカンターボ」はわずか3.3秒で到達し、最高速度は前者が220km/h、後者は260km/hに達します。

800Vアーキテクチャーを備えた新しい「プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)」により、充電環境もBEVで最先端といえる内容になっています。

床下に総容量100kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載され、HVバッテリーはポルシェが新型マカンで初めて採用した、800Vアーキテクチャーを備えた新開発PPEの中心コンポーネントをなしています。

マカン4とマカンターボをドイツ本国で発表
マカン4とマカンターボをドイツ本国で発表

DC(直流)充電出力は最大270kWで、同バッテリーは対応する急速充電器を使えば、約21分以内に10%から80%まで充電することができます。

また、400Vの充電ステーションでは、バッテリー内の高電圧スイッチにより、800Vのバッテリーを定格電圧400Vの2つのバッテリーに効果的に分割しながら充電が可能になります。

これにより、HVブースターを追加することなく効率的な最大135kWの充電が可能。家庭用充電器では、最大で11kWのAC(交流)充電が可能です。

マカン4とマカンターボの走行シーン
マカン4とマカンターボの走行シーン

また、走行中には、モーターを介して最大240kWのエネルギーが回生されます。オンボードACチャージャー、高電圧ヒーター、DC/DCコンバーターが組み合わされた「インテグレーテッドパワーボックス(IPB)」は、軽量化と省スペース化と高効率化を実現。

一充電あたりの航続距離(複合航続距離/WLTP)は、マカン4が最大613km、マカンターボは最大591kmとなっています。

●3つのメーターを並べた先進的なインパネ

新型ポルシェ・マカンのインパネ
新型ポルシェ・マカンのインパネ

前後アクスルにモーターが配置されていることからも分かるように、マカン4とマカンターボは、ともに4WDです。2つのモーターは、パワーエレクトロニクスを介してほぼリアルタイムに制御されます。電子制御式の「ポルシェトラクションマネージメント(ePTM)」は、従来の4WDシステムの約5倍の速さで作動し、即スリップに対応。

さらに、4WDの配分は、選択されたドライビングプログラムによって制御されます。リヤアクスルの電子制御式ディファレンシャルロックである「ポルシェトルクベクトリングプラス(PTV Plus)」がマカンターボのトラクション、走行安定性、横方向のダイナミクスに貢献します。

新型ポルシェ・マカンのインパネまわり
新型ポルシェ・マカンのインパネまわり

取り回しもしやすく、最大操舵角5度のリヤアクスルステアリングをオプションで選択できます。市街地走行や駐車時に11.1mというコンパクトな最小回転直径を実現。精緻なハンドリングを可能にするフロントアクスルステアリングによって、高速走行時の卓越した走行安定性も可能にするとしています。

新型マカンには、曲面デザインの12.6インチメーターと10.9インチセンターディスプレイを含む、最大3つの画面を備えた最新世代のディスプレイが装備されています。

また、オプションの10.9インチディスプレイを介して、走行中の乗員によるインフォテインメントシステムの情報確認や、設定、動画コンテンツのストリーミング再生も初めて可能になっています。

新型ポルシェ・マカン4のエクステリア
新型ポルシェ・マカン4のエクステリア

さらに、「ポルシェドライバーエクスペリエンス」に初めてAR(拡張現実)技術によるヘッドアップディスプレイも用意されています。87インチディスプレイのサイズに相当する画像がドライバーの10m前方に表示され、ドライブをサポート。

新世代のインフォテインメントシステムは「Android Automotive OS」がベースになります。標準装備の「ポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)」は、“Hey Porsche”と発話した後、音声操作にも対応。

たとえば、充電ステーションを含むルートも瞬時に提案されます。そのほか、新しい「ポルシェアプリセンター」では、サードパーティ製の人気アプリに直接アクセスし、マカンに直接インストールすることができます。

新型ポルシェ・マカンターボのエクステリア
新型ポルシェ・マカンターボのエクステリア

また、電動化によってマカンのラゲッジが拡大されています。モデルや装備に応じて、後席後方の荷室容量は最大540L(カーゴモード)に達し、ボンネットの下にも「フランク」と呼ばれる容量84Lのセカンドラゲッジが配置されています。後席の背もたれを倒すと、ラゲッジ容量は最大1348Lにまで拡大します。

なお、日本での新型マカンの予約受注開始日および価格、仕様などは決まり次第発表される予定です。

●ボディサイズ:全長4784×全幅1938×全高1622mm(欧州仕様値)

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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