日本初の地下鉄が上野駅~浅草駅で開業。運賃は10銭、今なら60円程度の手頃な料金【今日は何の日?12月30日】

■日本初、東洋初の地下鉄は今から96年前に開業

東京メトロ銀座線・浅草駅(引用:PhotoAC)
東京メトロ銀座線・浅草駅(引用:PhotoAC)

1927(昭和2年)12月30日、日本初の地下鉄が上野駅~浅草駅(現在の東京メトロ線)で運行を始めました。運行距離約2.2km、所要時間4分50秒、運賃は10銭(今なら60円程度)でした。

ちなみに世界初の地下鉄は、1863年に英国ロンドンで開業した蒸気機関車が客車をけん引するタイプでした。


●日本の地下鉄の歴史

第一次世界大戦後、日本は輸出の急増によって好景気となり、経済は急成長。東京では、百貨店が営業を始め、それまでの主要交通機関であった路面電車だけでは、輸送手段として不十分になっていました。

そうした中、ロンドンの地下鉄を視察して感銘を受けた早川徳次氏が、日本での地下鉄の事業化計画を策定。1920年に「東京地下鉄道株式会社」を設立し、日本の地下鉄の歴史が動き出したのです。

都電6080(引用:PhotoAC)
都電6080(引用:PhotoAC)

その後、資金の調達などで苦しみましたが、ついに1927年のこの日、日本で最初の地下鉄である浅草~上野間2.2kmが開業します。これが、現在の東京メトロ銀座線の一部であり、日本初で東洋初の地下鉄となりました。

その後も地下鉄の延長は続けられ、1934年に銀座~新橋間が開業したことにより、ついに浅草~新橋間8.0kmが開通。その後、1939年には現在の銀座線の路線を形成する浅草~渋谷間の運行を、東京高速鉄道との相互直通運転という形で開始しました。

●新技術を採用した日本初の地下鉄は大人気に

日本初の地下鉄の電車「1000形」には、多くの新しい技術が導入されたことも注目に値します。

まだ木造車体が多い中で全鋼製車体を採用し、車内はお洒落でモダンな内装で、吊手はスプリングで元の位置に戻るリコ式、照明にはソフトな間接照明。さらに、コインを入れて通る無人のターン式自動改札、扉にはまだ珍しかった自動開閉式ドア、衝突事故を防止する日本初のATS(打子式自動列車停止装置)も装備されました。

開業当日、午前6時の始発前から3分間隔で1両運行し、午前中だけで4万人を超える乗客が乗車する大人気となり、地下鉄の便利さを実証することができたのです。

●世界初の地下鉄は、最初は蒸気機関車だった

世界初の地下鉄は、英国ロンドンで1863年1月に開業したパディンデント駅~ファリンドン・ストリート駅の間6駅6kmの区間でした。産業革命以降にロンドンの人口が増大し、郊外からの通勤者を輸送する鉄道が整備されたものの、都心部の建物密集地帯に乗り入れられないことから、地下を走行する鉄道として地下鉄が建設されたのです。

開業当初は、蒸気機関車によって牽引されていたため、排煙対策が大きな課題でした。その後、1890年には現在のノーザン線で電気機関車牽引による運行が世界で初めて開始されたのに続き、1898年開業のウォータールー&シティ線では電車による運行を開始し、それ以降は電車による路線の延伸が進められました。


地下鉄が開業した大正末期から昭和初期は、都市部で路面電車が普及し、人々の生活を支える重要な交通機関でした。しかし、東京に人々が集中し始めて自動車も増え始めたので、地下鉄ができるのも必然だったのかもしれません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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